甲イカのさばき方と下処理・墨袋の扱い方完全ガイド

甲イカのさばき方と下処理・墨袋の扱い方完全ガイド

甲イカのさばき方と下処理の完全手順

甲(コウ)を取り出さずに包丁を入れると、身が台無しになります。


🦑 この記事でわかること
🔪
胴体・甲の外し方

甲イカ特有の硬い甲(軟骨)の取り出し方と、胴体を開く正しい手順を解説します。

🖤
墨袋の扱い方

破らずに墨袋を取り出すコツと、万が一破れたときのリカバリー方法を紹介します。

皮むき・足の下処理

薄皮を素早く剥くテクニックと、足・ゲソ部分を食べやすく処理する手順を説明します。


甲イカのさばき方:胴体と甲(コウ)の外し方


甲イカを購入してキッチンに置いたとき、多くの方が「どこから手をつければいいんだろう」と感じるはずです。スルメイカアオリイカとは違い、甲イカの胴体の中には石灰質の硬い「甲(コウ)」が入っており、これを最初に意識しないと包丁がうまく入りません。これが基本です。


まず、流水で甲イカ全体を軽く洗い、表面のぬめりを落とします。甲イカの胴体(外套膜)は大人の手のひら1枚分ほどの大きさ(約20〜25cm)で、触ると背側に固い板のような感触があります。これが甲です。甲の入っている側(背側)を上にして、胴体の端に指を差し込み、甲の縁に沿ってゆっくり剥がすように引き抜きます。


甲は意外とするりと抜けます。強引に引っ張ると胴が破れることがあるため、焦らず丁寧に進めましょう。甲を取り出し終えたら、次に胴体の内側に指を入れ、ワタ(内臓)と胴をつないでいる薄い膜を指先でやさしく剥がします。この膜が残ったまま引っ張ると、墨袋が破れる原因になります。注意が必要です。


胴体からワタをゆっくり引き出したら、続いて足(触腕・腕)の部分を胴体から引き離します。イカの目の上あたりで足とワタがつながっているため、目の少し上の部分でキッチンはさみか包丁で切り離すと、次の処理がしやすくなります。


手順 作業内容 ポイント
流水で洗う ぬめり・表面の汚れを落とす
甲を引き抜く 背側から指を入れて縁に沿って抜く
膜を剥がす 墨袋を破らないよう指先で丁寧に
ワタを引き出す ゆっくり引いて墨袋を守る
足を切り離す 目の上でカット


甲イカのさばき方:墨袋を破らずに取り出すコツ

墨袋の扱いは、甲イカをさばくうえで最大の難所と言っても過言ではありません。破れると墨が広がり、まな板・手・衣類が真っ黒になります。これは避けたいですね。


墨袋は、ワタの中に銀色〜黒っぽい半透明の薄い袋として存在しています。大きさはちょうど小指の先ほど(約1〜2cm)で、非常に繊細です。ワタを引き出した後、墨袋の根元をつまんで、他の内臓からゆっくり切り離します。このとき、墨袋を直接つまむのではなく、袋の付け根の少し下側(ワタ側)をつまむのが破れにくくなる最大のポイントです。


万が一墨袋が破れてしまった場合も、慌てる必要はありません。まな板にこぼれた墨は、塩を少量ふりかけてから水で流すと落としやすくなります。手についた墨は石けんで洗うと落ちますが、爪の間に入ると取れにくいため、作業前にゴム手袋を使う方法もあります。


墨を料理に使いたい場合は、取り出した墨袋を清潔な小皿の上で破り、中身を集めておきます。甲イカの墨は量が少ないため、イカ墨パスタなどに使う場合は複数杯分をまとめると良いでしょう。使わない場合は、墨袋ごとキッチンペーパーで包んで処分すれば臭いも広がりません。つまり処理方法は2択です。


  • 🖤 墨袋を料理に使う場合:付け根の下側をつまんで切り離し、小皿に移してから破る
  • 🗑️ 墨袋を捨てる場合:キッチンペーパーに包んでそのまま廃棄。まな板の汚染を防げる


甲イカの皮むきと胴体の開き方

ワタと甲を取り除いた胴体は、皮をむく前に開くと作業がしやすくなります。胴体の側面(ヒレ側)に沿って包丁を縦に一直線に入れ、筒状の胴体を1枚の板状に開きます。開くと内側に薄い膜が残っていることがありますが、これも指かキッチンペーパーで拭き取りましょう。内側が清潔なら問題ありません。


皮むきは2層構造になっています。外側の茶色〜紫色の皮(表皮)と、その下にある薄い白っぽい皮(内皮)があり、どちらも取り除くと口当たりがよくなります。表皮は胴体の端をつまんで引っ張るだけで比較的するりと剥けます。ただし、甲イカはスルメイカより皮が厚く、引っ張る力が必要なので、キッチンペーパーで皮をつまむと滑らず剥きやすくなります。


内皮は表皮を剥いだ後に残る薄い膜で、包丁の背や指先でこそぎ取るように剥がします。内皮を残したまま調理すると、加熱時に身が丸まりやすくなります。特に刺身で食べる場合は内皮まで丁寧に取り除いた方が食感が格段に良くなります。これは覚えておけばOKです。


甲イカの胴体の厚みはスルメイカより厚く(約8〜10mm)、切り込みを入れると見た目も美しく仕上がります。刺身にする場合は繊維と直角に包丁を入れ、1cm幅を目安に切ると食べやすい大きさになります。炒め物や煮物に使う場合は、内側に斜め格子状の切り込み(飾り包丁)を入れると火が均一に通り、味も染み込みやすくなります。


調理方法 切り方 厚さの目安
刺身 繊維と直角に細切り 7〜10mm幅
炒め物 格子状に飾り包丁を入れてから角切り 3〜4cm角
煮物 輪切りまたは短冊切り 1〜1.5cm幅
天ぷら・フライ そのまま or 短冊 厚みを均一に


甲イカのさばき方:足(ゲソ)・エンペラの下処理

足(ゲソ)とエンペラ(ヒレ)も、胴体と同様に丁寧に処理すると美味しく食べられます。これも基本です。


エンペラは胴体の両側についている三角形のヒレ部分で、胴体を開く際に自然に剥がれることもありますが、剥がれない場合は指先を差し込んで引き剥がします。エンペラにも皮がついているため、胴体と同じ要領でキッチンペーパーを使ってつまみながら皮を剥きましょう。エンペラは甘みが強く、刺身や炒め物に使える部位です。捨てないでください。


足(腕・触腕)の処理では、まず吸盤の処理が重要です。甲イカの吸盤は環状に並んだキチン質の「爪」がついており、これが鋭く口当たりの悪さにつながります。塩をふって手のひらでもむように揉み洗いすることで、吸盤の爪が取れやすくなります。塩もみは30秒ほど行えば十分です。


目玉と口(くちばし)は必ず取り除きます。目玉の部分はキッチンばさみで切り落とし、足の付け根の中心にある硬い口(嘴状のくちばし)は指で押し出すように取り除きます。くちばしを見つけ損ねると食感の悪さにつながるため、指先でしっかり確認しましょう。見つけにくいですが必須です。


  • 🦑 エンペラ:胴体と同様に皮を剥いて刺身・炒め物に活用
  • ✂️ 目玉:キッチンばさみで切り落とす
  • 👄 くちばし:足の付け根中心を指で押し出して取り除く
  • 🧂 吸盤の爪:塩をふって30秒もみ洗いで除去


甲イカの足は2本の長い触腕(捕食用)と8本の腕に分かれています。触腕は特に長く(全体の半分以上を占めることも)、先端の吸盤が密集した「触腕穂」と呼ばれる部分があります。この部分は食感が独特なので、苦手な場合は切り落として別にしておくと他の部位と均一に火が通ります。


主婦が知らない甲イカの「甲(コウ)」の活用法と鮮度の見分け方

甲イカをさばき終えた後、多くの家庭では甲(コウ)をそのまま捨てています。しかし甲は捨てるだけではありません。意外ですね。


甲の正体は炭酸カルシウムを主成分とする「内殻」で、軽石のように多孔質の構造をしています。江戸時代から研磨材・歯磨き粉の原料として使われてきた歴史があり、現代でも文鳥やセキセイインコなどの小鳥用のカルシウム補給材として使われます。もし自宅でインコや文鳥を飼っているなら、乾燥させたイカの甲をケージに入れてあげるだけで役に立ちます。乾燥は天日干しで1〜2日で完了します。これは使えそうです。


鮮度の見分け方も、スーパーや鮮店での選び方に直結します。甲イカは鮮度が落ちると透明感が失われ、身体表面の色素細胞(茶色〜橙色の斑点模様)が薄くなります。新鮮な甲イカは触ると張りがあり、切った断面が白くツヤがあります。逆に鮮度が落ちたものは断面が黄みがかってきます。


  • 🟢 新鮮な甲イカの特徴:表面に張りがある・斑点模様がくっきり・切り口が白くツヤあり
  • 🔴 鮮度低下のサイン:身が柔らかく弾力がない・断面が黄色っぽい・独特の生臭さが強い


甲イカの旬は地域によって異なりますが、一般的に秋〜冬(10月〜2月ごろ)が最も味が濃く、身も厚くなります。この時期は産卵前のため栄養を蓄えており、刺身にすると特に甘みが強く感じられます。旬が条件です。


甲イカはさばいた後、すぐに調理しない場合は胴体・足・ワタ(肝)を分けてラップに包み、チルド室で保存すれば翌日まで鮮度を保てます。2日以上保存する場合は冷凍がおすすめです。冷凍保存するときは水気をしっかり拭き取ってから保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍すると約1ヶ月保存できます。冷凍後は冷蔵庫でゆっくり解凍(半日〜一晩)すると、ドリップが出にくく食感を損ないにくくなります。


甲イカの肝(ワタ)は、塩辛を作る際に使える部位です。肝を薄皮から絞り出し、塩をふってなじませた後、細切りにした胴体と混ぜて冷蔵庫で1〜2日おくだけで本格的な塩辛が完成します。市販の塩辛より濃厚な風味になるため、試す価値があります。この一品で食卓のクオリティが一段上がります。




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