

口管強(口腔管理体制強化加算)を未届けのまま算定すると、返戻で丸ごと損します。
患者がかかりつけ歯科医を探す際に使う検索先を、歯科従事者側がきちんと把握しておくことは、集患・地域連携の観点から非常に重要です。主な公的検索プラットフォームは次のとおりです。
| サービス名 | 運営主体 | 特徴 |
|---|---|---|
| 全国の歯医者さん検索 | 日本歯科医師会(日歯) | 日歯会員医院を地図・条件で検索。会員なら無料でHP作成も可能 |
| 医療情報ネット(ナビイ) | 厚生労働省 | 都道府県・診療科目・設備などで絞り込み可。口管強届出状況も反映 |
| 各都道府県歯科医師会の検索 | 地域歯科医師会 | 地域特性に合わせた詳細な情報。東京・埼玉・札幌など地域ごとに独自展開 |
| EPARK歯科 / 歯科タウン | 民間ポータル | 掲載件数が約68,000件超と多く、ネット予約・口コミ確認が可能 |
日本歯科医師会の「全国の歯医者さん検索」は、会員であれば院内HPの無料作成サービスも利用できます。これは使えそうです。
厚生労働省の「ナビイ(医療情報ネット)」では、口管強などの施設基準届出の有無を条件として絞り込む機能があります。つまり、口管強を届け出た医院かどうかが患者にも見えてしまうということです。口管強の届出をしていない場合、検索結果で埋もれるリスクがある点は覚えておく必要があります。
患者が歯科医院を探す際、約55.7%が「(かかりつけ)歯科医院での定期的な検診(健診)」をきっかけにしているというデータ(厚生労働省「令和6年歯科疾患実態調査」)があります。定期受診のプラットフォームに自院が掲載されているかを確認しておくことが、来院機会の最大化につながります。
参考:かかりつけ歯科医の検索と口管強届出状況を確認できる厚生労働省の医療情報ネット。
参考:日本歯科医師会が運営する全国の歯科医院検索サービス。会員医院のHP作成も無料で可能。
「かかりつけ歯科医」とは、日本歯科医師会の定義によれば、「安全・安心な歯科医療の提供のみならず、医療・介護に係る幅広い知識と見識を備え、地域住民の生涯にわたる口腔機能の維持・向上をめざし、地域医療の一翼を担う者としてその責任を果たすことができる歯科医師」のことを指します。単に虫歯を治す存在にとどまらず、乳幼児期から高齢期まで継続して口腔管理を担うことが求められているのです。
2024年(令和6年)6月の診療報酬改定では、かかりつけ歯科医の機能を評価する制度である「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)」が廃止となり、新たに「口腔管理体制強化加算(口管強)」へ名称が変更されました。廃止という言葉が独り歩きしがちですが、実質は名称と施設基準の見直しであり、かかりつけ歯科医の機能を評価する制度そのものは継続されています。
名称変更の背景には、患者が持つ「かかりつけ歯科医」のイメージと「か強診」という制度名のギャップが分かりにくいという声があったこと、また、ライフコースに応じた口腔管理を掲げながら小児に関する要件が施設基準に含まれていなかったことへの見直しが挙げられます。つまり「小児」と「在宅」の両方に対応できる体制をより重視する方向へと進化したということです。
口管強の届出件数は増加しており、令和6年(2024年)8月1日時点で全国14,498件に達しています。前年の12,736件から大きく伸びており、制度への注目度が高まっています(中央社会保険医療協議会・主な施設基準の届出状況より)。一方、全国の歯科診療所総数は約66,000〜67,000件程度であることを踏まえると、まだ全体の2割程度にとどまる計算です。競合他院との差別化という観点でも、届出を検討する価値があります。
参考:2024年改定でのか強診から口管強への移行の背景と詳細。施設基準の比較もわかりやすく解説されています。
か強診が口腔管理体制強化加算(口管強)に変更! 施設基準や届出方法を解説 - ジョブメドレーアカデミー
口管強を算定するには、厚生労働省が定める施設基準をすべて満たしたうえで、地方厚生局へ届出を行う必要があります。旧・か強診との大きな変更点は「小児口腔機能管理」「根面う蝕管理」に関する算定実績が新たに加わった点です。以下に主要な要件を整理します。
| 項目 | 内容(主要抜粋) |
|---|---|
| (1)人員配置 | 歯科医師が複数名、または歯科医師・歯科衛生士がそれぞれ1名以上配置されていること |
| (2)算定実績① | 過去1年間に歯周病安定期治療または歯周病重症化予防治療を合計30回以上算定していること |
| (2)算定実績②🆕 | 過去1年間にエナメル質初期う蝕管理料または根面う蝕管理料を合計12回以上算定していること(旧・か強診は「フッ化物歯面塗布10回以上」) |
| (3)口腔機能管理🆕 | 過去1年間に小児口腔機能管理料、口腔機能管理料等を合計12回以上算定していること(旧・か強診にはなかった要件) |
| (4)訪問診療 | 過去1年間に歯科訪問診療1〜3を合計5回以上算定するか、連携する在宅療養支援歯科診療所への依頼でも可(🆕連携体制の整備でも代替可に緩和) |
| (5)診療情報提供 | 過去1年間に診療情報提供料または診療情報等連携共有料を合計5回以上算定していること |
| (6)研修修了🆕 | 「小児」に関する心身の特性および緊急時対応の研修修了が追加(旧・か強診は高齢者のみ) |
| (9)地域活動 | 地域ケア会議年1回以上参加、介護認定審査会委員の経験など12項目中3つ以上に該当すること |
| (10)設備 | 歯科用吸引装置(ユニット毎)、AED、パルスオキシメーター、酸素供給装置、血圧計、救急蘇生セットを保有 |
🆕マークが旧・か強診からの変更・追加点です。特に注意が必要なのは(3)の口腔機能管理実績と(6)の小児に関する研修の追加です。か強診届出済みの医院であっても、これらを新たにクリアしないと、2025年6月以降は口管強として算定できなくなります。
2025年5月末が期限です。旧・か強診届出済みで経過措置を受けていた医院は、必ず再届出状況を確認してください。
参考:口管強の施設基準全文・経過措置の詳細については厚生労働省の公式PDFをご確認ください。
令和6年度診療報酬改定の概要【歯科】 - 厚生労働省保険局医療課
口管強の届出は、地方厚生局への郵送提出が基本です。オンラインでの受付ではないため、書類準備に余裕を持って取り組む必要があります。提出に必要な書類は、主に以下の3点です。
書類様式は、各地方厚生局(北海道・東北・関東信越・東海北陸・近畿・中国四国・九州)のウェブサイトに掲載されています。所在地の管轄厚生局のページを確認するのが原則です。
届出後に診療報酬改定が行われ、施設基準の要件や様式が変更になった場合は、再届出が必要になることもあります。これが条件です。「以前届け出たから大丈夫」という思い込みが、実は算定ミスや返戻の原因になることがあるので注意が必要です。
届出が受理されると、医療情報ネット(ナビイ)などの公的プラットフォームでも口管強対応医院として表示されるようになります。患者から信頼される歯科医院として、地域への可視化という観点でも届出には意義があります。
届出タイミングとして、毎月末日までに地方厚生局へ到達すれば翌月から算定可能になります。月をまたいで損をしないよう、早めの提出を意識しましょう。
参考:口管強の届出書類の書き方や経過措置のポイントが詳しく解説されています。
口腔管理体制強化加算(口管強)の点数や算定要件 - 3tei
口管強を届け出ると、一般の歯科診療所よりも高い点数を算定できる項目が複数生まれます。実際に差が出る場面を具体的に見てみましょう。
最もわかりやすい例は歯周病安定期治療の算定頻度です。一般の歯科診療所では3か月に1回しか算定できませんが、口管強を届け出た医院は毎月1回算定が可能になります。単純計算で、年間で3倍の頻度で算定できるということです。1患者あたりの管理収入が大きく異なってきます。
加えて、口管強でのみ算定できる加算項目もあります。歯周病安定期治療に係る加算(口管強は一般歯科よりも120点高く算定)や、根面う蝕管理料など、継続的な管理に対するインセンティブが手厚い設計となっています。これは使えそうです。
一方で、算定点数が高くなれば当然、患者の自己負担も増加します。1割負担・2割負担・3割負担のいずれの患者であっても、支払額が増えることには変わりありません。告知なしに窓口負担が増えると、患者からのクレームに直結します。厳しいところですね。
この問題を防ぐために有効なのが、口管強対応医院であることの事前周知です。院内掲示(受付・待合室・チェアサイドなど)、公式ウェブサイト、来院時の口頭説明という3点セットで丁寧に案内することが推奨されています。説明のタイミングは初診時か、口管強を算定し始める初