

市販のドーナツより油を少なくしようとすると、セルロティはうまく揚がらず形が崩れます。
セルロティ(Sel Roti)は、ネパール発祥の伝統的な揚げパンで、見た目はドーナツに似たリング状のお菓子です。小麦粉が主流の揚げ菓子が多い中、セルロティの主原料は米粉(または水に浸して砕いたお米)というのが大きな特徴です。
食感はサクサクとした外皮の中にモチモチとした層があり、一般的なドーナツとは全く異なります。甘さは控えめで、ギー(バターオイル)やカルダモンを加えることで独特の風味が生まれます。これが基本です。
ネパールでは「ダサイン」や「ティハール」といった大きなお祭りの時期に必ず作られるほど、文化的に重要な食べ物です。日本でいえば、お正月のお雑煮や年越しそばのような存在といえるでしょう。家庭によってレシピが異なるのも特徴の一つです。
直径は約15〜20cm(A4用紙の短辺くらい)のものが一般的で、家族全員で手作りすることも多いとされています。意外ですね。
家庭でセルロティを作る際に必要な材料は以下の通りです。
日本のスーパーで手に入りにくいギーは、無塩バターを弱火で溶かして水分を飛ばすことで近いものが作れます。カルダモンはスパイス専門店やネット通販で比較的安価(200円前後〜)に入手できます。
材料の代替は工夫次第です。ただし、米粉だけはうるち米100%のものを選ぶのが重要で、白玉粉や上新粉では食感が変わってしまいます。「米粉」と書かれた製品でもブレンドのものがあるため、原材料表示を確認しましょう。これだけ覚えておけばOKです。
実際の作り方を順番に説明します。
最大のポイントは生地の硬さです。硬すぎると絞り出せず、柔らかすぎると形が広がりリング状にならないため、生地をスプーンからリボン状にゆっくり落ちる硬さに調整することが必要条件です。
また、油の温度管理も重要です。低すぎると油を吸いすぎてベタベタになり、高すぎると表面だけが焦げて中が生のままになります。温度計がない場合は、生地を少量落として5秒ほどで浮かんでくるかどうかを目安にしましょう。これで大丈夫です。
絞り袋の代わりに、厚手のビニール袋の角を5mmほど切ったものや、ペットボトルのキャップ部分を使うと均一なリングが作りやすいです。これは使えそうです。
「作ってみたら固くなってしまった」という失敗は多いです。固くなる原因は主に3つあります。
まず揚げた後に冷めすぎたケースです。セルロティは揚げたてが最もサクモチの食感で、時間が経つにつれて外皮が硬くなります。ネパールでも基本的に作りたてを食べるのが一般的です。
次に生地の発酵不足または過発酵です。一部のレシピでは生地を室温で2〜3時間発酵させることで風味と食感が向上すると言われています。ただし夏場の日本では発酵が早く進みすぎることがあるため、冷蔵庫での低温発酵(6時間程度)が安全です。
最後に米の種類の問題です。もち米を混ぜたレシピと、うるち米だけのレシピで食感が大きく変わります。もち米を全量使うとかなりモチモチした仕上がりに、うるち米のみだとサクサク感が強くなります。どちらが好みかで選びましょう。
固くなったセルロティはそのままでは食べにくいですが、電子レンジで20〜30秒温めると少し柔らかくなります。それが条件です。
実は、日本国内でも本場のセルロティを味わえる機会があります。意外ですね。
東京・高田馬場エリアは「リトル・ネパール」とも呼ばれ、ネパール料理店が複数集まっています。その中でもセルロティを提供しているレストランやカフェが数件あり、特にダサイン(10月頃)やティハール(11月頃)の時期はイベントメニューとして登場することがあります。
大阪でも鶴橋・天王寺近辺に数軒のネパール料理店があり、ランチセットのデザートや持ち帰り用スイーツとして提供しているお店があります。Googleマップで「ネパール料理 大阪」と検索すると最新の情報が確認できます。
通販については、冷凍のセルロティが販売されているケースもありますが、揚げたてとは食感が異なるため注意が必要です。ネパール食材の専門通販サイトでは、セルロティ用の米粉ミックスが1袋500〜800円前後で販売されており、材料を揃えるのが面倒な方にとっては便利な選択肢です。
【参考】JICA(国際協力機構)ネパール紹介ページ:ネパールの文化・祭りに関する基礎情報が掲載されています
【参考】農林水産省:アジアの米食文化に関するレポート(米粉の多様な利用についての情報が含まれます)