

増えすぎたサンショウモを川に捨てると、300万円の罰金になることがあります。
「サンショウモ」と「オオサンショウモ」は見た目が似ていますが、実は別の植物です。この違いを知らないと、購入後に育て方を間違えてしまうことがあります。
サンショウモ(学名:Salvinia natans)は、日本の本州・四国・九州の水田や池沼に自生する在来種で、全体の大きさが約10cm(はがきの横幅くらい)に達する1年草のシダ植物です。葉の表面にはプツプツとした凹凸状の突起があり、3枚が輪生する形で生長します。そのうち2枚は水面に浮く「浮葉」、残り1枚は水中に垂れ下がる「水中葉(根のような役割)」です。根はありません。
一方、オオサンショウモ(学名:Salvinia auriculata / molesta)は南米原産の外来種で、葉がお椀状に立ち上がってフリル状になるのが大きな魅力です。成長すると葉の縁が水面より上に突き出し、表面の毛が縞模様になっています。現在ショップで「サンショウモ」として販売されているものの多くはこのオオサンショウモです。
大きな違いとしては、サンショウモは在来種で1年草、オオサンショウモは外来種で温度が保てれば多年草として育てられる点が挙げられます。草姿も異なり、オオサンショウモは葉の直径が2〜3cmと比較的大ぶりで迫力があります。
つまり目的に合わせて選ぶのが基本です。ビオトープを華やかに演出したいならオオサンショウモ、日本の原風景を再現したいならサンショウモが向いています。
参考:サンショウモと水草の育て方に関する詳細データ
超水草図鑑:サンショウモの育て方と増やし方
水草を枯らしてしまう原因のほとんどは、水温・光・水質の3つを軽視していることにあります。
水温については、オオサンショウモの適温は20〜28℃です。15℃を下回ると成長がほぼ止まり、10℃以下になると枯死する危険があります。真夏の高温(35℃超)も葉焼けの原因になるため注意が必要です。これは夏は強い、冬は弱いということです。水槽用のサーモスタット付きヒーターを使い、年間を通じて20℃以上をキープするのが理想的な管理方法です。
光量については、オオサンショウモは特に強い光を好みます。屋外では直射日光を浴びると葉がお椀状に立ち上がり、鮮やかな緑色になります。室内では窓越しの光だけでは明らかに不足するため、色温度6,000〜7,000K程度の白色LEDライトを1日8〜12時間照射するのが推奨されています。光が足りないと葉が平らなまま伸びるだけで、あの特徴的なフリル状になりません。
水質は、pH6.5〜7.5(中性〜やや弱酸性)、硬度はGH3〜8°dH程度が理想です。アンモニアや亜硝酸は0mg/L、硝酸塩は20mg/L以下を維持しましょう。水換えは週に1回、全体の1/3程度が推奨されています。水質が悪化すると根が黒ずんだり、葉が茶色く変色したりします。
水流については、強い流れを嫌う一方で、まったく動かない水もコケやカビを招くリスクがあります。スポンジフィルターなどによる弱い水流を設けるのがちょうどよいバランスです。
肥料は、メダカなどの生体がいる場合はフンが天然の肥料になるため追加不要なことがほとんどです。生体のいない環境では、鉄・カリウムを含む液体肥料を週1〜2回、規定量より少なめに添加するのが目安です。肥料の過剰添加は藻類(コケ)の爆発的な発生を招くため、少なめから始めましょう。水温・光・水質に注意すれば問題ありません。
参考:オオサンショウモの育成環境と光量・水温管理の詳細
オオサンショウモの育て方と増やし方|冬越しのコツや枯れる原因
オオサンショウモにとって冬は最大の試練です。屋外での越冬はほぼ不可能と考えてください。
オオサンショウモは熱帯アメリカ原産のため、本来は温暖な環境が大前提です。気温が下がる秋(目安:10月中旬以降)になる前に、必ず室内の暖かく明るい場所へ移動させましょう。水温が15℃を下回ると成長が完全にストップし、10℃を切ると枯れ始めます。
室内での冬越し手順は以下のとおりです。
一方、日本在来のサンショウモは秋に胞子を残して枯死し、翌春に再発芽するサイクルを繰り返します。こちらは「枯れたら終わり」ではなく、胞子が水底で越冬するため、来年また楽しめます。これはいいことですね。
オオサンショウモを来年も楽しみたい場合は、「秋に取り込む・ヒーターで保温・光を補う」この3点が冬越しの条件です。
オオサンショウモは条件さえ合えば驚くほど増えます。3日で株数が倍になるほどの増殖力を持つこともあります(国立環境研究所のデータより)。
増やし方自体は非常にシンプルです。株分けで増やすことができ、3枚セットの葉を傷つけない位置でカットし、別の容器や水槽に浮かべるだけで、十分な光と水温があれば再び成長します。正直なところ、夏の屋外であれば何もしなくても増え続けるほどです。
ただし増えすぎると以下のような問題が起きます。
増えすぎたときの対処法として、定期的に株を間引くのが最も簡単です。余った株は小さなプラスチックケースや空きビンに入れて水草ストックとして保管するのも実用的です。また、メダカの稚魚の隠れ家用に別容器へ移したり、知人や水草を扱うショップに分けたりする方法もあります。
ここで絶対に守ってほしいのが、不要になったオオサンショウモを川・池・用水路などに捨てないことです。これは単なるマナーの問題ではなく、法的なリスクにも直結します。この点については次の見出しで詳しく説明します。
増えすぎたサンショウモを自然の川や池に捨てるのは絶対にダメです。
オオサンショウモは国立環境研究所から「侵入生物(特定外来生物に相当)」としてリストアップされている植物です。農林水産省の外来生物対策指針にも、「アゾラ・クリスタータ」と並んで防除対象として明記されています。つまり、管理下で育てること自体は問題ありませんが、野外への放流・投棄は外来生物法に抵触する可能性があります。
外来生物法の罰則は非常に重く、許可なく特定外来生物を野外に放ったり植えたりした場合、個人では懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金、法人では1億円以下の罰金が課されます(環境省外来生物法ページより)。これは痛いですね。
なぜそこまで厳しいかというと、オオサンショウモは繁殖力が極めて高く、日本各地の水路や水田に定着した事例がすでに報告されているからです。在来の水草や水生生物の生息域を奪い、農業被害にまでつながるリスクがあります。
不要になったオオサンショウモの適切な処分方法は次のとおりです。
「少しくらいなら大丈夫だろう」と思いがちですが、法律はそのような判断に関係なく適用されます。「知らなかった」では済まされないリスクがある点を、ぜひ覚えておいてください。
参考:外来生物法の罰則と対象植物について(環境省公式)
環境省:外来生物法 罰則について
サンショウモは、メダカと組み合わせることで飼育環境が大きく改善されます。これは使えそうです。
まず産卵床としての効果があります。オオサンショウモの水中葉(根のような部分)は細かい毛が密生しており、メダカが卵を産みつけるのに最適な構造をしています。既製の産卵床(スポンジタイプなど)に比べて自然素材であるため、孵化した稚魚への刺激も少なく安心です。屋外ビオトープでは根がかなり長くフサフサになり、産卵・隠れ家としての機能が特に高くなります。
次に日差し・外敵からの保護です。水面を覆う葉は夏の強い日差しを和らげ、メダカが日光にさらされすぎるのを防ぎます。また、鳥やヤゴなどの天敵から身を隠すための屋根の役割も担います。
さらに水質浄化の効果も注目されています。オオサンショウモは水中の窒素やリン(メダカのフンや食べ残しが分解されてできる成分)を根から効率よく吸収します。これによりコケや藻の発生が抑制され、透明度の高い水質が維持されます。液体肥料いらずでオオサンショウモが自然に育ち、メダカも健康に過ごせるという好循環が生まれます。
なお、オオサンショウモの柔らかい葉や水中葉は、メダカの非常食にもなることが知られています。特に食べ物が少ない環境では、自然と葉をついばむ行動が観察されることがあります。
メダカの飼育をしていて「水が汚れやすい」「産卵床の準備が面倒」という場合、オオサンショウモを1株浮かべるだけで複数の悩みを一度に解消できる可能性があります。春先(4〜5月ごろ)に購入して水面に浮かべ、夏に向けて一緒に育てていくのがおすすめです。春に購入するのが基本です。
参考:メダカとオオサンショウモの相性・育て方についての詳細
オオサンショウモの育て方。メダカと相性のいい浮き草