

「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」という言葉は、しばしば同じ意味で使われることがありますが、実は厳密には違いがあります。この2つの言葉の違いを理解することで、環境に優しいエネルギーについてより深く知ることができるんです。
参考)https://wa.city.noshiro.lg.jp/energy/418/
自然エネルギーは、再生可能エネルギーの中の一つの分野として位置づけられています。資源エネルギー庁の定義によれば、再生可能エネルギーとは「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるもの」とされており、政令で太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存する熱、バイオマスが定められています。
ポイントは「自然現象かどうか」という点です。太陽光、風力、水力、地熱など、地球上に自然に存在する現象から直接得られるエネルギーが「自然エネルギー」と呼ばれます。
参考)https://sustech-inc.co.jp/carbonix/media/natural-energy/
一方で、再生可能エネルギーには、自然エネルギーに加えて、バイオマスエネルギーや温度差エネルギー、濃度差エネルギーといった、人間が生成に関わることで資源となるものも含まれるんですね。
参考)https://www.amita-oshiete.jp/column/entry/014894.php
自然エネルギーとは、太陽、地熱、風、潮汐流といった自然現象によって得られるエネルギーの総称です。石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料とは異なり、地球が存在する限りいつまでも使うことができる特徴があります。
太陽光発電システムは、太陽光パネルに太陽光を照射させることで、光子が電子に衝突して電気エネルギーを生成する仕組みです。直流の電気エネルギーはインバーターを介して交流に変換され、家庭や産業用途で利用できるようになります。
参考)https://tanso-man.com/media/renewable-energy-different-nature/
風力発電は、風の運動エネルギーを回転する風力タービンによって電力に変換する技術です。風力タービンの回転運動は発電機を駆動し、電気エネルギーを生成します。風の強い地域や海上で効果的であり、風力ファームが設置されているケースが多いんです。
自然エネルギーには、発電量が天気などの条件に左右されてしまうというデメリットがあります。ただし、もともとその地域にある自然現象を原資に発電を行っているため、国内で生産することができ、原料を輸入する必要がないというメリットもあるんですね。
再生可能エネルギーは、文字通り「再利用できる」エネルギー全般を指す言葉です。ここでいう再生可能とは「使ってもまた資源が補充される」という意味で大まかにとらえることができます。
例えば、石油や天然ガスなどの化石燃料は消費量に対して再生されず、いずれ枯渇してしまいます。それに対して、木質バイオマスであれば、木を植えて育つ量が使用量より多ければ、エネルギーは枯渇しません。
バイオマスとは、生物を意味する「bio」(バイオ)とかたまりを意味する「mass」(マス)を合わせた言葉です。つまり、動物や植物由来の有機資源を原料として得られるエネルギーのことを指します。
参考)https://www.maff.go.jp/kyusyu/kikaku/baiomasu/teigitou.html
これらの資源を直接燃焼させたり、ガス化させて熱を利用したり、発電に使ったりします。また、バイオ燃料として植物からバイオエタノールやバイオディーゼルなどを製造することもあるんです。
参考)https://tanso-man.com/media/renewableenergy-biomass/
バイオマスを燃焼すると二酸化炭素が発生しますが、バイオマス、特に植物由来の資源は、成長過程で光合成により大気中の炭素を吸収しています。そのため、燃焼によって放出される二酸化炭素はもともと吸収したものだと考えられており、結果的に二酸化炭素の排出量はゼロとみなされる状態を「カーボンニュートラル」と呼んでいます。
参考)http://www.pref.fukushima.jp/chiiki-shin/saiseiene/energy/biomass.html
温度差エネルギーは、地下水、河川水、下水などの温度差で発電するエネルギーです。また、海水と淡水の塩分濃度差で発電を行う「濃度差エネルギー」などの発電方式もあります。
これらは、厳密にいえば自然エネルギーではなく、人間が生成に関わることで資源となる再生可能エネルギーに分類されます。いずれも再利用可能な資源として、環境に優しい再生可能エネルギーの枠組みに入っていますが、資源が分散していることなどから小規模であったり、研究途上でコストがかかったりすることが、普及の阻害要因としてあげられています。
以下の表は、再生可能エネルギーの種類と日本での発電割合をまとめたものです。
参考)https://aconnect.stockmark.co.jp/coevo/renewable-energy-list/
| 再生可能エネルギーの種類 | 2021年の発電割合 | 特徴 |
|---|---|---|
| 太陽光発電 | 9.3% | 家庭でも導入しやすく、急速に普及が進んでいる |
| 水力発電 | 7.6% | 安定した発電が可能で、長年日本の電力を支えてきた |
| バイオマス発電 | 3.7% | 有機物を原料とし、カーボンニュートラルな発電 |
| 風力発電 | 0.9% | 風の強い地域で効果的だが、日本では設置場所が限られる |
| 地熱発電 | 0.3% | 火山国日本に適しているが、規制などで普及が進みにくい |
日常会話では「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」はほぼ同じ意味で使われることが多いですが、専門的な文脈では使い分けが必要になります。
参考)https://www.alterna.co.jp/45341/
自然エネルギーという言葉を使う場合は、太陽光、風力、水力、地熱といった自然現象から直接得られるエネルギーを指すときに使います。例えば「自然エネルギーを活用した地域づくり」といった表現では、地域に存在する自然資源を生かした取り組みを指すことが多いんですね。
再生可能エネルギーという言葉は、より広い範囲のエネルギーを含む公式な用語として使われます。政府の政策文書や統計データなどでは「再生可能エネルギー」という用語が使用され、自然エネルギーに加えてバイオマスや温度差エネルギーなども含めた総称として扱われています。
参考)https://www.kepco.co.jp/siteinfo/faq/new_energy/9098953_10603.html
実際の発電事業や家庭での導入を検討する際には、「再生可能エネルギー」という言葉を使う方が正確です。なぜなら、固定価格買取制度(FIT)などの制度では、バイオマス発電も対象に含まれているからなんです。
企業がエネルギー戦略を立てる際には、それぞれのエネルギーの特徴を理解し、自社の立地条件や事業内容に合わせて選択することが重要になります。例えば、太陽光は初期投資の回収年数が約6年と比較的短く、風力は約10年とされています。
企業の自然エネルギー活用のポイントと費用対効果の詳細
家庭レベルで自然エネルギーを導入する場合、最も一般的なのが太陽光発電システムです。太陽光発電は、屋根やベランダにソーラーパネルを設置するだけで、太陽のエネルギーを電力に変えることができます。
参考)https://www.hasumi.jp/column/202209_2/
2017年のデータでは、「太陽光を利用した発電機器あり」の住宅は全国で157万戸となり、5年前と比べて105万戸の増加となりました。普及率で比較すると、5年前の1.0%から3倍の3.0%となっており、特に持ち家での普及率は4.6%に達しています。
太陽光発電を家庭に導入するメリットとして、以下のような点が挙げられます。
環境面への配慮だけではなく、震災に伴う停電への対策として導入を検討する方も増えているんです。普及率が高まっていくにつれて導入コストも下がってきていることから、今後も導入実績は増えていくことが期待されています。
家庭用の小型風力発電機も選択肢の一つです。風が強めに吹く地域や、広めの庭がある家庭にぴったりで、風が吹くたびに回転して電力を生み出します。ただし、太陽光発電と比べると設置条件が限られるため、お手軽度は50点程度と評価されています。
参考)https://ecodenchi.com/post-16017/
小型風力発電は、屋根だけでなく自宅の庭など敷地内の空いたスペースに設置することが可能です。そのため、複雑な屋根形状や屋根面積で悩んでいる場合でも導入を検討できるという利点があります。
山形県が発行している家庭における再生可能エネルギー導入ガイドでは、太陽光発電、太陽熱利用、風力発電、バイオマス発電、バイオマス熱利用などの導入方法が紹介されています。これらのエネルギーを積極的に暮らしの中で取り入れていくことが推奨されているんですね。
参考)http://eny.jp/renewableenergy/pdf/guidebook.pdf
山形県の家庭向け再生可能エネルギー導入ガイドブック(PDF)
再生可能エネルギーには多くのメリットがありますが、課題やデメリットも存在します。これらを正しく理解することで、効果的な導入が可能になります。
参考)https://nittoh-e.co.jp/special/hapimaga/?p=651
再生可能エネルギーのメリットとして、以下のような点が挙げられます。
参考)https://www.stnet.co.jp/business/know-how/column067.html
再生可能エネルギーは化石燃料と比較して、枯渇することなく持続的に利用可能であり、温室効果ガスの排出を大幅に減少させることができるため、環境保護に極めて有効なんです。
地球の自然なサイクルによって継続的に補充されるため、化石燃料と比較して枯渇のリスクが低く、長期的、安定的にエネルギーを供給可能です。また、CO2排出量の削減やほかの環境問題の軽減に貢献することが期待されています。
一方で、デメリットも存在します。
参考)https://www.kyocera.co.jp/solar/support/topics/202403-renewable-energy-saiene/
発電量が不安定になってしまう課題はとても大きいといえます。例えば太陽光パネルは夜間や曇天時は発電できませんし、風車も風が弱い日は効率が下がります。電源として使うからには、電力が安定供給されることは必須条件です。
火力発電などに比べて、発電効率が悪くコストがかかることも課題の一つです。また、住民や周辺環境への配慮が必要ですが、事例が少ない場合があるため、設置に際しては、近隣住民などへの説明は不可欠となります。
ただし、これらの問題点は、発電設備の設置場所や、科学技術の進歩などで今後改善されていくことが想定されています。温室効果ガスを排出せず、国内で生産できる再生可能エネルギーは長期的な環境負荷を考えた場合、活用していきたい重要なエネルギーなんです。
日本では、2011年の東日本大震災を契機に、再生可能エネルギーの導入が加速しました。2024年時点では、再生可能エネルギーが国内電力供給の約25%を占めています。この割合は着実に増加しており、特に太陽光発電が中心的な役割を果たしているんですね。
参考)https://u-power.jp/sdgs/future/000493.html
脱炭素化のキーファクターとなるため、2023年度から10年間で150兆円を超えるとされるGX投資(グリーントランスフォーメーション投資)の流れもあり、国策として、今後ますます拡大が期待される分野であることは間違いありません。
再生可能エネルギーの環境保護効果と持続可能性の詳細