

スーパーで売っている再仕込み醤油、実は「濃口醤油より塩分が低い」商品がほとんどです。
再仕込み醤油とは、通常の醤油を仕込む工程で「塩水」の代わりに「生醤油(きじょうゆ)」を使って二度仕込みを行った醤油のことです。一般的な濃口醤油と比べると、仕込みに使う原料の量がおよそ2倍になります。つまり手間とコストが2倍かかる、贅沢な醤油ということですね。
色は濃く、黒みがかった赤褐色をしています。粘度も高く、とろりとした質感があるのが特徴です。産地は山口県の柳井市が最も有名で、「甘露醤油(かんろしょうゆ)」とも呼ばれています。全国的な知名度で言えば、ヤマヒサやフンドーキンなどのメーカー品がスーパーでよく見かける代表格です。
旨味成分であるアミノ酸が豊富で、濃口醤油の約2倍に達する商品も存在します。これが「たまり醤油より濃厚」とも言われる理由のひとつです。ただし塩分濃度は濃口醤油の約16〜18%に対し、再仕込み醤油は約12〜13%程度と低めの傾向があります。塩分が低めなのは意外ですね。
スーパーでは「刺身醤油」「さしみ用」などとして販売されているケースが多く、再仕込み醤油であることに気づかずに使っている方もいます。ボトルの裏面の「種類別:再仕込みしょうゆ」という表示を確認するとすぐにわかります。JAS規格では「再仕込みしょうゆ」と明記が必要なため、ラベルチェックが確実な方法です。
スーパーで手に入る再仕込み醤油は、価格帯でざっくり3つに分類できます。手軽なものは200ml前後で300〜500円程度、中間帯は300〜500mlで600〜1,000円程度、こだわり品になると200mlで1,500円を超えるものもあります。これは使い方によって選び分けるのが賢明です。
よく見かける商品としては以下のものがあります。
価格だけで選ぶのは注意が必要です。安価な商品の中には「旨味調味料(アミノ酸等)」で風味を補った製品も存在し、原材料欄に「調味料(アミノ酸等)」と書かれていることがあります。本来の再仕込み醤油の旨味は長期熟成で生まれるものなので、原材料がシンプルなもの(大豆・小麦・食塩のみ)が本格品の目安です。原材料は必ず確認するのが基本です。
購入頻度が低く少量しか使わない場合は、150〜200mlの小瓶を選ぶのが経済的です。大瓶を買っても使い切る前に風味が落ちてしまうケースがあるため、「少量・高頻度」の買い方が風味を保つうえで有利です。
スーパーの棚に並ぶ醤油のラベルには、JAS規格に基づいた種類別表示があります。「こいくちしょうゆ」「うすくちしょうゆ」「たまりしょうゆ」「さいしこみしょうゆ」「しろしょうゆ」の5種類が基本で、再仕込み醤油は「さいしこみしょうゆ」と表記されます。ここが確認のポイントです。
ラベルで特に注目したい項目は次の4つです。
「甘口」「さしみ用」「旨みたっぷり」などのキャッチコピーだけで選ぶと、実際には再仕込み醤油ではない製品を購入してしまうことがあります。たとえば「刺身醤油」と書かれていても、濃口醤油にみりんや甘味料を加えただけの商品が混在していることがあります。これが原因で「スーパーの刺身醤油はどれも同じ」という誤解が生まれます。
また「有機」「無添加」と書かれていても、種類別が「こいくちしょうゆ」であれば再仕込みではありません。健康志向のラベルに引っ張られず、種類別の確認を最優先にするのが正解です。種類別だけ見ればOKです。
参考として、農林水産省が定めるJAS規格の詳細はこちらから確認できます。醤油の種類別表示基準についての公的な情報が掲載されています。
再仕込み醤油の最大の持ち味は「加熱しないで使う」場面で活きることです。加熱すると、豊富な旨味成分や繊細な香りが飛んでしまうため、煮物・炒め物・焼き料理には少し勿体ない使い方になります。これが原則です。
相性が良い料理の例を挙げます。
一方、煮物に再仕込み醤油をメインで使うと、仕上がりの色が非常に濃くなりすぎることがあります。見た目が黒っぽくなり、見栄えが損なわれる場合があります。煮物には少量加える「隠し醤油」として使うのが使い分けの賢い方法です。
だし巻き卵に少量加えるという使い方も、プロの料理人の間ではよく知られています。通常の醤油よりも少量で旨味が補えるため、卵本来の甘みを消しにくいというメリットがあります。これは使えそうです。
料理に合わせた使い分けを習慣にすると、1本の再仕込み醤油が無駄なく使い切れるようになります。ひとつの使い方に集中するのが長続きのコツです。
再仕込み醤油は未開封であれば常温保存が可能ですが、開封後は必ず冷蔵保存が必要です。開封後に常温放置すると、空気との接触で酸化が進み、風味が約2週間で大きく変化するケースがあります。冷蔵保存が基本です。
劣化のサインとして見落としやすい点があります。
開封後の保存期間は、冷蔵保存で約3〜6ヶ月が目安です。製品によっては開封後2〜3ヶ月での使い切りを推奨しているものもあるため、瓶底のラベルに書かれた推奨期間も確認してみてください。期限は意外と短めです。
保存容器についても注意が必要です。大瓶で購入した場合、空気に触れる面積が多くなるため劣化が早まります。少量の小瓶に移し替えて使うか、蓋をしっかり閉めて横倒しにならない場所で保存することを心がけてください。
醤油の酸化を防ぐために「醤油さし(陶器製)」に移して使う方法も有効です。光を遮断し、注ぎ口が細いものを選ぶと接触する空気量が減り、風味が長持ちします。一度試してみると違いがわかります。冷蔵庫で保存する場合も、取り出しやすい場所に置いて使用頻度を上げることが、風味を保つうえで一番の近道です。
参考として、醤油の保存方法についての詳しい解説は、一般社団法人日本醤油協会の公式サイトに掲載されています。保存に関する疑問や基礎知識の確認にも役立ちます。