

ナショナルブランド(NB)とプライベートブランド(PB)の最も大きな違いは、商品の開発母体なんです。ナショナルブランド商品は、メーカー自らが企画開発し、自社で考案したブランド名で販売する形態を指します。例えば日清のカップヌードルやグリコポッキーといった、テレビCMでもおなじみの商品がナショナルブランドの代表例です。
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一方、プライベートブランドは小売業者や卸売業者が主体となり企画開発し、自社のブランド名で販売する商品のことを言います。セブンイレブンの「セブンプレミアム」やイオンの「トップバリュ」など、各社のロゴが入った商品がプライベートブランドに該当するんです。
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流通の仕組みも両者で大きく異なっています。NBは商品製造後、商社や代理店などの仲介業者を通して小売店に販売されるため、仲介料金や運送費などのコストが発生します。対してPBは商品開発・卸売・小売りをすべて同じ企業で行っているため、仲介に必要な費用がかからず、広告などの費用も抑えられる分、NBよりも安く商品を提供できるわけです。
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プライベートブランドがナショナルブランドよりも安価な理由は、流通コストの削減にあります。具体的な価格差を見てみると、キッチンラップの場合、旭化成のサランラップ(22cm×50m)が約250〜300円であるのに対し、トップバリュのラップ(30cm×40m)は約105円と、2.5〜3割程度安く購入できるんです。
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マスクでも同様の傾向が見られます。フィッティのシルキータッチモア(7枚入り)が約380円なのに対し、セブンプレミアムの不織布マスク(7枚入り)は約250円と、約4割も安い価格設定になっています。
日常的にプライベートブランドを選択するだけで、食費や日用品費を月間10〜30%ほど削減できると言われているんです。年間でみれば大きな金額となり、貯蓄や投資に回せる資金を増やすことができます。2025年の調査では、プライベートブランドを購入する際に最も重視されるのは「価格(87.6%)」であり、2019年と比較しても21.1%高くなっています。
参考)datacolle
品質面でもプライベートブランドは大きく進化しています。かつてプライベートブランドには「安かろう悪かろう」というイメージがありましたが、現在では大手メーカーが出すナショナルブランドと同等の品質や性能を備えるようになってきました。
実際のところ、多くのPB商品は専門メーカーによって製造されており、品質面でもNB商品と遜色ないケースが多いんです。消費者調査でも「品質」を重視する割合が2019年比で24.0%上昇しており、PB商品の品質への期待が高まっていることがわかります。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000148.000071371.html
西友の「みなさまのお墨付き」では、消費者が実際に商品開発に携わり、80%以上の支持を得たもののみ発売するというシステムを採用しています。主婦100名の試食によって決定され、80%以下の場合は商品の改良を行うという徹底ぶりです。
参考)プライベートブランドとは?メリット・デメリットや事例も徹底解…
ただし、購入時の期待値と実際の評価にはギャップも存在します。最も購入しているプライベートブランドについて、商品購入時に重視する点と商品に対して満足している点を比較したところ、「品質」は18.8%、「容量」は14.3%、満足している点が下回りました。
ナショナルブランドの最大のメリットは、消費者からの信頼の厚さです。テレビや新聞などのマスメディアで商品やサービスを宣伝できるため、若者から高齢者まで幅広い人に認知され、購入されています。
参考)ナショナルブランドとは?メリット・デメリットについて徹底解説…
販売規模が大きく大衆に購入され、認知されやすいことから「バンドワゴン効果」を利用して売上を伸ばしやすく、消費者から高い信頼度を得られるのはNBならではの強みなんです。どの地域・店舗でも販売しており、消費者にとっては入手しやすいという利点もあります。
一方で、デメリットも存在します。他社ブランドとの差別化が難しいことが挙げられます。プライベートブランドであれば、地域限定や店舗限定といった販売が当たり前であることや流通コストを抑えられることから販売価格での差別化が容易ですが、NBは販売規模が巨大であることや販売価格を下げるのが難しいことから、他社ブランドとの差別化が難しくなります。
また、プライベートブランドと比較して利益率が低いこともデメリットの一つです。メーカーが企画・製造した商品を小売業者・卸売業者に販売するため、流通コストを抑えられず、利益率が低くなってしまうんです。
プライベートブランドの主なメリットには、高品質・低価格を実現できることが挙げられます。「ブランドの価値」を生み出しやすく、「お客様の要望」を反映させやすいという特徴があります。また「仕入コスト」を下げやすく、「販売価格」を自社で決めやすいというメリットもあるんです。
参考)PB商品とNB商品の違いとは?(プライベート・ブランドとナシ…
イオンの「トップバリュ」は1974年の発売から現在まで売り上げを伸ばし続けており、PBにもかかわらず絶大な知名度を誇っています。消費者の好みやライフスタイルに合わせた高品質・低価格をコンセプトとする4つのブランド展開を行っているんです。
参考)プライベートブランド(PB)の成功事例・失敗事例を解説!メリ…
一方で、デメリットも存在します。小売店は常に在庫リスクや製品に対しての責任を負うことになり、メーカー側に任せていた品質の管理や顧客からのクレーム対応も求められ、消費者に対する責任が増えます。
参考)プライベートブランド(PB)とは?メリットや事例をわかりやす…
「商品の知名度」は上げにくく、「在庫リスク」があり、「サポート体制」が必要になるという課題もあります。さらに、必ずしも製造者が明確ではないことから不安を抱く人も一定数いるんです。
賢い買い物のコツは、商品の特性に応じてNBとPBを使い分けることです。品質重視のPBブランドを選び(イオン・セブン・西友などの大手)、こだわりの少ないものから始めるのがおすすめなんです。
特に味や香りへのこだわりが少ない商品、日常的に使用する定番商品ほど節約効果が高くなります。家庭で頻繁に使用する日用品は、品質に大きな違いを感じにくい製品が多いため、PB商品への切り替えが特におすすめです。
PB商品置き換えの節約効果として、1日20円節約できれば、1か月600円の節約になります。メーカー品にこだわりがある場合や、特別な日、ご褒美として、お気に入りのNB商品を楽しむというメリハリをつけることも、長期的な節約継続のコツなんです。
参考)【食費】買い物時に「PB商品」を選ぶのが節約のコツ 品質・価…
2025年版の調査では、ここ1~2年でプライベートブランドの商品を購入する頻度について、「増えた」と回答した割合が2019年比で7.4%高くなりました。PB商品は価格・品質、共に安定しており、一般メーカーの値上げラッシュが続く中でも、低価格を維持しているのは驚異的です。
参考)【物価高に】PB商品のトップバリュ(イオン)・セブンプレミア…
参考リンク:消費者庁が提供する食品表示に関する情報で、商品選びの参考になります
消費者庁 食品表示
参考リンク:農林水産省が公開する食生活指針で、賢い食品選びのヒントが得られます
農林水産省 食生活指針