カゼルタのピザが世界一に輝いた本場の魅力と楽しみ方

カゼルタのピザが世界一に輝いた本場の魅力と楽しみ方

カゼルタのピザで知るべき世界一の理由と楽しみ方

カゼルタのピザはナポリの"おまけ"だと思われています。でも実は、2025年の世界ランキング1位と11位と30位、計3店舗がカゼルタからランクインしています。


🍕 この記事でわかること
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世界1位はカゼルタのお店

2025年「50 Top Pizza World」でカゼルタの「I Masanielli」がニューヨークの名店と同点1位を獲得。ナポリではなくカゼルタが今、世界最高峰のピザの聖地です。

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水牛モッツァレラの本場がカゼルタ

「モッツァレラ・ディ・ブーファラ」のDOP産地の中心地がカゼルタ県。本場のピザには日本で食べるモッツァレラとは別物の濃厚チーズが使われています。

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カゼルタ流ピザの楽しみ方

予約は1ヶ月前が目安。有名店は夜のみ営業の日も多く、アクセス方法や予約のコツを知っておくと旅が格段にスムーズになります。


カゼルタのピザが「世界一」になった背景と歴史

ピザ好きなら誰もが「ピザといえばナポリ」と答えるでしょう。しかしその常識は、今や少し古くなっています。


2025年9月にイタリア・ナポリで開催された世界最高峰のピッツェリア格付けガイド「50 Top Pizza World 2025」で、カゼルタの「I Masanielli – Francesco Martucci(アイ・マサニエッリ)」がニューヨークの「Una Pizza Napoletana」と同点で世界1位に輝きました。さらに同ランキングの11位にもカゼルタの「Cambia-Menti di Ciccio Vitiello」がランクイン。30位には「I Masanielli – Sasà Martucci」という兄弟店が入り、カゼルタから計3店舗がトップ30に名を連ねるという快挙を果たしています。


「なぜカゼルタが?」と思うかもしれませんが、実はカゼルタはナポリからわずか約40km北に位置するカンパーニア州の都市です。世界遺産カゼルタ宮殿(ヴェルサイユ宮殿を模した王宮)で有名なこの地は、18世紀のブルボン王朝時代から王族の食文化を支えた食材の産地でもありました。ベスビオ火山の火山灰が堆積した肥沃な土壌と湿地帯が広がる地形が、質の高い農産物と水牛の飼育を可能にし、それがピザの素材のクオリティに直結しています。


「I Masanielli」を率いるフランチェスコ・マルトゥッチ氏がこのピッツェリアを開いたのは2001年のこと。最初はデリバリー専門の小さなお店からのスタートでした。2012年に70席ほどの店舗へ改装し、2017年に現在の場所へ移転。コツコツと積み重ねた20年以上の歩みが、世界1位という結果につながっています。小さなテイクアウト店が世界の頂点に立った、という事実はそれだけで十分ドラマチックです。


また同じカゼルタ県の小さな村「カイアッツォ(人口約5,000人)」には、フランコ・ペペ氏による「Pepe in Grani(ペペ・イン・グラーニ)」があります。こちらは過去2回世界一に輝いた経験を持ち、Netflixの「シェフズテーブル」でも紹介されて世界中から訪問者が訪れる超人気店です。カゼルタ県という一地域に、複数の世界クラスのピッツェリアが集中しているのは偶然ではなく、土地の食材力とピッツァイオーロたちのレベルの高さが背景にあります。


参考:50 TOP PIZZA WORLD 2025 世界のベストピッツェリア全ランキング(PR TIMES)


カゼルタのピザを支える「水牛モッツァレラ」の秘密

カゼルタのピザが特別な理由のひとつは、素材の質の高さです。なかでも「モッツァレラ・ディ・ブーファラ・カンパーナ DOP(水牛モッツァレラ)」は外せません。


カゼルタ県はイタリアでも有数の水牛飼育地帯です。12世紀ごろから続く水牛の飼育の歴史があり、800年以上前にさかのぼる伝統があります。このDOP(保護原産地呼称)認定チーズは、指定地域内の水牛の全乳のみを使用することが厳格に定められており、他の種類の乳は一切混ぜることが認められていません。


日本のスーパーでよく目にするモッツァレラは、ほぼ全て牛乳(cow's milk)から作られたものです。これとカゼルタ産の水牛モッツァレラとは、風味も食感もまったくの別物と考えた方がよいでしょう。水牛のミルクは牛乳と比べてタンパク質・脂質・カルシウムが豊富で、100gあたり約280kcalと中程度のカロリー。ミルキーな甘みとコク、表面はなめらかな真珠のような白色で、切ると中からほのかにアーモンドのような香りがするのが本物の証です。


栄養面でも優れた点があります。水牛モッツァレラには「リノール酸」という多価不飽和脂肪酸が含まれており、コレステロール値の正常化や炎症抑制作用が期待されています。また、乳糖含有量が非常に低い(0.3〜0.5g)ため、乳糖不耐症気味の方でも比較的消化しやすいという研究結果もあります。ナポリ大学薬学部の研究では、このチーズに含まれるペプチドが腸の粘膜を保護・再生する効果があることも報告されています。腸活に関心のある方には特に注目してほしい食材です。


カゼルタのピッツァイオーロたちは、この世界最高峰の水牛モッツァレラを「地元の素材」として当たり前に使います。つまり、カゼルタで食べるピザには、産地直送の最高品質の素材が乗っているわけです。これが日本で食べるどんな高級店のピザとも別物に感じる理由のひとつと言えます。


参考:カンパーニア州産水牛モッツァレッラの歴史と栄養学的特性(The Great Pizza・日本語)


カゼルタのピザ生地が「コンテンポラーネア」である理由

カゼルタの有名店が作るピザの多くは、伝統的なナポリピッツァとは別のジャンルに属します。それが「ピッツァ・コンテンポラーネア(現代風ピッツァ)」と呼ばれるスタイルです。


伝統的なナポリピッツァは、高温の窯で短時間(60〜90秒)で焼き上げ、柔らかくしっとりした生地が特徴です。一方でコンテンポラーネアは、生地作りの段階から根本的に異なります。「ビガ(Biga)」と呼ばれる事前発酵生地を使い、高加水(水分量が多い)で長時間発酵させることで、軽くてエアリーな食感と独特の香ばしい風味を生み出します。コルニチョーネ(ピザの耳の部分)がふっくらと高く膨れ上がるのが外見上の特徴で、食べると外側はパリッと、中はフワフワという複雑な食感があります。


「I Masanielli」のフランチェスコ・マルトゥッチ氏はさらにこれを独自進化させ、「蒸す→揚げる→焼く」という3段階の焼成工程を取り入れた唯一無二のピッツァを完成させています。これだけ手間をかけることで生地は油を吸わず、揚げているにもかかわらず驚くほど軽い仕上がりになります。食後の胃もたれがほぼないことも特徴です。


また「Pepe in Grani」のフランコ・ペペ氏は、地元食材へのこだわりを徹底しています。看板メニュー「マルゲリータ・スバリアータ(間違ったマルゲリータ)」は、通常のピザとは逆に、水牛モッツァレラをベースに焼いてから生のトマトソースを乗せるというスタイル。地元農家の「生で食べた方が美味しい」トマトの魅力を最大限に引き出すための逆転の発想から生まれたピザです。つまり食材ファーストの精神が、革新的なレシピを生んでいるということです。


長時間発酵させた生地は消化が良く、胃腸への負担が少ないという点も、健康に気を使う方にとってはうれしいポイントです。コンテンポラーネアが基本です。


カゼルタのピザを実際に食べるための予約・アクセス方法

実際にカゼルタのピザを食べに行くとなると、いくつか知っておくべきことがあります。予約なしに現地へ行くのはNG、と覚えておいてください。


まず「I Masanielli」への行き方ですが、カゼルタ駅から徒歩で約15分と比較的アクセスしやすい立地です。ローマからカゼルタへはユーロスター(高速列車)で約50分、ナポリからは普通電車でも約40分ほどで到着できます。日本からイタリアに飛んでローマに降り立てば、そのまま電車一本でカゼルタへ向かうことができる便利な立地です。


予約は公式サイト(pizzeriaimasanielli.it)からオンライン予約が可能です。営業時間は基本的に19:00〜深夜0:00で、木・金・土曜日はランチ営業もあります。月曜日は定休日となっています。予算は1人あたり20〜30ユーロが目安で、世界1位のお店にしてはリーズナブルな設定です。


一方、カゼルタ県カイアッツォの「Pepe in Grani」は、ローマから車で約2時間、ナポリからは電車とタクシーなどを組み合わせて向かう必要があります。人口5,000人の小さな村にある路地裏のお店で、予約は1ヶ月前でも人気時間帯が埋まっていることがほとんど。2名で飲み物・前菜・ピザ2枚・デザートを頼んで80ユーロ程度(サービス料15%込み)という実体験報告もあります。決して高額とは言えません。


予約のコツとして、2〜3か月前からの早期予約が理想的です。イタリア旅行を計画する際には、飛行機や宿よりも先に名店ピッツェリアの予約を押さえる、という発想に切り替えることをおすすめします。旅の目玉として計画の中心に置く価値が十分あるお店です。




























店名 場所 予算(1人) アクセス
I Masanielli カゼルタ市内 20〜30ユーロ カゼルタ駅から徒歩15分
Pepe in Grani カイアッツォ村 40ユーロ前後(2人で80ユーロ) ナポリから車・タクシー等で約1時間
Cambia-Menti カゼルタ近郊 20〜30ユーロ カゼルタ市内から車でアクセス


カゼルタのピザを日本で楽しむ・家庭で再現するためのヒント

「行きたいけど、今すぐイタリア旅行は難しい」という方にも、カゼルタスタイルのピザを楽しむ方法があります。知識があるだけで、家庭でのピザ作りや外食選びが変わります。


まずポイントになるのは「水牛モッツァレラを使う」ことです。日本国内でも、輸入食材専門店やオンラインショップで「モッツァレラ・ディ・ブーファラ DOP」は購入できます。価格は100〜150g前後で600〜1,000円前後が相場です。普通のモッツァレラと比べると割高ですが、一度試してみると味の違いに驚くはずです。サイゼリヤが直輸入しており、一部店舗でリーズナブルに食べることができるのも覚えておくと便利です。


次に生地の考え方ですが、カゼルタ流に近づけるなら「長時間発酵」がカギです。市販のピザ生地ミックスでも、冷蔵庫で24〜48時間ゆっくり発酵させるだけで、仕上がりの軽さと風味が格段に変わります。急いで作らないことが基本です。


また日本国内でコンテンポラーネアスタイルのピッツァを提供するお店も増えてきています。「コンテンポラーネア」「高加水ピッツァ」「ビガ生地」などのキーワードでお店を探してみると、カゼルタスタイルに近い体験が日本でも得られるでしょう。Tabelog(食べログ)やInstagramで検索する際のヒントとして活用してみてください。これは使えそうです。


また、カゼルタやカンパーニア州の食材への理解を深めるために、Netflixの「シェフズテーブル:ピッツァ編」(フランコ・ペペ特集回)を視聴するのもおすすめです。料理哲学とカゼルタの食文化が生き生きと描かれており、旅への意欲がさらに高まるはずです。


参考:【Masanielli】予約必須のカゼルタにある有名ピッツェリア(napolissimi.com)