
かぼちゃは私たちの食卓に欠かせない野菜の一つですが、実はその種類は非常に多様です。大きく分けると「西洋かぼちゃ」「日本かぼちゃ」「ペポかぼちゃ」の3種類に分類されます。それぞれに特徴があり、料理によって使い分けることで、かぼちゃの魅力を最大限に引き出すことができます。
スーパーマーケットで見かけるかぼちゃのほとんどは西洋かぼちゃですが、日本かぼちゃやペポかぼちゃも少しずつ市場に出回るようになってきました。この記事では、それぞれの種類の特徴や代表的な品種、栄養価の違いなどを詳しく解説していきます。
かぼちゃの3種類の基本的な特徴と見分け方を理解しておくと、買い物の際や料理を作る際に役立ちます。
西洋かぼちゃは、皮がつるっとしていて、ホクホクとした食感と強い甘みが特徴です。一般的にスーパーで見かける緑色の皮を持つかぼちゃのほとんどがこれに該当します。西洋かぼちゃは「栗かぼちゃ」とも呼ばれ、その名の通り栗のようなホクホク感があります。
日本かぼちゃは、皮の表面がでこぼこしていることが多く、ねっとりとした食感で淡白な味わいが特徴です。煮崩れしにくいため、煮物などの長時間加熱する料理に向いています。現在では高級料亭などで使われることが多く、一般のスーパーではあまり見かけません。
ペポかぼちゃは、そうめんかぼちゃやズッキーニなど少し変わり種が多い種類です。シャキシャキとした食感が特徴で、西洋かぼちゃや日本かぼちゃとは全く異なる味わいを持っています。
かぼちゃの種類を見分ける際には、ヘタの形状も重要な手がかりになります。西洋かぼちゃはヘタがコルク化しているのに対し、日本かぼちゃはヘタが木質になっているという違いがあります。この特徴を覚えておくと、外見だけでは判断しづらい品種でも区別することができます。
西洋かぼちゃは日本で最もポピュラーなかぼちゃで、多くの品種が存在します。代表的な品種とその特徴を見ていきましょう。
黒皮栗かぼちゃ(えびすかぼちゃ):現在広く流通しているかぼちゃの代名詞とも言える品種です。「みやこかぼちゃ」「えびすかぼちゃ」「くりゆたか」「九重栗南瓜」などの品種の総称として使われています。皮は黒みがかった深い緑色で、果肉はオレンジ色です。ホクホクとした食感と適度な甘みがあり、煮物やスープ、お菓子など幅広い料理に使えます。
坊ちゃんかぼちゃ:手のひらサイズの小ぶりなかぼちゃで、約500gほどの重さです。粉質でホクホクとした食感があり、甘みも強いのが特徴です。一般的な栗かぼちゃと比べて栄養価が高く、タンパク質やβカロテン、糖質などは3倍以上含まれています。小さいサイズを活かして、器として使われることもあります。
雪化粧:灰白色の皮が特徴的で、その名の通り雪をかぶったような見た目をしています。粉質が強く、ホクホクとした食感が楽しめます。貯蔵性に優れており、適温で保存すれば年明けごろに糖度が最も高くなるという特徴があります。特に冬至の頃には熟成が進んで甘みが増すため、お菓子の素材としても重宝されています。
ロロンかぼちゃ:ラグビーボールのような細長い形が特徴的な比較的新しい品種です。肉質は非常に粉質で、きめが細かく、滑らかな舌触りと上品な甘さが感じられます。加熱するとホクホクしていながら滑らかな食感が楽しめるため、ポタージュやスイーツに向いています。
宿儺(すくな)かぼちゃ:岐阜県高山市丹生川町周辺で栽培されている高級ブランドかぼちゃです。1個1000〜1800円もする高級品で、果肉は肉厚でホクホクとした食感と強い甘みが特徴です。かぼちゃ特有の臭みが少ないため、ポタージュやパイ、プリンなどのお菓子に適しています。
日本かぼちゃは現在では入手が難しくなっていますが、その独特の食感と風味から高級料亭などで重宝されています。代表的な品種をいくつか紹介します。
黒皮かぼちゃ(日向かぼちゃ):宮崎県の特産物として知られる日本かぼちゃの一種です。黒くて艶のある皮が特徴で、表面がごつごつしています。肉質が粘質でねっとりとしており、煮崩れしにくいという特性があります。味はほんのりとした柔らかい甘みと繊細な風味が楽しめます。大きさが小ぶりで、切ると外皮の黒と果肉の鮮やかな黄色のコントラストが非常に美しく、中をくりぬいて器として用いられることも多いです。
菊かぼちゃ(小菊かぼちゃ):規則的に深い縦溝が入り、輪切りにすると菊の花のような形をしていることからこの名前がつきました。手のひらに収まるほどの小さなサイズで、熟すと皮が黄色やオレンジ色に色づきます。みずみずしく淡白な味わいなので、味付けは薄く仕上げるのがおすすめです。もともとは福島県会津地方の伝統野菜でしたが、現在では石川県や福井県などでも栽培されています。
三毛門かぼちゃ:赤茶けた皮が特徴で、重さ3〜4キロほどの大きさです。国内最古の渡来種とされ、約430年前にポルトガルから伝来したと言われています。かつては皇室にも献上されていたほど珍重されていましたが、現在では保存会の約30人が約50アールで栽培するのみとなり、非常に希少な品種となっています。
ちりめんかぼちゃ:愛知県などで古くから作られてきた品種で、表面が縮れたようにでこぼこしていることからこの名前がつきました。日本かぼちゃの特徴であるねっとりとした食感と淡白な味わいを持っています。
日本かぼちゃは煮崩れしにくいという特性から、煮物に最適です。特に和食の伝統的な煮物料理では、その独特のねっとりとした食感と上品な味わいが活きます。また、淡白な味わいを活かして、だしの風味を引き立てる料理にも向いています。
ペポかぼちゃは西洋かぼちゃや日本かぼちゃとは全く異なる特徴を持つ種類で、北米南部の乾燥した地域で作られた品種の総称です。日本ではあまり馴染みがなかったものの、近年少しずつ市場に出回るようになってきました。
ズッキーニ:ペポかぼちゃの代表格で、緑色の細長い形状が特徴です。実は若いうちに収穫するかぼちゃの一種で、シャキシャキとした食感と淡白な味わいが特徴です。炒め物やグリル、天ぷらなど様々な料理に活用されています。
そうめんかぼちゃ:調理すると果肉が麺状にほぐれることからこの名前がつきました。低カロリーで食物繊維が豊富なため、ダイエット食材としても注目されています。茹でた後にフォークでほぐすと麺状になり、パスタ代わりに使ったり、サラダに加えたりすることができます。
おばけかぼちゃ(ハロウィンかぼちゃ):ハロウィンの飾りとして使われる大型のかぼちゃです。食用というよりは観賞用として栽培されることが多いですが、種は食用として利用されることがあります。
ストライプペポ:縞模様の皮が特徴的なペポかぼちゃの一種です。西洋かぼちゃより大きく、中には硬い殻がない大きな種がたくさん詰まっています。その種は加工がしやすく、食材として使われています。種には鉄分や亜鉛、βカロチンが豊富に含まれており、健康や美容に良いとされています。
ペポかぼちゃは他の種類と比べて水分が多く、シャキシャキとした食感が特徴です。そのため、生食やサラダ、炒め物など短時間で調理する料理に向いています。また、若いうちに収穫されるものが多いため、皮ごと調理できるものも多いのが特徴です。
かぼちゃの種類によって含まれる栄養素にも違いがあります。それぞれの種類の栄養価と健康効果について見ていきましょう。
西洋かぼちゃ:カリウム、β-カロテン、ビタミンC、食物繊維が豊富に含まれています。特にβ-カロテンは日本かぼちゃの5倍以上、ビタミンCは2倍以上含まれているのが特徴です。β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、視力の維持や皮膚の健康維持に役立ちます。また、抗酸化作用もあり、免疫力の向上にも寄与します。
日本かぼちゃ:西洋かぼちゃほどではありませんが、カリウムやβ-カロテン、ビタミンCなどを含んでいます。特に葉酸は西洋かぼちゃやペポかぼちゃよりも多く含まれているのが特徴です。葉酸は細胞の生成や成長に関わる栄養素で、特に妊娠中の女性にとって重要とされています。
ペポかぼちゃ(ズッキーニ):水分が多く、カロリーが低いのが特徴です。ビタミンKが西洋かぼちゃや日本かぼちゃよりも多く含まれています。ビタミンKは血液凝固や骨の形成に関わる重要な栄養素です。
かぼちゃの皮にも栄養があります。特に西洋かぼちゃの皮には果肉以上のβ-カロテンが含まれているといわれており、皮付きで調理することで栄養を効率よく摂取することができます。皮が柔らかい品種であれば、皮ごと調理して食べるのがおすすめです。
また、かぼちゃの種にも栄養が豊富に含まれています。特にタンパク質(26.5g/100g)、亜鉛(7.7mg/100g)、葉酸(79μg/100g)、食物繊維(7.3g/100g)などを多く含んでいます。西洋かぼちゃの果肉と比較すると、β-カロテンは少ないものの、葉酸と食物繊維は果肉よりも多く含まれています。かぼちゃの種は洗って乾燥させ、ローストして塩を振るだけで美味しいスナックになります。
かぼちゃは種類によって旬の時期や保存方法が異なります。それぞれの特性を理解して、最適な時期に最適な方法で楽しみましょう。
西洋かぼちゃの旬と選び方。
西洋かぼちゃの収穫時期は主に夏から秋にかけてですが、貯蔵性が高いため一年中市場に出回っています。特に「雪化粧」などの品種は貯蔵することで糖度が増すため、冬至の頃が最も美味しいとされています。
西洋かぼちゃを選ぶ際のポイントは以下の通りです。
日本かぼちゃの旬と選び方。
日本かぼちゃも基本的には夏から秋にかけて収穫されますが、西洋かぼちゃほどの貯蔵性はありません。新鮮なものを選ぶことが重要です。
日本かぼちゃを選ぶ際のポイントは以下の通りです。
ペポかぼちゃの旬と選び方:
ペポかぼちゃは他の種類と比べて保存性が低く、特にズッキーニなどは収穫後の鮮度が重要です。夏が旬の時期で、新鮮なものを選ぶことが大切です。
ペポかぼちゃを選ぶ際のポイントは以下の通りです:
かぼちゃの保存方法と保存期間:
かぼちゃの種類によって保存方法や保存期間が異なります。適切な方法で保存することで、長期間美味しく食べることができます。
丸ごとかぼちゃの保存方法:
丸ごとのかぼちゃは、新聞紙で包み、ヘタを上にして風通しのよい冷暗所に置くと長期間保存できます。日の当たらない10℃前後の場所が理想的です。温度帯の理想は10~15℃で、それより温かいと腐りやすく、それより寒いとかぼちゃの糖化(デンプン質が分解されて甘くねっとりしていく)が進みません。
夏場は冷蔵庫の野菜室に入れるのがおすすめです。新聞紙に包んでポリ袋に入れ、野菜室で保存すると、かぼちゃを傷ませる心配も少なくなります。
丸ごとかぼちゃの保存期間:
丸ごとのかぼちゃは適切な場所を選べば、約2ヶ月程度の保存が可能です。品種によっては「栗天下」のように12月いっぱいまで、「雪化粧」のように年明けまで長持ちするものもあります。
かぼちゃを切らずに丸ごと保存していると、熟成が進み、水分が抜けて甘味が増すため、よりおいしく食べられるという利点もあります。
カットかぼちゃの冷蔵保存:
カットしたかぼちゃは、以下の手順で冷蔵保存します:
カットしたかぼちゃの冷蔵保存期間は3~5日程度です。種とワタを取り除いてポリ袋に入れるかラップをし、冷蔵庫の野菜室で保存すると約1週間は日持ちするという情報もあります。
カットかぼちゃの冷凍保存:
カットしたかぼちゃを長期保存するには、冷凍がおすすめです。冷凍保存の方法は以下の3つがあります:
冷凍庫で保存したかぼちゃは約1ヶ月程度の保存が可能ですが、適切に保存すれば3ヶ月以上は美味しく食べられるとの情報もあります。
冷凍かぼちゃの調理方法:
冷凍保存したかぼちゃは、解凍せずに加熱調理するのがおすすめです。解凍すると水分が抜けて食感が悪くなり、味も損なわれてしまうためです。
冷凍のままかぼちゃの煮物にする場合は、凍った一切れずつのかぼちゃを鍋に入れ、醤油や砂糖で作った煮汁を作り加熱するだけです。スープやシチューにも、凍ったまま入れるのがおすすめです。
マッシュかぼちゃを使用する場合は、電子レンジで熱くなるまでしっかり温めなおしてから使用すると、余分な水分も飛び、ホクホクとした食感が楽しめます。
かぼちゃの種類によって食感や味わいが異なるため、それぞれの特性を活かした調理法があります。
西洋かぼちゃの調理法:
西洋かぼちゃはホクホクとした食感と強い甘みが特徴なので、シンプルな調理法でその美味しさを引き出せます。
日本かぼちゃの調理法:
日本かぼちゃはねっとりとした食感で煮崩れしにくいという特性を活かした調理法がおすすめです。
ペポかぼちゃの調理法:
シャキシャキとした食感を活かした調理法が向いています。
かぼちゃは保存性の高い野菜ですが、保存状態や品種によっては傷みが早い場合もあります。傷んだかぼちゃの見分け方と注意点を知っておきましょう。
カビの確認:
丸ごと常温保存できるかぼちゃにもカビが生えることがあります。皮の部分が白く変色している場合はカビを疑い、中身まで傷んでいないか確認しましょう。カットしたかぼちゃでは、タネとワタを取り除いた部分にカビが生えやすくなります。調理前に白や緑に変色した部分がないか、よく観察することが大切です。
硬さの変化:
丸ごとのかぼちゃを触ってやわらかくなっていたら、中身が腐っている可能性があります。カットしたかぼちゃも、やわらかくて糸を引いているような場合は、傷んでいるため処分しましょう。
異臭の確認:
冷凍庫で保存したかぼちゃは、解凍したときに異臭を発することがあります。保存期間が長いと、水分が気化して「冷凍焼け」を起こしたり、脂質やタンパク質、色素などが酸化されることがあります。臭いが気になる場合は、カレーなどの香りの強い料理に使用すると、違和感なくかぼちゃを楽しめます。
品種ごとの注意点:
品種によって保存性が異なります。「みやこ」は10月頃までに、「味平」は10月中旬までに食べ切るのがおすすめです。一方、「栗天下」は12月いっぱいまで、「雪化粧」は年明けまで長持ちします。「九重栗」は日持ちがあまりしないため、購入後は1ヶ月程度で食べ切りましょう。
保存している間にヘタの部分が腐ったり、輸送中についた傷からカビが発生することもあります。長期間保存が可能な品種のカボチャも、輸送中の傷や個体差で日持ちしないこともあるため、腐敗やカビを発見したら早めに食べるようにしましょう。
かぼちゃは季節の行事と深く結びついた食材でもあります。各種類のかぼちゃを活かした行事食を紹介します。
冬至のかぼちゃ:
日本では冬至にかぼちゃを食べる習慣があります。「冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない」という言い伝えがあり、これは冬至が一年で最も日照時間が短い日であることから、太陽の力が弱まる時期に黄色い食べ物を食べて陽の気を取り入れるという考えに基づいています。西洋かぼちゃの中でも「雪化粧」は貯蔵性に優れ、冬至の頃には甘みが増しているため、この時期の行事食に最適です。
ハロウィンのかぼちゃ:
ハロウィンには大型のペポかぼちゃ(おばけかぼちゃ)を使ったジャック・オー・ランタンが定番です。観賞用として栽培されることが多いですが、種は食用として利用されることもあります。西洋かぼちゃを使ったパンプキンパイやパンプキンスープなども、ハロウィンの季節に楽しまれる料理です。
夏の行事食:
ペポかぼちゃの一種であるズッキーニは夏が旬で、さっぱりとした料理に向いています。七夕や夏祭りなどの行事食として、ズッキーニを使った冷製スープや天ぷらなどが楽しまれています。
かぼちゃの種類を知り、それぞれの特性を活かした保存方法と調理法を実践することで、一年を通じてかぼちゃの美味しさを最大限に引き出すことができます。季節の行事とともに、様々な種類のかぼちゃを楽しんでみてはいかがでしょうか。
北海道でよく食べられるかぼちゃには、「北海道カボチャ」と「北洋カボチャ」があります。北海道カボチャは、甘くてねっとりとした食感が特徴的で、主にスープや煮物に使われます。一方、北洋カボチャは、果皮が柔らかく、煮崩れしないため、煮物や炒め物などに適しています。
かぼちゃの品種によって、おすすめの料理が異なります。以下は代表的なものです。
おすすめの理由は?なぜおすすめなの?
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