

アオウミガメの名前は「緑色の脂肪」から来ていて、体の色とは無関係です。
「アオウミガメ」と聞くと、体が青や緑色をしているのだろうと想像する方が多いですが、実際には体表の色はアカウミガメとほとんど変わらず、どちらも茶褐色から黄褐色をしています。
では、なぜ「アオ」という名前がついているのでしょうか?実は、アオウミガメの「アオ(青・緑)」は体の外側ではなく、内側に由来しています。アオウミガメは海草や藻を大量に食べる草食性のため、体内に蓄積された脂肪が緑がかった色をしているのです。英語名も「Green Sea Turtle(グリーンシータートル)」で、まさにこの緑色の脂肪が由来となっています。これは意外ですね。
一方、「アカウミガメ」の「アカ(赤)」は、甲羅や頭部の色調が他のウミガメに比べてやや赤みがかった茶色であることから来ています。英語名は「Loggerhead Sea Turtle(ログヘッドシータートル)」で、こちらは発達した大きな頭(丸太のような頭)に由来しています。名前の由来も全く異なる、ということですね。
日本の水族館や教育現場でも混同されやすい二種ですが、名前の由来を知っておくと、体の外見だけで判断せず、より正確に理解できるようになります。
| 項目 | アオウミガメ | アカウミガメ |
|---|---|---|
| 和名の由来 | 緑色の脂肪の色 | 赤みがかった体色 |
| 英語名 | Green Sea Turtle | Loggerhead Sea Turtle |
| 体表の色 | 茶褐色〜黄褐色 | 赤褐色〜茶色 |
体のサイズを比較してみると、アオウミガメの成体は甲長(甲羅の長さ)がおよそ80〜100cm、体重は150kg前後に達します。これは大人が横になったソファのほぼ全長に相当するサイズ感です。体型は楕円形で丸みがあり、頭部は比較的小さいのが特徴です。
アカウミガメの成体も甲長は80〜110cmとほぼ同程度ですが、最大の特徴は頭部の大きさです。アカウミガメの頭は非常に発達しており、和名の由来ともなった丸太(Log)のような太い顎を持っています。この強力な顎は、貝や甲殻類の硬い殻を噛み砕くための進化の結果です。つまり頭の大きさが両者の大きな違いです。
体型の違いも見分けのポイントになります。アオウミガメは全体的に流線型でスリムな印象を受けますが、アカウミガメは頭部が突出して大きく、体全体のバランスがやや異なります。
また、前脚(前ヒレ)にも違いがあります。アオウミガメの前ヒレには爪が1本、アカウミガメの前ヒレには爪が2本あるのが一般的で、これが現場での識別ポイントのひとつとして使われています。
| 項目 | アオウミガメ | アカウミガメ |
|---|---|---|
| 甲長(成体) | 約80〜100cm | 約80〜110cm |
| 体重(成体) | 約130〜150kg | 約100〜180kg |
| 頭部の大きさ | 小さめ・丸型 | 大きめ・発達した顎 |
| 前ヒレの爪 | 1本 | 2本 |
食性の違いは、この二種を分ける最も重要な特徴のひとつです。アオウミガメは完全な草食性で、アマモなどの海草類や緑藻・褐藻を主食としています。成体になると動物質のものをほとんど食べなくなるという点は、ウミガメの仲間の中でもかなり珍しい例です。
草食性であることが、先述の「体脂肪が緑色になる」という特徴に直結しています。これが原則です。海草に含まれるクロロフィル(緑色の色素)が体内に蓄積されることで、脂肪が緑がかった色を帯びるのです。
一方、アカウミガメは肉食性(雑食寄りの肉食)です。主食はカニやエビなどの甲殻類、二枚貝・巻き貝、イカ、クラゲ、時にはウニや海綿動物なども食べます。貝の硬い殻を砕けるほど顎が発達しているのは、この食性に対応した進化の結果です。
食べ物が異なるということは、生息する海域も自ずと変わってきます。アオウミガメは海草が豊富に生える浅い沿岸域や礁湖(ラグーン)を好みます。アカウミガメは底生生物が豊富な比較的浅い海底域や大陸棚周辺に多く見られます。これは使えそうです。
ちなみに、幼体(子ガメ)のアオウミガメは雑食性で、クラゲや小魚なども食べることが知られています。完全な草食性へ移行するのは、甲長が約35cm程度に成長した亜成体期以降とされています。
日本はアカウミガメにとって非常に重要な繁殖地です。世界のアカウミガメの産卵の多くが太平洋個体群であり、その約80〜90%が日本の砂浜で産卵するとされています。年間約3,000頭ものアカウミガメが宮崎県・高知県・鹿児島県などの砂浜に上陸して産卵します。宮崎県の「日南海岸」は特に有名な産卵地のひとつです。日本の海岸がいかに重要か、わかりますね。
アカウミガメは1回の産卵で約100〜120個の卵を産み、1シーズンに3〜5回上陸して産卵します。卵は約60日で孵化し、子ガメたちは砂浜を這って海へ向かいます。
アオウミガメの産卵地としては、小笠原諸島(東京都)と南西諸島(沖縄・奄美など)が代表的です。特に小笠原諸島は国内最大のアオウミガメ産卵地として知られており、環境省などの機関が長期的な調査・保護活動を行っています。
産卵のタイミングにも違いがあります。アカウミガメは5月〜8月が主な産卵シーズン、アオウミガメは6月〜9月頃が多く、夏を中心としている点は共通しています。
両種とも現在は絶滅危惧種(IUCNレッドリスト)に指定されており、日本国内でも種の保存法により捕獲・採卵は厳しく禁止されています。産卵中の親ガメや卵に触れることも法律で禁止されているため、海岸でウミガメを見かけた際には遠くから静かに見守ることが大切です。
参考:小笠原諸島でのアオウミガメ保護活動に関する詳細は環境省の公式ページで確認できます。
水族館でアオウミガメとアカウミガメを見比べるとき、体の色だけで判断しようとするとほぼ区別がつきません。でも、いくつかのポイントを押さえれば、現地のスタッフに聞かなくても自分で見分けられるようになります。これは使えそうです。
最もわかりやすい見分け方は「頭の大きさ」です。アカウミガメは頭部が明らかに大きく、体全体のバランスからみて頭が目立ちます。アオウミガメは頭が小さく、甲羅からすっきりと伸びるような印象を受けます。
次に「前ヒレの爪の数」も確認してみてください。アオウミガメは1本、アカウミガメは2本です。ただし個体差や角度の問題で見えにくい場合もあります。爪の数が基本の見分け方です。
甲羅の形状にも違いがあります。アオウミガメの甲羅は比較的平たく流線型で、アカウミガメの甲羅はやや盛り上がりがあります。また、甲羅の色もアカウミガメのほうが全体的に赤みを帯びた褐色に見えることが多いです。
水族館に行く前にこのポイントを子どもと一緒に確認しておくと、展示を見ながら「これはアオウミガメ?アカウミガメ?」というクイズができて、学習にも自然に活かせます。お子さんとの水族館でのコミュニケーションにもなりますね。
| 見分けポイント | アオウミガメ | アカウミガメ |
|---|---|---|
| 頭部の大きさ | 小さい・コンパクト | 大きい・目立つ |
| 前ヒレの爪 | 1本 | 2本 |
| 体型の印象 | 流線型・スリム | 頭部が突出・どっしり |
| 甲羅の色味 | 茶褐色〜黄褐色 | 赤褐色〜赤みのある茶 |
| 食べ物(成体) | 海草・藻(草食) | 貝・甲殻類(肉食) |
参考:日本ウミガメ協議会では、アカウミガメ・アオウミガメの生態や保護活動の最新情報が掲載されています。