

砂糖を減らせばヘルシーになると思ったら、カノムチャンの層がはがれなくなります。
カノムチャン(タイ語:ขนมชั้น)は、タイ語で「カノム=お菓子」「チャン=階・層」を意味する伝統的な蒸し菓子です。日本の「ういろう」に似た見た目と食感を持ちながら、ococoナッツミルクのやさしい甘さと、ぷるんとした独特の弾力が特徴で、日本人にも食べやすいと評判のタイスイーツです。
カノムチャンがタイで特別扱いされる理由は、その見た目の美しさだけではありません。タイでは「9」という数字が縁起の良い数字とされており、タイ語で「9」を意味する「ガーオ(เก้า)」が、「前進する・昇進する」を意味する言葉「ガーオ(ก้าว)」と発音が同じであることから、カノムチャンは伝統的に9層で作られることが多いです。
昇進祝いや結婚式、仏教行事のお供え物など、人生の節目に欠かせない縁起物として使われています。「食べる宝石」とも呼ばれるほど美しいお菓子です。
タイ旅行の際には作り立てが屋台や市場で買えますが、日持ちは短く、保存料を使わない手作りのものは冷蔵でも2〜3日が目安です。当日中に食べるのが最もおいしい食べ方。買ったらすぐに食べましょう。
| 項目 | カノムチャン | 日本のういろう |
|---|---|---|
| 主な粉 | 米粉+タピオカ粉(+葛粉) | 米粉(上新粉) |
| 風味 | ここナッツミルク+パンダン | 砂糖の甘み中心 |
| 作り方 | 薄く流して1層ずつ蒸し重ねる | 一体で蒸す |
| 層の数 | 9層(縁起の良い数) | 層なし |
食感は「もっちり&ぷるぷる」で、餅よりも弾力があり、ういろうよりも柔らかい独特の口当たりです。層を1枚ずつペロンとはがして食べるのが伝統的な食べ方で、これがきれいに剥がれることが「正しいカノムチャン」の証とされています。
参考:カノムチャンの縁起・文化的背景について詳しく解説されています。
とてもおいしい!タイの伝統的なお菓子「カノム・チャン」|地球の歩き方
カノムチャンを家庭で作るために必要な材料は、意外と少なくシンプルです。基本は「粉類+ここナッツミルク+砂糖+着色用の素材」の4グループに分けて考えると整理しやすくなります。
粉は3種類が基本です。
タピオカ粉が手に入らない場合は、片栗粉での代用が可能です。ただし、片栗粉は冷えると硬くなる性質があるため、冷蔵庫から出してすぐよりも、少し室温に戻してから食べると食感がよくなります。
| 材料 | 目安分量 | 役割・代用品 |
|---|---|---|
| タピオカ粉 | 200g | もっちり感の主役。片栗粉で代用可 |
| 米粉(上新粉) | 25〜30g | 生地のコシ・骨格 |
| 葛粉 | 25〜30g | なめらかさ。なければ省略OK |
| ここナッツミルク | 700〜750ml | 風味の主役。缶タイプで可 |
| 白砂糖 | 250〜350g | 甘みと生地のつなぎ |
| 塩 | 小さじ1/4 | 甘さを引き締める隠し味 |
| 着色素材 | 適量 | パンダン水・抹茶・バタフライピーなど |
ここで注意したいのが、砂糖の量を大幅に減らすのは逆効果ということです。砂糖はただ甘みをつけるだけでなく、生地同士をつなぐ役割や、層の柔軟性を保つ役割も担っています。砂糖を少なくしすぎると層がはがれにくくなり、食感もパサつきやすくなります。つまり砂糖の調整は慎重に、というのがコツです。
緑色の着色には、本格的にはパンダンリーフ(バイトゥーイ)を使います。パンダンリーフは「アジアのバニラ」とも呼ばれる爽やかな香りが特徴で、生葉・冷凍葉・エッセンスの3タイプがアジア食材店やネット通販で入手できます。
パンダンリーフが手に入らないときは、抹茶パウダーで代用すると和風の緑に仕上がり、バタフライピーを使うと青〜紫系の幻想的な色になります。色の選択肢が広いのもカノムチャン作りの楽しさのひとつです。
カノムチャンの作り方は、工程が多く見えますが、やっていることは「薄く流す→蒸す→乾いたら重ねる」の繰り返しです。コツさえ押さえれば初心者でも十分に作れます。
🔴 作り方の手順
蒸し器のフタに水滴がたまると、垂れ落ちた水が表面に当たり、きれいな層が崩れる原因になります。フタにキッチンペーパーや清潔なふきんを巻いておくと水滴を吸ってくれるので、表面が美しく仕上がります。これは意外と知られていないプロの小技です。
初めてカノムチャンを作ったとき、「層が混ざってしまった」「全然はがれない」「もっちり感が出ない」という声をよく聞きます。失敗には必ず原因があり、原因さえわかれば対処は簡単です。
❌ 失敗1:層と層が混ざる・にごる
原因はほぼ1つです。前の層がまだ完全に固まっていないうちに次の生地を流し込んでしまうことです。表面が濡れていると、次の生地が沈み込んで混ざってしまいます。解決策は「乾いてから流す」の一点集中です。指で優しく触れてみて、生地がつかない状態になってから次の層を重ねてください。
❌ 失敗2:層がうまくはがれない
層がはがれない場合は、タピオカ粉の割合が少なすぎるか、蒸し時間が短い可能性があります。タピオカ粉が弾力を生むため、少ないと層同士がくっついてしまいます。また、先ほど述べたように砂糖を大幅に減らした場合も層の柔軟性が失われてはがれにくくなります。
❌ 失敗3:もっちりしない・固すぎる
やわらかすぎる場合は水分が多いか蒸し時間が不足している可能性があります。固すぎる場合は粉が多すぎるか蒸しすぎです。層ごとの厚みを一定にして蒸し時間を管理する習慣をつけると、次回から安定した仕上がりになります。
❌ 失敗4:型からうまく外れない
まずはしっかり冷やすのが先決です。冷え切っていないと生地が柔らかすぎて型から外しにくくなります。あらかじめクッキングシートを敷いておくか、型の内側にサラダ油をしっかり塗っておくと外しやすくなります。
| 失敗の症状 | 主な原因 | 解決策 |
|---|---|---|
| 層が混ざる | 前の層がまだ濡れている | 指で触って乾きを確認してから流す |
| 層がはがれない | タピオカ粉が少ない・砂糖不足 | タピオカ粉の割合を増やす・砂糖を適量に |
| もっちりしない | 水分過多・蒸し不足 | 水分量を調整・蒸し時間を延ばす |
| 固すぎる | 粉が多い・蒸しすぎ | 粉の量を減らす・蒸し時間を短縮 |
| 型から外れない | 冷え不足・油なし | しっかり冷やす・クッキングシートを活用 |
失敗してもリカバリーできることが多いです。大丈夫です。
参考:カノムチャンの作り方・層をきれいにするコツについて詳しく解説されています。
本場タイのカノムチャンは緑×白の2色が基本ですが、日本の家庭で作るときは着色素材を変えると、見た目のバリエーションが一気に広がります。これは検索上位にはあまり出てこない、自宅ならではのアレンジの楽しみです。
3色以上に増やすときは水分量の管理が肝心です。色素液を加えると生地の水分が増えるため、白い生地も同じ量になるよう調整しながら作ることで、層の厚みが均一に揃います。
型は15cm×15cmのバットが切りやすく断面も見やすいのでおすすめです。型がなければ牛乳パックで代用できます。牛乳パックを開いてクッキングシートを内側に敷くだけで、手軽に型として使えます。ただし牛乳パックは耐熱性が高くないため、強い蒸し圧がかかる場合は注意が必要です。
完成したカノムチャンの保存方法は、乾燥を防ぐことが最優先です。ラップをしっかりかけて密閉し、冷蔵庫へ。冷蔵で保存すると食感がやや硬くなりますが、食べる10〜15分前に室温に出しておくともとのぷるぷる感が戻ってきます。冷蔵保存の目安は2〜3日です。それ以上は風味が落ちるので、できれば2日以内に食べ切るのが理想です。
参考:カノムチャンの日持ちや保存方法についての詳細はこちら。
タイの伝統菓子「カノムチャン」とは?特徴やおすすめの購入スポット|NativeCamp