新型コロナウイルス症状の初期から後遺症まで

新型コロナウイルス症状の初期から後遺症まで

新型コロナウイルスの症状

この記事でわかること
🌡️
初期症状の特徴

のどの痛みや発熱など、風邪と似た症状の見分け方

⚠️
重症化のサイン

高齢者や基礎疾患のある方が注意すべきポイント

🏠
家庭内感染対策

家族を守るための具体的な予防法と対応方法

新型コロナウイルスの初期症状と特徴

2025年10月現在、日本国内では「NB.1.8.1株(ニンバス)」が主流株となってり、症状の傾向にも変化が見られています。医療機関の調査によると、最近の新型コロナ陽性者150名のデータでは、のどの痛みが74%、38度以上の発熱が72%、咳・痰が66%と報告されています。初期症状としては発熱、倦怠感、咳、喉の痛みが典型的で、風邪やインフルエンザに似ているため、お医者さんでも初期症状だけで見分けるのは難しいとされているんです。
参考)https://www.taisho.co.jp/company/newsletter/2025/20250121001831/

以前は新型コロナの代表的な症状だった味覚・嗅覚障害ですが、オミクロン株に置き換わってからは発生率が低下しており、当院で罹患された方でもわずか1%程度しか訴えられていません。ただし、後遺症として味覚・嗅覚障害が現れるケースは今でもあるため、初期症状で判断するのは危険です。
参考)https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/covid19-symptoms/

症状の順序についても研究が進んでおり、発熱の後に咳、喉の痛みと続くパターンが多いとの報告があります。この症状の出現順序を知っておくことで、新型コロナと他の呼吸器疾患を区別する手がかりになる可能性があります。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7438535/

厚生労働省では「新型コロナウイルスに関するQ&A」で詳しい症状情報を公開しています。

 

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け) - 厚生労働省

症状 頻度 備考
のどの痛み 74% 最も多い症状
発熱(38度以上) 72% 1~3日で下がることが多い
咳・痰 66% 空咳のような乾いた咳が特徴
鼻水 40% 鼻詰まりは少ない
頭痛 34% 倦怠感と同時に現れることも

新型コロナウイルスの潜伏期間と感染経路

新型コロナウイルスの潜伏期間は、個人差があるものの一般的には2日から7日とされており、中央値は2~3日程度です。大体が2~4日程度で症状が現れますが、注意が必要なのは症状が出る2日ほど前から感染力があるという点なんです。
参考)https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/covid19-incubation-period/

主要な感染経路は、感染者から1~2m以内の距離で病原体を含んだ飛沫・エアロゾルを吸入することです。換気が悪い屋内では、感染者から遠い場所でも感染する可能性があり、ウイルスを含む飛沫や環境表面に触れた手指で粘膜を触ることでも感染します。​
感染性のある期間は発症前から発症後5~10日間とされており、日本では5類扱いになってからの隔離期間は「発症日を0日として、発症から5日間」とされていますが、それ以降でも十分感染性があることに注意が必要です。海外の報告では11日目以降はほぼ発症していないため、濃厚接触をされた方も最終接触から10日たてば99%発症しないだろうということがわかっています。​
日本環境感染学会の調査では、医療従事者の感染事例56施設のうち、推定される罹患場所として「職場外」が31施設と最も多く、感染経路としては「職員同士以外との会食」が16施設、「同居家族から」が11施設と報告されています。家庭内での感染リスクが高いことがわかりますね。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsei/36/3/36_181/_article/-char/ja/

新型コロナウイルスの重症化リスクと高齢者への影響

重症化のリスク因子として、65歳以上の高齢者と基礎疾患の有無が特に重要視されています。持病をお持ちの方は、そうでない方に比べて新型コロナウイルス感染症による影響が大きくなる傾向があるんです。
参考)https://www.takeda.co.jp/patients/coronavirus-vaccine/seniors-severity/

日本でのCOVID-19の入院患者レジストリCOVIREGI-JPによると、併存疾患がない症例と比較して、慢性腎臓病、肝疾患、肥満、脂質異常症、高血圧、糖尿病を有する患者で入院後に重症化する割合が高いことが報告されています。特に2023年のオミクロン株の流行以降は、新型コロナが直接の原因ではなく、感染をきっかけとする基礎疾患の悪化や合併症により、命に関わるケースが増えているため注意が必要です。
参考)https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/koreisha-kokyukishikkan/koreishashingatakoronauirusukansensho-shindan-chiryo-yobo.html

重症化のサインを見落とさないためには、CRP、プロカルシトニン、D-ダイマー、フェリチンなどの血液マーカーの上昇が予測指標となる可能性があります。これらのマーカーを入院時にスクリーニングし、経時的変化を評価することが重要とされています。​
厚生労働省と日本感染症学会が共同で作成した診療の手引きには、重症化リスクの詳細が記載されています。

 

感染症情報 - 厚生労働省

重症化リスク因子 影響度 詳細
65歳以上の高齢者 年齢とともにリスク上昇
慢性腎臓病 入院後の重症化率が上昇
糖尿病・高血圧 中~高 基礎疾患自体の悪化リスクも
肥満(BMI30以上) 生活習慣の改善が予防に
喫煙 呼吸器への影響が大きい

新型コロナウイルスの後遺症と倦怠感の実態

新型コロナ後遺症で特に多いとされる倦怠感は、症状のレベルにも個人差があり、日によって状態が変わることも珍しくありません。治りが早い人で1~3カ月、遅い人では1~2年程度続く症例も過去にはあったんです。
参考)https://lively-clinic.com/column/post/sequelae-of-fatigue/

倦怠感の具体的な症状としては、だるさや重さがある、軽い運動や短い距離の移動をおこなうと息切れする、じっとしているだけでも疲れを感じる、起き上がるのも困難なほどぐったりしてしまうといったものが報告されています。同じ倦怠感といっても、人によって症状の重さには違いがあり、その日の状況や行動によって症状の度合いが急変することもあるため、同じ症状が続くとも限りません。​
コロナ後遺症による疲労感について複数の論文を検証した研究では、最大81%の確率で集中力や持続力が続きにくくなる症状が起こるとされています。当院の外来に受診された方でも「仕事をしようとしてもなかなか取り掛かりに時間がかかってしまい、一度取り組んでもすぐ疲れてしまう」といった訴えが見られるんです。
参考)https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/postcovi19-fatigue/

睡眠障害も後遺症の一つとして注目されており、最大33%の確率で起こる可能性があるといわれています。「コロナ発症をきっかけに睡眠リズムがバラバラになってしまった」「疲れているのに眠れない」といった症状を訴える方が多いです。​
感染時には無症状だった人でも、倦怠感が続くことで初めて症状を認知するケースがあり、倦怠感の症状が悪化すると精神的にもストレスがかかり、気持ちが沈んでしまったり、ほかのことが手につかなくなったりと精神的な症状が出る可能性もあります。​

新型コロナウイルスの子どもへの影響と家庭内感染対策

子どもの新型コロナウイルス感染症では、大人とは少し違った症状があらわれることがあります。潜伏期間は2~7日間で、症状があらわれる2日ほど前から感染力があるとされているんです。主な感染経路は飛沫感染と接触感染で、感染力が強く、大勢の人が密に集まる場所や換気の悪い室内などで感染が広がりやすいという特徴があります。
参考)https://kids-doctor.jp/magazine/7olvwhz6wi8

子どもが新型コロナに感染すると、発熱、倦怠感、頭痛、乾いた咳、咽頭痛などの症状があらわれます。症状のあらわれ方は子どもによってさまざまで、頻度は高くありませんが腹痛や下痢、嘔吐など消化器症状があらわれるケースもあるんです。嗅覚や味覚の異常は子どもの症状としては少ないとされているものの、10代の子どもでみられることもあります。​
2歳未満の乳幼児や基礎疾患のある子どもが新型コロナにかかると、けいれんや肺炎、急性脳症などを合併して重症化するリスクがあることが報告されていますが、子どもが重症化するケースは稀で、軽症で済む場合がほとんどなのであまり心配しすぎる必要はありません。​
家庭内で新型コロナの感染が疑われる人がいる場合には、厚生労働省が推奨する8つのポイントがあります。感染者と他の同居者の部屋を可能な限り分ける、感染者の世話をする人はできるだけ限られた方(一人が望ましい)にする、できるだけ全員がマスクを使用する(2歳以下は不要)、小まめにうがい・手洗いをする、日中はできるだけ換気をする(目安:1~2時間に1回、5~10分間程度)、取っ手やノブなどの共用する部分を消毒する、汚れたリネンや衣服を洗濯する、ゴミは密閉して捨てるといった対策が有効です。
参考)https://lidea.today/articles/003698

家庭内感染対策の詳細については、東京都が公開している「自宅療養者向けのハンドブック」が大変わかりやすいと評判です。

 

新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項 - 厚生労働省
日本国立感染症研究所のデータや医療機関の調査に基づき、最新の知見を盛り込んで作成しました。家族の健康を守るために、正しい知識と適切な対策を心がけましょう。
参考)https://fastdoctor.jp/columns/corona2024