

再生可能エネルギーとは、太陽光や風力など自然の力を使って発電する、枯渇しない環境にやさしいエネルギーのことなんです。現在、日本の発電電力量の約20.8%を再生可能エネルギーが占めており、年々その割合は増加しています。
参考)https://www.whole-energy.co.jp/column/4820/
経済産業省が定義する再生可能エネルギーには、太陽光、太陽熱、風力、中小水力、大型水力、地熱、バイオマス、海洋エネルギー、温度差エネルギーなど複数の種類があるんですね。
2020年時点での日本の発電電力量における内訳を見ると、太陽光発電が8.5%と最も多く、次いで水力発電が7.8%、バイオマス発電が3.4%、風力発電が0.9%、地熱発電が0.3%となっています。
参考)https://www.sustainability-hub.jp/column/renewable-energy-list/
<参考リンク>再生可能エネルギーの詳しい定義と政策について
再生可能エネルギーとは?種類やメリット・デメリットを簡単に解説
太陽光発電は、太陽電池を利用して太陽の光エネルギーを電気に変換する方式で、現在日本で最も導入が進んでいる再生可能エネルギーです。屋根や壁など未利用スペースを有効活用できる点が、家庭への導入において大きなメリットとなっています。
2023年時点での家庭用太陽光発電の平均的な設置費用は、発電容量1kWあたり28.4万円となっており、一般的な家庭に必要な3〜5kWのシステムでは85万円から142万円程度の初期費用がかかります。
参考)https://home.tokyo-gas.co.jp/column/solar_battery/0064/
発電した電気を自家消費すれば光熱費を削減できるほか、余った電気は電力会社へ売却することも可能です。ただし、気候条件に発電出力が左右されるため、曇りや雨の日は発電量が減少するというデメリットもあるんですね。
日本の太陽光発電の累積導入量は、2012年のFIT制度(固定価格買取制度)開始以降、10年間で3倍以上に拡大しました。2023年時点での導入量は約1億kWを超えており、2050年には4億kW(400GW)まで拡大する見通しとなっています。
参考)https://www.renewable-ei.org/pdfdownload/activities/REI_SolarIP_202412.pdf
風力発電は、風の力で風車を回し、その動力を発電機に伝達して電気エネルギーに変換する方式です。昼夜を問わず発電できる点が特徴で、陸上だけでなく洋上にも設置できるため、今後は洋上風力発電の割合が増加すると予想されています。
エネルギー変換効率は約25%と比較的高く、太陽光発電の10%と比べても優れた効率を示しています。特に北海道、東北、九州地方など風況に恵まれた地域での設置が多く、日本の風力発電導入拡大を支えているんです。
ただし、導入コストが高いことや、日本の複雑な地形では陸上の適地が少ないという課題があります。また、設置場所の地域住民からは騒音や景観への懸念が示されることもあり、慎重な計画が必要とされています。
水力発電は、水が高いところから低いところへ流れる力を利用し水車を回すことで発電する方式で、変換効率は約80%と非常に高いのが特徴です。水量を調整することで電気の需要変動にすばやく対応でき、水資源の豊富な日本では長期的に安定した発電が可能なんですね。
大規模なダム式水力発電はほぼ開発済みなので、今後は小規模な落差を利用した中小水力やマイクロ水力が有望視されています。全国各地の河川や農業用水を活用した中小水力発電所が多数導入されており、地域の再生可能エネルギー源として期待されています。
参考)https://www.wsew.jp/hub/ja-jp/blog/article_117.html
一方、バイオマス発電は、木くずや生ごみ、わら、もみ殻などの有機物や家畜・食品廃棄物を燃焼・ガス化することで発電する方式です。廃棄物の再利用や削減につながり、カーボンニュートラルの考え方に基づき大気中のCO2増減に影響を与えないとされています。
バイオマス発電のメリットは発電量の調整や貯蓄がしやすいことですが、原料となる有機物の収集と運搬コストがかかることや、変換効率が低いという課題もあります。
参考)https://www.tainavi-pp.com/investment/other/49/
地熱発電は、火山による地熱エネルギーを使用し、蒸気や熱水を利用してタービンを回すことで発電する方式です。昼夜を問わず発電でき、気候や時間に左右されず安定的に発電できるため、火山帯に位置する日本は豊富な資源を持っています。
発電に使った高温の蒸気や熱水は、農業用ハウスや魚の養殖、暖房などに再利用できる点も魅力なんです。ただし、日本の火山の多くは国立公園内にあるため発電所の建設が難しく、温泉地からは温泉が枯れる懸念も示されています。
海洋エネルギーには、波力発電と潮力発電があります。波力発電は波の上下運動の際に生じる気流を利用してタービンを回す方式で、発電効率は風力発電の約5倍、太陽光発電の約10倍と非常に優れています。
参考)https://gurilabo.igrid.co.jp/article/5075/
潮力発電は、潮の満ち引きを利用して発電する方式で、発電量の予測が立てやすく安定供給が期待できるのが特徴です。海に囲まれた日本では、海峡や瀬戸を中心とした沿岸地に潮力発電の適地が存在しており、大きなポテンシャルを有しています。長崎県五島市では2014年から大規模な潮流発電の実証事業が実施されており、商用化に向けた取り組みが進んでいます。
参考)https://asuene.com/media/290/
家庭用太陽光発電の導入を検討する際、設置費用(初期費用)とランニングコストを把握することが重要です。一般家庭であれば、初期費用に76.5万円〜127.5万円程度、ランニングコストとして20年に一回のパワーコンディショナー交換を含め年間1.5万円程度を見ておくのがおすすめなんです。
参考)https://www.tainavi.com/library/3977/
ランニングコストの内訳は、4年に1度のメンテナンス費用が年間換算で0.5万円、パワコンの20年に1度の交換費用が年間換算で1万円となります。固定価格買取制度により余剰電力を売却できるため、長期的には投資回収が可能となるケースも多いんですね。
再生可能エネルギーの効率的な活用には、スマートグリッド技術が重要な役割を果たします。スマートグリッドは、各家庭や企業に設置されたスマートメーターが電力消費量をリアルタイムで測定し、そのデータを中央の管理システムに送信する仕組みです。
参考)https://www.rn-j.com/business/om/denken/smaratgrid-denken/
太陽光や風力などの再生可能エネルギーは天候などの外的要因によって発電量が変動しやすいですが、スマートグリッドはこうした変動する電力を効果的に管理し、エネルギー全体の最適化を図ることができるんです。家庭で発電した余剰電力を電力網に戻すことで、全体の電力供給に貢献できる双方向の流れも可能になります。
参考)https://www.eneres.jp/journal/smart-grid/
<参考リンク>スマートグリッドの詳しい仕組みと導入メリットについて
次世代エネルギーを支えるスマートグリッドの仕組みを詳しく紹介
| 再生可能エネルギー種類 | メリット | デメリット | 変換効率 |
|---|---|---|---|
| 太陽光発電 | どこでも設置可能、光熱費削減、余剰電力売却可能 | 天候に左右される、初期費用が高い | 約10% |
| 風力発電 | 昼夜問わず発電、洋上設置可能、変換効率が高い | 騒音問題、適地が少ない、コストが高い | 約25% |
| 水力発電 | 需要変動に対応、安定発電、変換効率が非常に高い | 初期費用が高い、雨量に左右される | 約80% |
| 地熱発電 | 24時間安定発電、日本に豊富な資源、熱の再利用可能 | 建設場所が限られる、温泉への影響懸念 | 約8% |
| バイオマス発電 | 廃棄物再利用、発電量調整しやすい、カーボンニュートラル | 燃料収集コスト高、変換効率が低い | — |
日本政府は2030年のエネルギーミックスにおいて、国内電源の36〜38%を再生可能エネルギーで賄うことを目標としています。2025年度の再生可能エネルギー導入量は前年度と同水準の6GW/年程度の増加が見込まれており、年間増加率は6%となる見通しです。
参考)https://eneken.ieej.or.jp/press/press241223_g.pdf
再生可能エネルギーの導入は、エネルギー自給率を高め温室効果ガス削減に役立つという大きなメリットを持っています。企業向けには非化石エネルギー設備の導入資金融資や、固定資産税の軽減措置などの支援制度も用意されており、導入ハードルは徐々に下がっているんですね。
家庭で再生可能エネルギーを導入する場合は、国や自治体の補助金制度が利用できないかを確認することが重要です。FIT制度やFIP制度の対象となる設備もあり、売電収入を得ながら環境貢献できる仕組みが整っています。
再生可能エネルギーは枯渇しない、二酸化炭素や窒素酸化物を排出しない、新たな雇用につながる、非常時のエネルギー確保ができる、地域活性化が期待できるという5つの大きなメリットがあります。2011年の東日本大震災では、多くの被災者が自宅用太陽光電池からの電力を活用し、スマートフォンの充電や調理に使うことができたという実例もあるんです。
再生可能エネルギーの普及は世界的な潮流となっており、RE100という国際イニシアチブには2022年3月時点で世界24カ国356社が加盟し、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げています。日本からはイオンや富士フィルムなど66社が加盟しており、企業の環境意識の高まりが見られます。
今後も技術革新やイノベーションが進むことで、再生可能エネルギーの導入コストは下がり、変換効率は向上していくと期待されています。化石燃料からの脱却を目指す日本において、再生可能エネルギーは持続可能な社会の実現に不可欠な存在となっているんです。