

スーパーでソウダガツオを買ってきて「さあ捌こう」と思った瞬間、実は鮮度がすでに落ちていることがあります。鮮度が落ちたソウダガツオを刺身にすると、食後1〜2時間でじんましんや頭痛が出ることがあります。
ソウダガツオには「マルソウダ」と「ヒラソウダ」の2種類があります。この2種類、見た目はよく似ていますが、刺身に向いているのはヒラソウダだけです。マルソウダは血合いが多く、鮮度落ちが非常に早いため、刺身には不向きとされています。つまり、種類の見極めが最初の関門です。
ヒラソウダの見分け方は体の断面にあります。名前の通り体が平たく、断面が楕円形に近い形をしているのがヒラソウダです。一方マルソウダは断面が丸く、紡錘形に近い形をしています。魚屋さんで「刺身で食べたいのですが」と一言伝えると、ヒラソウダを選んでもらいやすくなります。
鮮度の見分け方は以下のポイントを確認してください。
ソウダガツオはサバ科の魚で、ヒスチジンというアミノ酸が豊富です。鮮度が落ちるとこのヒスチジンがヒスタミンに変わり、食べると「ヒスタミン食中毒」を引き起こします。症状は食後30分〜1時間で顔が赤くなる、頭痛、じんましんなどで、魚アレルギーと間違われやすい点に注意が必要です。鮮度管理が命です。
スーパーで購入する場合は、入荷当日の朝一番の鮮魚コーナーを狙うのが最もリスクを減らせます。「本日入荷」の表示があっても夕方以降は避けた方が無難です。できれば魚屋さんで「今朝入ってきたもの」を指定して購入するのが理想です。
捌き始める前に道具を揃えることが、スムーズな作業の第一歩です。特別な道具は必要ありません。ただし、包丁の切れ味だけは妥協しないでください。
最低限必要な道具はこちらです。
包丁が切れないと身が潰れます。これは大事なポイントです。潰れた身は食感が悪くなるだけでなく、細胞が壊れることで臭みが出やすくなります。
捌く前に包丁を砥石やシャープナーで研いでおくか、鮮魚店で包丁研ぎサービスを利用する方法もあります。ホームセンターや100円ショップのシャープナーでも、使わないよりは格段に切れ味が改善されます。作業前に包丁を研ぐ、これが基本です。
また、捌く作業台(まな板)は作業前によく冷やした水で濡らしておくと、身が台にくっつきにくくなります。作業中も定期的に濡らした清潔な布巾でまな板を拭き、魚の血や汚れを取り除くと衛生的に作業を進めることができます。
三枚おろしは難しそうに感じますが、手順通りに進めれば初心者でも十分できます。焦らず一工程ずつ丁寧に進めることが大切です。
① うろこを取る
ソウダガツオのうろこは非常に細かく、特に側線(体の横に走る線)周辺にびっしりついています。包丁の背か、うろこ引きを使って尾から頭方向に向かってこそぎ取ります。水を流しながら作業すると、うろこが飛び散りにくくなります。
② 頭を落とす
胸ビレの付け根の後ろ側に包丁を当て、斜めに入れて頭を落とします。背骨に当たったら包丁を小刻みに動かして断ち切ります。この時、一気に力を入れて切ろうとすると刃が滑るので注意してください。
③ 内臓を取り出す
腹を割き、内臓を取り出します。内臓は鮮度落ちが最も早い部位なので、素早く処理することが重要です。腹の内側についている黒い膜(腹膜)も指でこすりながらしっかり取り除いてください。この膜を残すと臭みの原因になります。
④ 流水で洗う
内臓を取り除いたら、流水で腹の中を丁寧に洗います。血合い(背骨に沿った赤黒い部分)も指の腹でしっかりこすり落とします。洗い終わったらキッチンペーパーで水分をしっかり拭き取ることを忘れないでください。水分を残すと臭みが出やすくなります。
⑤ 三枚おろし(上身を外す)
背骨を中心に、まず背側から包丁を入れます。背ビレに沿って刃先を骨に当てながら、尾から頭方向へ一気に引きます。続いて腹側も同様に包丁を入れ、最終的に尾の付け根から骨の上を滑らせるように身を外します。骨に沿わせる、これだけ意識すれば大丈夫です。
⑥ 腹骨をすき取る
外した身の腹側についている腹骨を、包丁を寝かせてすき取ります。力を入れすぎると身が削れてしまうので、刃を骨に当てた状態で薄くすき取るイメージで進めてください。
⑦ 中骨(小骨)を骨抜きで取る
身の中央を指で触ると、小骨が列状に並んでいるのを感じます。骨抜きで1本ずつ、身の繊維に沿って引き抜いていきます。斜めに引くと身が崩れにくいです。
三枚おろしが完成したら、次は臭みを取りながら刺身に仕上げます。ソウダガツオの臭みの正体は「血合い」と「皮下脂肪」です。この2つを適切に処理することで、磯くさい臭いを格段に抑えることができます。
まず皮を引きます。身の尾側の端から皮と身の間に包丁を薄く入れ、皮を左手でつまみながら包丁を前後に動かして皮を引いていきます。皮を引く方向は尾から頭方向に向かうのが基本です。一気に引こうとせず、ゆっくり少しずつ動かすときれいに仕上がります。
皮を引いた後、血合い部分が目立つ場合は表面を薄く削ぎ落とすとさらに臭みが軽減されます。血合いは取れるだけ取ります。
| 臭み取りの方法 | 効果 | やり方 |
|---|---|---|
| 🧂 塩水洗い | 表面の臭み・血を落とす | 3%食塩水(水1Lに塩30g)に10秒ほど浸して拭き取る |
| 🍋 レモン・柑橘系 | 酸が臭み成分を中和 | 刺身にする直前に少量絞る |
| 🫚 皮引き | 皮下の脂と臭いを除去 | 尾から頭方向へ薄く引く |
| 🌿 薬味との組み合わせ | 臭みをマスクして風味を高める | ニンニク・生姜・ネギ・大葉を使う |
刺身の切り方は「そぎ切り」が最もおすすめです。包丁を斜め45度に傾けて、身の繊維を断つように引いて切ることで、口当たりが柔らかくなります。1切れの厚さは7〜10mm(消しゴムの幅くらい)が食べやすい目安です。
ソウダガツオはカツオの仲間ですが、本カツオより血合いが多く、たたきにするよりも刺身として薄切りにして生姜醤油や柑橘醤油で食べるのが相性抜群です。捌いた直後よりも、冷蔵庫で30分ほど休ませてから切る方が身が引き締まって切りやすくなります。
刺身として切った後の端切れや、形が崩れてしまった部分は捨てないでください。実はそういった部分こそ、「なめろう」に最適な素材です。これは使えそうです。
なめろうは千葉・房総半島の郷土料理で、刻んだ魚に味噌・薬味を加えてたたく料理ですが、ソウダガツオとの相性は非常に良く、血合いが多くて刺身では臭みを感じる場合でも味噌と薬味でまとめるとおいしく仕上がります。
ソウダガツオのなめろうの作り方(2人分)
すべての材料をまな板の上に並べ、包丁でたたきながら全体を混ぜ合わせます。なめらかになるまで叩くのが名前の由来です。仕上げに味噌の量を調整し、ご飯の上に乗せてお茶漬けにしたり、焼きおにぎりの具にしたりと使い回しができます。
刺身として使えない部分をなめろうにすることで、魚を無駄なく使い切ることができます。食品ロスを減らすだけでなく、一尾買えば刺身+なめろうの2品が完成するので、食費節約にも直結します。一尾で2品は家計に助かります。
また、なめろうを厚めのアルミホイルに乗せてトースターで焼くと「さんが焼き」になります。表面が香ばしくなり、子どもも食べやすい一品に変化します。捌いた日に食べ切れない場合は、なめろうの状態で密封して冷凍保存(1週間が目安)することも可能です。
ソウダガツオを丸ごと一匹購入したときの使い切りプラン
スーパーでソウダガツオが1尾300〜500円程度で購入できる秋の時期(9〜11月が旬)に、ぜひ挑戦してみてください。自分で捌いた刺身の達成感は格別です。