でん粉と片栗粉の違いと特徴や使い分けのポイント

でん粉と片栗粉の違いと特徴や使い分けのポイント

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でん粉と片栗粉の違いと特徴

でん粉と片栗粉の基本情報
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でん粉とは

米・小麦・とうもろこし・じゃがいもなど様々な植物から作られる炭水化物の粉の総称です。

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片栗粉とは

でん粉の一種で、現在は主にじゃがいも(馬鈴薯)から作られるでん粉のことを指します。

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主な用途

とろみ付け、揚げ物の衣、つなぎ、和菓子など様々な料理に使用されます。

でん粉の定義と種類について

でん粉は、植物の地下茎や種子から作られる炭水化物の粉の総称です。米、小麦、とうもろこし、じゃがいもなど、様々な植物から抽出されます。でん粉は植物にとって重要なエネルギー源であり、人間の食生活においても欠かせない栄養素となっています。

 

でん粉の主な種類には以下のものがあります。

  • コーンスターチ:とうもろこしから作られるでん粉
  • タピオカでん粉:キャッサバ芋から作られるでん粉
  • 馬鈴薯でん粉(片栗粉:じゃがいもから作られるでん粉
  • 葛粉:葛の根から作られるでん粉
  • 小麦でん粉:小麦から作られるでん粉

これらのでん粉は原料によって性質が異なり、料理の用途によって使い分けられています。例えば、コーンスターチはお菓子作りに、片栗粉は中華料理のとろみ付けに、葛粉は和菓子に多く使用されています。

 

片栗粉の歴史と原材料の変遷

片栗粉の名前の由来は、もともとユリ科の多年草である「カタクリ」の鱗茎から採取されていたことに由来します。カタクリの鱗茎からでん粉を取り出して乾燥させたものが本来の片栗粉でした。

 

しかし、明治時代頃からカタクリの自生が減少したことにより、代わりにじゃがいも(馬鈴薯)から採れるでん粉が使われるようになりました。じゃがいもから採れるでん粉は、カタクリから採れるでん粉と似た性質を持ち、しかも収穫量が多く安価に生産できることから、原材料の切り替えが進んだのです。

 

現在市販されている片栗粉のほとんどは、じゃがいもを原料とした「馬鈴薯でん粉」です。パッケージには「馬鈴薯でん粉」と表記されていることが多いですが、一般的には「片栗粉」という名称で親しまれています。

 

でん粉と片栗粉の栄養成分の違い

でん粉と片栗粉の栄養成分を比較してみましょう。片栗粉(馬鈴薯でん粉)の栄養成分(100gあたり)は以下の通りです。

  • エネルギー:338kcal
  • たんぱく質:0.1g
  • 脂質:0.1g
  • 炭水化物:81.6g(でん粉が主成分)
  • カリウム:34mg
  • カルシウム:10mg
  • マグネシウム:6mg
  • リン:40mg
  • 鉄:0.6mg

一方、コーンスターチや葛粉などの他のでん粉と比較すると、片栗粉はカロリーや糖質が若干低いことが特徴です。以下は100gあたりの比較表です。

でん粉の種類 カロリー 糖質
片栗粉 338kcal 89.9g
コーンスターチ 363kcal 94.9g
葛粉 356kcal 94.2g
タピオカ 354kcal 93.8g

また、小麦粉と比較すると、片栗粉はたんぱく質や脂質がほとんど含まれていないという特徴があります。

種類 カロリー 糖質 たんぱく質 脂質
片栗粉 338kcal 89.8g 0.1g 0.1g
小麦粉 349kcal 80.3g 8.3g 1.5g

片栗粉の主成分は炭水化物(でん粉)で、体内に入るとブドウ糖に変換され、エネルギー源となります。炭水化物をエネルギーに変えるにはビタミンB1が必要なので、豚肉やうなぎ、大豆などビタミンB1が豊富な食材と一緒に摂取するのがおすすめです。

 

でん粉の糊化温度と粘度の特性

でん粉の最も重要な特性の一つが「糊化(こか)」です。糊化とは、でん粉に水と熱を加えることで粘度が増し、のり状になる現象を指します。この特性が料理のとろみ付けや食感の改良に活用されています。

 

各種でん粉の糊化温度と特性を比較すると。

でん粉の種類 糊化温度 粘度 透明度 冷めた時の変化
片栗粉 56~66℃ 強い 無色透明 粘度が低下する
コーンスターチ 62~72℃ 弱い 白濁 粘度が持続する
葛粉 70~80℃ 非常に強い 高い透明度 弾力が出る
タピオカでん粉 60~70℃ 中程度 やや透明 もちもち感が出る

片栗粉は比較的低温(約60℃)で糊化するため、短時間の加熱でとろみがつきます。また、冷めると粘度が低下する特性があるため、温かいうちに食べる料理に適しています。一方、コーンスターチは冷めてもとろみが持続するため、冷たいデザートなどに向いています。

 

でん粉の粒子の大きさも特性に影響します。片栗粉は粒子が大きく、コーンスターチは小さいという違いがあります。粒子が大きいほど糊化しやすく、強いとろみがつきますが、粒子が小さいほど口当たりが滑らかになります。

 

でん粉と片栗粉の料理別使い分け方

でん粉と片栗粉の特性を理解すると、料理によって最適な使い分けができるようになります。ここでは、料理のタイプ別に最適なでん粉の選び方を紹介します。

 

1. とろみ付けに使う場合

  • 中華料理(八宝菜、麻婆豆腐など):片栗粉が最適です。強いとろみがつき、透明感のある美しい仕上がりになります。温かいうちに食べる料理に向いています。

     

  • 洋風ソース(ホワイトソース、グラタンなど):コーンスターチが適しています。マイルドなとろみで、冷めても粘度が持続します。

     

  • 和風料理(あんかけ、かきたま汁など):片栗粉または葛粉が向いています。葛粉は高級感のある透明度の高い仕上がりになりますが、片栗粉でも十分美味しく仕上がります。

     

2. 揚げ物の衣として使う場合

  • 唐揚げ、竜田揚げ:片栗粉を使うとカリッとした軽い食感になり、冷めてもベタつきにくいです。表面が白っぽく仕上がります。

     

  • 天ぷら:小麦粉が一般的ですが、片栗粉を混ぜると軽い食感になります。

     

  • フライ:小麦粉を使うとサクサクとした食感になり、きつね色に揚がります。

     

3. 肉や魚の下処理として使う場合

  • ソテーや炒め物:片栗粉をまぶすと、食材の水分を閉じ込めてやわらかく仕上がり、調味料も絡みやすくなります。

     

  • 煮物:片栗粉をまぶしてから煮ることで、食材がほぐれにくくなります。

     

4. お菓子作りに使う場合

  • プリン、カスタードクリーム:コーンスターチが適しています。冷めても粘度が持続し、なめらかな食感になります。

     

  • わらび餅:片栗粉で簡単に作れます。ぷるんとした食感が楽しめます。

     

  • 和菓子:葛粉や片栗粉が使われます。葛粉はより高級な仕上がりになります。

     

それぞれのでん粉の特性を活かした使い分けで、料理の完成度が格段に上がります。

 

でん粉の中白障害「シロタ」現象と品質への影響

でん粉に関する興味深い現象として、「中白障害(シロタ)」があります。これは主にサツマイモの蒸切干(干しいも)の製造過程で見られる現象で、製品の中央部が白色不透明化して硬くなり、商品価値が大きく低下する問題です。

 

この現象は、でん粉含有率の比較的高い品種で発生しやすく、低でん粉品種や低糊化温度品種では発生が少ないことが研究で明らかになっています。中白部分は正常部分に比べて水分含量が低く、でん粉の糊化不良や蓄積不足が関与していると考えられています。

 

特に「タマユタカ」という品種では、塊根肥大期の土壌乾燥によって収穫した塊根の含水率が低下すると中白の発生が顕著になります。これは土壌乾燥に伴う塊根の水分低下が蒸煮時のでん粉糊化不良を招き、障害の発生を助長するためと考えられています。

 

この現象は、でん粉の性質と水分の関係を示す興味深い例であり、でん粉を含む食品の品質管理において重要な知見となっています。家庭での調理においても、でん粉を使う際は適切な水分量を確保することが、良い仕上がりのためのポイントになります。

 

片栗粉の活用法と保存方法

でん粉と片栗粉のとろみ付けのコツ

片栗粉などのでん粉でとろみをきれいにつけるには、いくつかのコツがあります。これらを押さえることで、ダマのないなめらかなとろみが実現できます。

 

1. 水溶き片栗粉の作り方
片栗粉は料理に直接加えるとダマになりやすいため、あらかじめ水で溶いておくことが重要です。

 

  • 片栗粉と水の理想的な割合は1:2です(片栗粉大さじ1に対して水大さじ2)
  • 必ず冷水で溶きましょう(お湯だとダマになりやすい)
  • 小さめのボウルで、片栗粉をよく溶かしてから使用します

2. 水溶き片栗粉の加え方

  • 料理を混ぜながら、水溶き片栗粉を少しずつ加えます
  • 一度に全部入れると、ダマになる原因になります
  • 加える前に、水溶き片栗粉をもう一度よく混ぜておきましょう

3. 加熱のポイント

  • 片栗粉は約60℃以上にならないととろみがつかないため、水溶き片栗粉を加えた後は1分以上加熱します
  • 弱火〜中火で、絶えず混ぜながら加熱することがポイントです
  • とろみがついたら、すぐに火を止めます(加熱しすぎるとべたつきの原因に)

4. 料理別のとろみの調整

  • あんかけ料理:強めのとろみをつけたい場合は、片栗粉の量を少し多めにします
  • スープ類:軽いとろみでよい場合は、片栗粉の量を少なめにします
  • 中華料理:透明感のあるとろみが特徴なので、片栗粉が最適です
  • 和風料理:上品なとろみをつけたい場合は、葛粉を使うとよいでしょう

5. 失敗した場合の対処法

  • とろみが弱すぎる場合:水溶き片栗粉を追加して、再度加熱します
  • とろみが強すぎる場合:少量の水や出汁を加えて調整します
  • ダマができてしまった場合:ザルでこすか、ハンドブレンダーで撹拌します

これらのコツを押さえることで、プロのようなきれいなとろみを実現できます。特に中華料理や和食のあんかけ料理では、とろみの質が料理の完成度を大きく左右するので、ぜひマスターしてください。

 

片栗粉の代用品と使い分けのポイント

片栗粉を切らしてしまった場合や、より適した食感を求める場合には、他のでん粉や粉類で代用することができます。ここでは、代用品とその使い分けのポイントを紹介します。

 

【とろみ付けの代用品】

  1. 小麦粉
    • 特徴:グルテンを含むため、片栗粉より粘り気が出ます
    • 使い方:片栗粉の2倍量を使用し、バターなどの油脂と合わせると滑らかに
    • 向いている料理:ホワイトソース、グラタン、シチューなど
  2. 米粉
    • 特徴:もっちりとした食感になり、冷めても固まりにくい
    • 使い方:片栗粉と同量〜1.2倍程度
    • 向いている料理:和風の汁物、グルテンフリーが必要な料理
  3. コーンスターチ
    • 特徴。