紹介状作成の料金と算定ルールを歯科向けに解説

紹介状作成の料金と算定ルールを歯科向けに解説

紹介状作成の料金と算定ルールを歯科医院向けに正しく理解する

宛名のない紹介状を保険で請求すると、査定どころか不正請求扱いになります。


📋 この記事の3ポイント要約
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診療情報提供料Ⅰは250点(自己負担750円)

保険医療機関への紹介状は「診療情報提供料Ⅰ(250点)」で算定。患者の同意取得・紹介先医療機関名の明記・カルテへの写し添付が必須の3条件です。

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算定できないケースが思った以上に多い

宛名なし・FAX送信・同月同一機関への2通目・特別な関係の医療機関への提供は、すべて算定不可。見落としがちなルールが多く存在します。

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自費扱いになるケースも要確認

インプラント・矯正治療など自費診療への紹介状は、保険算定できないケースがあり、自費文書料として患者から徴収するクリニックも増えています。


紹介状作成の料金(診療情報提供料)の基本的な仕組み

歯科医院で患者を他の医療機関へ紹介する際に作成する紹介状は、医療現場では「診療情報提供書」と呼ばれています。この文書の作成に対しては、公的医療保険で料金が定められており、「診療情報提供料」として診療報酬点数表に明記されています。


まず料金の基本から押さえておきましょう。通常の紹介状である「診療情報提供料Ⅰ」は250点、1点=10円ですので合計2,500円です。患者の自己負担は3割負担の場合で750円、1割負担の高齢者の場合は250円となります。一方、患者またはその家族からの申し出によるセカンドオピニオン目的の「診療情報提供料Ⅱ」は500点(5,000円)で算定します。


算定の前提条件が重要です。診療情報提供料Ⅰを算定するためには、「①診療に基づき他の保険医療機関での診療の必要を認めていること」「②患者本人の同意を得ていること」「③診療状況を示す文書を作成し患者に渡していること」という3つの要件をすべて満たす必要があります。


この3条件が基本です。


加えて、紹介先の医療機関名を文書に明記することと、患者に渡した診療情報提供書の写しを自院のカルテに添付することも算定要件として求められています。写しの添付を忘れると、レセプト審査で査定対象となる可能性があるため注意が必要です。


算定頻度については、同じ紹介先医療機関に対して患者1人につき月1回が上限です。「紹介先ごとに月1回」というルールのため、同月に複数の異なる医療機関に紹介した場合は、それぞれ1回ずつ算定できます。これは意外に知られていないポイントです。


参考:診療情報提供料Ⅰ・Ⅱの詳細な算定要件はこちらで確認できます。


診療情報提供料の算定方法について|愛知県保険医協会


紹介状作成で算定できないケースと誤算定リスク

歯科医院の日常業務の中で、実は「算定できないケース」に該当しているにもかかわらず、保険請求してしまっているパターンが少なくありません。誤算定は返還を求められたり、個別指導の対象となったりする可能性があります。厳しいところですね。


まず最も多い誤算定の一つが「宛名なし」の診療情報提供書です。患者が「まだ病院を決めていない」と言ったケースなどで、宛先を空白にしたまま紹介状を渡すことがありますが、これは保険算定の対象外です。厚生労働省も「宛名のない診療情報提供書は算定できない」と明確に通知しています。宛名なしの場合は、文書料を自費として患者から徴収する形になります。


次に注意すべきなのが「FAXやメールによる情報提供」です。たとえ内容が同じであっても、FAXやEメールで情報提供した場合は診療情報提供料を算定できません。紙の文書を患者に実際に手渡すか、または郵送するといった方法で交付することが算定の条件となっています。


「同月・同一医療機関への2通目」も算定不可です。同じ月に、同じ医療機関の異なる診療科へそれぞれ紹介状を書いた場合でも、月1回の算定上限が適用され1回しか請求できません。患者が複数の科をまとめて受診する大病院へ紹介するケースで起こりやすいミスです。


「特別な関係の医療機関への提供」も算定できません。同一医療法人内の関連施設や、実質的に同一グループとみなされる医療機関への情報提供は、いわゆる「特別な関係」として算定対象外となっています。


また「レントゲンフィルムのコピー費用」を別途算定するのも誤りです。紹介状作成にあたってレントゲン写真等をコピーして添付した場合、そのコピー費用は診療情報提供料に含まれており、別に請求することはできません。つまり算定は1本だけが原則です。


参考:算定不可のケースや誤算定事例の詳細はこちらで確認できます。


診療情報提供料の仕組みを基本から算定不可の場合まで解説|PHC株式会社


インプラント・矯正など自費診療紹介時の紹介状料金の考え方

歯科特有の問題として、インプラント治療や矯正治療など、自費診療(保険外診療)を目的とした紹介が発生するケースがあります。この場面での紹介状の料金取り扱いは、歯科医院の間でも混乱が多いテーマです。


紹介元の歯科医院が「保険診療の中で患者の状態を評価し、自費治療を行える医療機関への紹介が必要と医学的に判断した」という流れであれば、保険における診療情報提供料Ⅰ(250点)の算定が認められる余地があります。例えば、欠損部位の病名で保険診療を行った上でインプラント対応施設を紹介するケースなどが該当します。


ただし実務上のリスクに注意が必要です。紹介先でほぼ自費治療しか行われないことが明らかな状況で機械的に保険算定することは、個別指導の際に問題視されることがあります。矯正治療の場合、保険が適用される矯正診断名(顎変形症など)がない限り、対応病名が見つけにくいため、なおさら慎重な判断が求められます。


そのため、自費診療関連の紹介では「保険算定は見送り、文書作成費用を自費として患者に説明した上で徴収する」という方針を取るクリニックが増えています。実際に自費文書料として2,200円(税込)を設定している歯科医院の事例もあり、事前に院内のルールを明文化しておくことが患者トラブルを防ぐ上で重要です。これは使えそうです。


自費文書料の設定については、院内掲示や初診時の説明文書に明記し、患者の了承を得ることが前提になります。事前に周知せずに請求すると苦情につながるリスクがあるため、特に保険が効かない旨を事前説明するだけで、患者側の納得感は大きく変わります。


歯科医院が見落としやすい「診療情報連携共有料」との使い分け

紹介状の料金をめぐる混乱の中でも特に見落とされやすいのが、2024年度診療報酬改定で整備が進んだ「診療情報等連携共有料」との使い分けです。意外ですね。


診療情報提供料(紹介状)と診療情報等連携共有料は似て非なるものです。前者は患者を「他の医療機関に紹介する」ための文書に対して算定するのに対し、後者は「照会(問い合わせ)」や「経過報告書」の文書交換を評価するものです。受診の依頼を伴わない情報のやり取りに対応する報酬、と理解すれば区別しやすくなります。


歯科医院が算定できる「診療情報等連携共有料1(120点)」は、慢性疾患・全身疾患の管理が必要な患者について、歯科側から医科の保険医療機関や保険薬局に対して検査結果や服用薬などを問い合わせた場合に算定できます。3ヶ月に1回が上限です。また「診療情報等連携共有料2(120点)」は、医科側から歯科への情報提供依頼に応じて診療情報を文書で提供した際に、歯科側が算定できる区分です。


ここで重要な注意点があります。診療情報提供料Ⅰを算定した月から起算して3ヶ月以内に、同一の保険医療機関に対して情報提供を行った場合は、診療情報等連携共有料は別に算定できません。


また、診療情報等連携共有料は問い合わせ(照会)に対して文書で回答を受け取ることが必要で、回答が電話のみの場合は算定要件を満たしません。ただし、歯科から医科への照会(問い合わせ)自体は、電話・FAX・メールといった手段でも認められるよう2024年改定で緩和されたことは、知っておくと便利な情報です。


参考:医科歯科連携で算定できる各種報酬の詳細はこちらをご覧ください。


医科・歯科間の情報提供・共有する際の算定について|ひのでクリニック


紹介状作成のカルテ記載と算定漏れを防ぐチェックポイント

日常診療の中で紹介状を書く機会はそれほど多くないため、算定ルールの細部を失念しやすく、気づかないまま算定漏れや誤算定が続いてしまうケースが起きています。ここでは、確認作業を習慣化するためのポイントを整理します。


最初に確認すべきは「カルテへの写し添付」です。患者に渡した診療情報提供書と同じ内容の写しを、診療録(カルテ)に添付していることが算定要件として定められています。写しが存在しない場合、レセプト審査で査定対象となる可能性があります。コピーを取る、電子カルテならスキャンして添付する、といった形で保管の習慣を作りましょう。


次が「紹介先医療機関名の明記」です。患者が希望する医療機関名、あるいは紹介する特定の医師名まで記載されていると、紹介先でのスムーズな受診につながります。機関名がない場合は算定不可となるため注意が必要です。


レセプト請求時の記載方法も確認しておきましょう。診療情報提供料Ⅰを算定した場合、レセプトの「その他」欄に「情Ⅰ250×1」と記載し、「摘要」欄には算定日を記載します。医療機関以外(市町村や居宅介護支援事業者等)に情報提供した場合は提供先も合わせて記載が必要です。加算(障害者歯科医療連携加算など)を算定した場合は、「情Ⅰ加2」と摘要欄に記載する必要があります。


算定の月次チェックも効果的です。電子カルテを使用している場合、患者ごとの診療情報提供料の算定履歴を月次で確認することで、同一患者への同月複数回算定などのミスを早期に発見できます。算定支援機能を備えた電子カルテシステムを活用することで、こうした確認作業の負担を大幅に減らすことができます。


チェック項目 内容 よくあるミス
患者同意 口頭または書面で同意取得 同意確認をカルテに記録していない
紹介先医療機関名 具体的な医療機関名を明記 「○○病院歯科など」と曖昧に記載
文書の交付方法 紙で患者に手渡し・郵送 FAX・メールのみで送信している
カルテへの写し添付 同内容の写しをカルテに保存 写しを添付し忘れ査定対象に
月1回の確認 同月・同一機関への2通目は算定不可 同月に2回算定してしまっている
レントゲンコピー コピー費用は料金に含まれる コピー代を別途患者に請求している


参考:保険診療確認事項リスト(歯科)として厚生労働省が公開している公式資料も合わせて確認しておきましょう。


保険診療確認事項リスト(歯科)令和7年度改訂版|厚生労働省