食料自給率カロリーベースと計算方法の仕組み

食料自給率カロリーベースと計算方法の仕組み

食料自給率カロリーベースとは

カロリーベース食料自給率の3つのポイント
🌾
国民が摂るカロリーの国産割合

国民1人1日あたりの供給熱量のうち、国産でまかなわれている割合を示す指標です

📊
2024年度は38%で低水準

4年連続で38%という過去最低レベルの水準が続いています

🔢
輸入飼料は国産に含まない

国産肉や卵でも、輸入飼料で育てられた分は自給率に算入されません

カロリーベース総合食料自給率は、基礎的な栄養価であるエネルギー(カロリー)に着目して算出される指標です。具体的には、国民に供給される熱量(総供給熱量)に対して、国内生産の割合がどれくらいかを示すものなんです。
参考)https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/011.html

2024年度の日本の食料自給率は38%で、4年連続で低い水準が続いています。これは、国民が1日に摂取するカロリーのうち、わずか38%しか国内で生産された食料でまかなえていないという意味になります。
参考)https://news.yahoo.co.jp/articles/74901d4c4537a86b9567daba3e8f753e612e569b

農林水産省の発表によれば、2023年度は1人1日あたり国産供給熱量が841kcal、供給熱量が2,203kcalとなってり、841÷2,203=38%という計算になっています。日本以外では韓国や台湾など一部の国でしか採用されていない、比較的珍しい算出方法なんです。
参考)https://smartagri-jp.com/agriculture/129

食料自給率カロリーベースの計算方法の仕組み

カロリーベースの食料自給率は「1人1日当たり国産供給熱量÷1人1日当たり供給熱量」という計算式で求められます。この計算では、「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」に基づいて、各品目の重量を熱量(カロリー)に換算し、それらを足し上げて算出しているんです。
参考)https://www.spaceshipearth.jp/foodself-sufficiencyrate/

具体的な計算の流れとしては、まず全ての食品の重量をカロリーに換算します。例えば米100gなら約350kcal、牛肉100gなら約250kcalといった具合です。次に、国内で生産された食品のカロリー合計と、国内で消費された食品のカロリー合計を出し、前者を後者で割ることで自給率が算出されます。
参考)https://www.kaku-ichi.co.jp/media/tips/column/food-rate-calorie

令和3年度を例にすると、1人1日当たり国産供給熱量は860kcalで、1人1日当たり供給熱量は2,265kcalだったため、860÷2,265=38%という結果になりました。この計算方法により、日本人の食生活がどれだけ国産食料に依存しているかを数値化できるわけなんです。​
農林水産省の計算ツールを使うことで、自分の家庭の食事の自給率も計算できます。
参考)https://benesse.jp/kyouiku/jiyukenkyu/cont/chugaku/039.html

農林水産省「やってみよう!自給率計算」

カロリーベースと生産額ベースの違いとは

食料自給率にはカロリーベースのほかに、生産額ベースという指標も存在します。生産額ベース総合食料自給率は、経済的価値に着目して、国民に供給される食料の生産額に対する国内生産の割合を示す指標です。​
2023年度の生産額ベースの食料自給率は61%で、カロリーベースの38%と比べると23ポイントも高くなっています。2024年度は生産額ベースで64%まで上昇しました。これは、米の単価上昇が要因とされています。
参考)https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2221494

生産額ベースの計算式は「食料の国内生産額÷食料の国内消費仕向額」で、令和3年度の場合は9.9兆円÷15.7兆円=63%となります。この計算では、農家庭先価格などに基づいて各品目の重量を金額に換算し、それらを足し上げて算出するんです。​
カロリーベースと生産額ベースで大きな差が出る理由は、カロリーの高い穀物や油脂類の輸入依存度が高い一方で、カロリーは低いが単価の高い野菜や果物は国産が多いためです。実は、生産額ベースは海外で標準的な指標とされています。
参考)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43103050Z20C19A3MLY000/

輸入飼料が食料自給率カロリーベースに与える影響

カロリーベースの食料自給率において、特に問題視されているのが輸入飼料の扱いです。畜産物については、輸入した飼料を使って国内で生産した分は、総合食料自給率における国産には算入されないというルールがあるんです。​
具体的には、卵を例に考えてみましょう。国産の卵でも、その卵を産んだ鶏の餌に輸入品が50%混ざっていた場合、卵のカロリーが1/2の数値として計算されます。つまり、輸入飼料を使って生産されたものは国産として算入されないため、消費が増えても自給率が下がるという構図が生まれるわけです。​
2019年度と2020年度の飼料自給率は25%で横ばいとなっており、食料自給率より低い水準にあります。これは、国産の牛肉豚肉、魚介類でも、そのエサの75%以上を輸入に頼っているということを意味します。
参考)https://losszero.jp/blogs/column/news_0528

2022年度のデータでは、畜産物全体のカロリーベースの食料自給率は38%、食料国産率(輸入飼料を含む)は47%で、両者の差は9ポイントでした。輸入飼料への依存度が特に高い豚肉は6%、鶏肉は9%という低い数値になっています。本当の意味で食料自給率を向上させるには、この飼料自給率も上げていかなくてはならないという指摘があります。
参考)https://www.dairy.co.jp/dairydata/jdc_news/kulbvq000000xixi-att/kulbvq000000xizy.pdf

都道府県別の食料自給率カロリーベース

食料自給率は都道府県別にも算出されており、地域による大きな差が見られます。2023年度において、前年度と比べ25の県で上昇、8の道県で低下、14の都府県で同率となりました。
参考)https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/zikyu_10.html

カロリーベースの都道府県別食料自給率でトップは北海道で、圧倒的な農業生産力を誇っています。北海道は日本全体の食料生産を支える重要な地域なんです。​
一方、生産額ベースでは宮崎県が首位を走っています。2017年度のデータでは、宮崎県の畜産王国としての歴史が自給率の高さに貢献していることがわかっています。九州勢が上位を占める傾向があり、地域の特性が自給率に大きく影響しているんです。​
東京都のカロリーベースの自給率は、小数点以下を四捨五入して0%と公表されていますが、実際には小数点以下も含めると0.47%です。大消費地に近い利点を活かした農業も行われているものの、自給率という観点では非常に低い水準となっています。
参考)https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2302/spe1_02.html

私たちの暮らしを支える食料がどこからやってきているのかを知ることは大切で、生活に欠かせない食料について、どの都道府県にどれくらい頼っているのかを知るのに役立つデータと言えます。​

食料自給率カロリーベース低下の主な原因

日本の食料自給率が低下し続けている最大の要因は、日本人の食生活が大きく変化したことにあります。50年前までは主食の中心だった白米も、食の多様化が進み、食べないという人が増えてきました。
参考)https://mygreengrowers.com/blog/food-self-sufficiency/

農林水産省が発表している食料消費構造データによると、昭和40年度には1日のカロリーの4割以上をお米から摂取していたのに対して、令和2年度ではその半分ほどにまで減少しています。長期的に食料自給率が低下してきた主な要因としては、食生活の多様化が進み、国産で需要量を満たすことのできる米の消費が減少した一方で、飼料や原料の多くを海外に頼らざるを得ない畜産物や油脂類の消費が増えたことが挙げられます。
参考)https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/r1/r1_h/trend/part1/chap2/c2_1_00.html

米の消費量が減る一方で、肉類や油の消費量は増えており、消費が増えている肉類や油は輸入の割合が高いため、食料自給率を押し下げる形になっているんです。2020年度のカロリーベース食料自給率は前年度から1ポイント下がり過去最低水準となりましたが、その理由として、お米の国内需要が下がったことが挙げられています。​
また、日本は他国に比べて農地面積が少ないという構造的な問題もあり、日本の食料自給率は先進国の中でも最低レベルとなっています。主な先進国の食料自給率(カロリーベース)を見ると、カナダ258%、フランス129%、アメリカ127%、イギリス72%ですが、日本は39%で最も低い数値です。
参考)https://www.cjc.or.jp/school/d/d-2-1.html

まとめ

食料自給率カロリーベースは、国民の食生活を熱量の観点から評価する重要な指標です。日本の2024年度の自給率は38%と4年連続で低い水準が続いており、これは先進国の中でも最低レベルとなっています。カロリーベースと生産額ベース(64%)の差は23ポイントもあり、輸入飼料への依存や食生活の変化が大きく影響しています。​
この状況を改善するためには、米の消費を増やすことや地産地消の推進、食品ロスの削減などが有効です。家庭でできる取り組みとしては、旬の食材や国産品を積極的に選ぶこと、米粉を活用すること、地元の農産物を購入することなどが挙げられます。私たち一人ひとりの食の選択が、日本の食料自給率向上につながっていくんです。
参考)https://www.yoridori.jp/earth-note/familiar-local-consumption/