添加物のアレルギー症状と原因物質の関係

添加物のアレルギー症状と原因物質の関係

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添加物のアレルギー症状

添加物アレルギーの基本知識
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症状の多様性

頭痛、全身倦怠感、不眠、のどや目の痛み、吐き気など様々な症状が現れることがあります

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原因となる添加物

保存料、着色料、甘味料、香料など1200種類以上の食品添加物が存在します

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診断と対策

原因特定のための検査と、原因物質の回避が基本的な対処法となります

食品添加物は私たちの食生活に欠かせないものとなっていますが、一部の人々にとってはアレルギー反応や過敏症を引き起こす原因となることがあります。現代の加工食品には多くの添加物が使用されており、その種類は1200種以上にも及びます。これらの添加物は食品の保存性を高めたり、見た目や味を良くしたりする一方で、体に様々な影響を及ぼす可能性があるのです。

 

添加物のアレルギー症状の種類と特徴

食品添加物によるアレルギー症状は多岐にわたります。主な症状としては以下のようなものが挙げられます:

  • 皮膚症状:発疹、かゆみ、じんましん、アトピー性皮膚炎の悪化
  • 呼吸器症状:喘息発作、呼吸困難、のどの痛み
  • 消化器症状:腹痛、下痢、便秘、吐き気
  • 神経系症状:頭痛、めまい、不眠、イライラ、集中力低下
  • 全身症状:全身倦怠感、動悸、発汗、手足の冷え

これらの症状は添加物の摂取後すぐに現れることもあれば、数時間から数日後に遅延して現れることもあります。特に注意すべきは、同じ添加物でも人によって現れる症状が異なることです。

 

また、重篤な場合はアナフィラキシーショックを引き起こすこともあり、これは命に関わる緊急事態となります。アナフィラキシーの症状には、呼吸困難、血圧低下、意識障害などがあり、速やかな医療処置が必要です。

 

添加物アレルギーを引き起こす原因物質

食品添加物の中でも、特にアレルギー反応を引き起こしやすいものがいくつか存在します。主な原因物質は以下の通りです:
1. 保存料(抗菌剤)

  • 安息香酸ナトリウム:喘息の誘発やアトピー性皮膚炎への関与が報告されています。特にアスピリン喘息の患者さんでは喘息発作が起こりやすいとされています。醤油、マーガリン、シロップ、キャビア、清涼飲料水などに含まれています[5]。

     

  • パラベン(パラオキシ安息香酸ナトリウム):喘息の誘発やじんましんの原因になることがあります。醤油、酢、清涼飲料水、化粧品、薬剤(特に注射薬)に含まれています[5]。

     

2. 着色料

  • タートラジン(黄色4号):アゾ色素の一種で、喘息やじんましんを引き起こすことがあります。特にアスピリン喘息の患者さんで症状が誘発されやすいです。ジャム、バター、チーズ、アイスクリーム、キャンディー、ケーキなどに使用されています[5]。

     

  • コチニール色素:天然由来の赤色着色料ですが、喘息、鼻炎、結膜炎、皮膚炎、じんましん、アナフィラキシーなどを引き起こすことがあります。一部のカンパリオレンジやイチゴジュースなどに含まれています[5]。

     

3. 甘味料

  • アスパルテーム:人工甘味料の一種で、じんましんなどのアレルギー症状を引き起こすことがあります。低カロリー食品や菓子類に広く使用されています[5]。

     

  • サッカリン:じんましんが起こることが報告されています。菓子類などに含まれています[5]。

     

  • エリスリトール:じんましんやアナフィラキシーを引き起こすことがあります。低カロリー飲料や野菜飲料、栄養ドリンクなどに含まれています[5]。

     

4. 調味料

  • グルタミン酸ナトリウム(MSG):喘息や慢性じんましん、アトピー性皮膚炎との関連が報告されています。いわゆる「中華料理店症候群」の原因とされ、中華料理全般、味の素、ソースなどに含まれています[5]。

     

5. 抗酸化剤

  • 亜硫酸塩/重亜硫酸塩:喘息の誘発やじんましんの原因になります。ワイン・ビール、調理済食品などに含まれており、「ワイン喘息」の原因として知られています[5]。

     

  • BHA(ブチルヒドロキシアニソール)/BHT(ブチルヒドロキシトルエン):喘息やじんましんの原因になりえます。魚介冷凍食品、ソフトクリーム、バターなどに含まれています[5]。

     

これらの添加物は、食品表示ラベルで確認することができますが、複数の添加物が使用されていることも多く、注意が必要です。

 

添加物のアレルギー症状と化学物質過敏症の違い

添加物によるアレルギー症状と化学物質過敏症(Multiple Chemical Sensitivity: MCS)は、似た症状を示すことがありますが、その発症メカニズムや対応方法に違いがあります。

 

**アレルギー症状**は、特定の物質(アレルゲン)に対する免疫系の過剰反応によって引き起こされます。通常、IgE抗体が関与する即時型アレルギー反応と、T細胞が関与する遅延型アレルギー反応に分けられます。食品添加物によるアレルギーは、特定の添加物に対して免疫系が過剰に反応することで発症します。

 

一方、化学物質過敏症は、低濃度の化学物質に対して過敏に反応する状態を指します。食品添加物だけでなく、洗剤、漂白剤、芳香剤、建材、排気ガスなど様々な化学物質に反応します[1]。化学物質過敏症の症状も、頭痛、全身倦怠感、不眠、のどや目の痛み、吐き気、不安、動悸、発汗、手足の冷えなど多岐にわたります[1]。

 

化学物質過敏症の場合、原因物質の範囲が広く、家の中では洗剤、漂白剤、芳香剤、医薬品、化粧品、タバコ煙、建材、接着剤、ホルマリンなど、屋外では排気ガス、殺虫剤、除草剤、大気汚染物質など、食べ物では食品添加物、残留農薬、保存料、着色料、甘味料、香料などが原因となります[1]。

 

アレルギー症状と化学物質過敏症の大きな違いは、アレルギーが特定の物質に対する免疫反応であるのに対し、化学物質過敏症は様々な化学物質に対する非特異的な反応であることです。また、アレルギー検査では化学物質過敏症を診断することが難しいという特徴もあります。

 

添加物アレルギーの診断と検査方法

添加物によるアレルギーを診断するためには、まず詳細な問診が重要です。どのような食品を摂取した後に症状が出現するか、どのような症状が現れるかなどを医師に伝えることで、原因物質の特定につながります。

 

具体的な検査方法としては以下のようなものがあります:
1. 皮膚テスト

  • 皮膚プリックテスト:疑わしい食品添加物の溶液を皮膚に滴下し、軽く刺して反応を見ます。

     

  • パッチテスト:疑わしい物質を含んだパッチを皮膚に貼り、48時間後に反応を確認します。特に遅延型アレルギーの診断に有効です。

     

2. 血液検査

  • 特異的IgE抗体検査:特定の添加物に対するIgE抗体の有無を調べます。ただし、すべての食品添加物に対する検査が可能というわけではありません。

     

  • 好塩基球活性化試験(BAT):血液中の好塩基球が特定の物質に反応するかを調べる検査です。

     

3. 除去試験と負荷試験

  • 除去試験:疑わしい添加物を含む食品を一定期間避け、症状が改善するかを観察します。

     

  • 負荷試験:除去試験で症状が改善した後、少量の疑わしい添加物を摂取して症状が再現するかを確認します。これは医師の監督下で行う必要があります[5]。

     

負荷試験はアレルギー症状を意図的に引き起こすため、アナフィラキシーなどの重篤な反応のリスクがあります。そのため、症状がひどくない場合や診断上どうしても必要な場合にのみ、医療機関で慎重に行われます[5]。

 

また、食品添加物アレルギーの診断は複雑で、複数の添加物が関与していることも多いため、専門医による総合的な判断が必要です。アレルギー専門医や皮膚科医、消化器内科医などに相談することをおすすめします。

 

添加物のアレルギー症状に対する予防と対策

食品添加物によるアレルギー症状を予防し、対策するためには、以下のような方法が効果的です:
1. 原因物質の特定と回避
添加物アレルギーの最も効果的な対策は、原因となる添加物を特定し、それを含む食品を避けることです[5]。そのためには:

  • 食品表示ラベルを注意深く確認する習慣をつける
  • 原材料名や添加物の一覧をチェックする
  • 自分のアレルギー症状を記録し、どの食品を摂取した後に症状が出るかパターンを把握する

2. 自然食品や無添加食品の選択
加工食品よりも自然食品を選ぶことで、添加物の摂取量を減らすことができます:

  • 新鮮な野菜や果物、無添加の肉や魚を選ぶ
  • オーガニック食品や無添加と表示された食品を選ぶ
  • 自家製の料理を増やし、外食や加工食品への依存を減らす

3. 症状が出た場合の対処法
アレルギー症状が出た場合は、症状の種類や重症度に応じた対処が必要です:

  • 軽度の皮膚症状:抗ヒスタミン薬の服用や、ステロイド外用薬の使用
  • 喘息症状:気管支拡張薬の使用
  • 消化器症状:整腸剤や胃腸薬の服用
  • 重度のアレルギー反応(アナフィラキシー):エピペン®(アドレナリン自己注射器)の使用と救急医療機関の受診

4. 医療機関での相談と治療
添加物アレルギーが疑われる場合は、専門医に相談することが重要です:

  • アレルギー専門医や皮膚科医、消化器内科医などに相談する
  • 化学物質過敏症が疑われる場合は、専門の医療機関を受診する(例:高知県内では国立病院機構高知病院に化学物質過敏症外来があります[1])
  • 医師の指導のもと、適切な検査と治療を受ける

5. 食事日記をつける
食事内容と症状の関連を把握するために、食事日記をつけることも有効です:

  • 食べた食品とその量、時間を記録する
  • 症状が出た場合は、その内容、程度、出現時間を記録する
  • これらの記録を医師に見せることで、診断の助けになる

食品添加物によるアレルギー症状は、原因物質を特定し回避することで改善することが多いです。しかし、現代の食生活において添加物を完全に避けることは難しいため、自分の体に合った対策を見つけることが大切です。

 

添加物アレルギーと子供の健康への影響

子供は大人に比べて体が小さく発達段階にあるため、食品添加物の影響を受けやすいと言われています[3]。特に注意すべき点について見ていきましょう。

 

子供が添加物の影響を受けやすい理由
子供が食品添加物の影響を受けやすい理由としては、以下のような点が挙げられます:

  • 体重あたりの摂取量が大人より多くなる傾向がある
  • 代謝や解毒機能が未熟で、化学物質の処理能力が低い
  • 脳や免疫系などの器官が発達途上にある
  • 皮膚や粘膜のバリア機能が未発達である

子供に見られる添加物アレルギーの症状
子供の場合、添加物アレルギーや過敏症の症状として以下のようなものが報告されています:

  • 行動面の変化:多動、注意散漫、集中力低下、イライラ、攻撃的行動
  • 皮膚症状:湿疹、じんましん、発疹、かゆみ
  • 消化器症状:腹痛、下痢、便秘
  • 呼吸器症状:喘息、鼻炎、咳
  • 睡眠障害:不眠、寝つきの悪さ、夜泣き

特に着色料(特にタートラジン)や保存料(安息香酸塩)は、子供の行動や注意力に影響を与える可能性があるという研究結果もあります。