

スーパーで「高級アワビ」と書かれていても、マダカとクロで値段が3倍近く変わることがあります。
アワビは見た目が似ているため、「全部同じでしょ」と思いがちです。でも、マダカアワビとクロアワビは、殻の色や形、サイズにはっきりとした違いがあります。
マダカアワビは日本産アワビの中で最も大きくなる種類です。成体の殻長は平均15〜18cm、大きいものでは20cmを超えることもあります。はがきの短辺が約10cmなので、20cmというのはほぼはがき2枚分の長さです。殻の表面はやや平たく、赤みがかった茶褐色をしています。呼吸孔(殻についた小さな穴の列)が比較的開いた形で並んでいるのも特徴です。
クロアワビは、名前の通り黒みを帯びた暗褐色の殻を持ちます。殻長は成体で10〜15cm程度が多く、マダカアワビより一回り小さいのが一般的です。殻の厚みはマダカよりしっかりしていて、ずっしりとした重みを感じます。
つまり、大きくて平たい=マダカ、黒くて厚みがある=クロ、と覚えておけばOKです。
店頭でアワビを手に取ったとき、殻の色と重さを確認するのが最初の判断ポイントになります。産地のラベルも合わせてチェックすると、種類をより確実に識別できます。
| 項目 | マダカアワビ | クロアワビ |
|---|---|---|
| 殻の色 | 赤みがかった茶褐色 | 黒みがかった暗褐色 |
| 殻長(成体) | 15〜20cm以上 | 10〜15cm程度 |
| 殻の厚み | やや薄め・平たい | 厚みがありずっしり |
| 呼吸孔の形状 | 孔が比較的開く | 孔が閉じ気味 |
アワビを選ぶ際に最も大切なのは、やはり味と食感です。この2種類は、同じアワビでも口に入れたときの印象がかなり異なります。
クロアワビは「アワビの王様」と呼ばれることがあるほど、旨みが濃厚です。身が締まっていて、コリコリとした強い食感があります。磯の風味も豊かで、刺身で食べると磯の香りがしっかり感じられます。旬は主に春から初夏(4〜6月)で、この時期は特に身が充実して美味しいとされています。
一方、マダカアワビは身がやわらかく、クセが少ない上品な味わいが特徴です。旨みはクロに比べてやや淡白ですが、食べやすさという点ではマダカの方が好まれることも多いです。旬は秋から冬(9〜12月)にかけてで、クロアワビとは旬の時期がずれています。
これは使えそうです。旬の時期が違うということは、一年を通じてどちらかのアワビが美味しい時期にあたることを意味するからです。
調理法の観点では、クロアワビは刺身やステーキなど食感を活かす料理に向いています。マダカアワビはやわらかいため、蒸しアワビや炊き込みご飯など、じっくり火を通す料理にも適しています。贈り物や特別な日の食卓に選ぶなら、用途と食べる人の好みに合わせて選ぶのがベストです。
アワビの価格差は、種類・産地・サイズによって大きく変わります。この点を知らずに購入すると、思わぬ出費になることがあります。
クロアワビは国内産の中でも最高級とされており、1個あたり3,000〜8,000円程度が一般的な相場です。大きいサイズや有名産地(三重県鳥羽・岩手県など)のものは1万円を超えることもあります。マダカアワビはクロよりやや入手しやすい価格帯のものもありますが、大型個体は同様に高価です。
産地については、クロアワビは三重県・千葉県・岩手県が主な漁獲地として知られています。特に三重県鳥羽産・志摩産のクロアワビは、ブランド力が高く贈答品として人気です。マダカアワビは房総半島(千葉県)や伊豆半島周辺でよく水揚げされます。
価格が安いからといって品質が低いわけではありません。
また、近年では中国産や韓国産のアワビが「アワビ」として流通していることがあります。国産アワビを選ぶ場合は、必ず「産地」のラベルを確認することが重要です。国産クロアワビや国産マダカアワビであることを示すラベルがあるかどうかが、品質見極めの基本です。
ふるさと納税を活用すると、三重県や岩手県のクロアワビが通常より割安で手に入ることがあります。特別な日の食材として検討する際は、ふるさと納税の返礼品も選択肢のひとつとして確認してみてください。
| 項目 | マダカアワビ | クロアワビ |
|---|---|---|
| 価格目安(1個) | 2,000〜6,000円程度 | 3,000〜8,000円以上 |
| 主な産地 | 千葉県・伊豆半島周辺 | 三重県・岩手県・千葉県 |
| 旬の時期 | 秋〜冬(9〜12月) | 春〜初夏(4〜6月) |
アワビは贅沢食材というイメージが強いですが、栄養面でも注目すべき点がいくつかあります。種類による大きな差はないものの、知っておくと食材選びに役立ちます。
アワビ全般に共通する栄養素として、タウリンが豊富な点が挙げられます。タウリンは肝機能をサポートし、疲労回復にも関わる成分です。また、亜鉛・鉄・ビタミンB群も含まれており、免疫力や貧血予防という観点からも注目される食材です。100gあたりのカロリーは約73kcalと低く、高タンパク・低脂質という点でも優秀です。
マダカアワビとクロアワビで栄養組成に極端な差はありませんが、クロアワビの方が身が締まっているぶん、噛み応えがあり満足感を得やすいという特徴があります。少量でも食べ応えを感じたいときはクロアワビ、消化しやすさを重視するならマダカアワビが向いています。
いいことですね。同じ食材でも選び方次第で体への恩恵が変わります。
なお、アワビの内臓(肝)は栄養豊富ですが、磯の香りが強く好みが分かれます。クロアワビの肝は特に風味が強いため、初めて試す場合はマダカアワビの肝の方が食べやすいという声も多いです。肝まで美味しくいただけると、食べ残しなく使い切ることができます。
スーパーや鮮魚店でアワビを選ぶとき、「なんとなく大きそうなもの」を選んでいませんか。実は、選び方を少し変えるだけで、同じ値段でも美味しさが大きく変わります。
新鮮なアワビを見極めるポイントは3つあります。①殻の裏側(足の部分)がしっかり吸着して動きがあること、②身の色が透明感のあるクリーム〜薄茶色であること、③磯の香りはあるが生臭さがないこと、です。特に①は重要で、弱ったアワビは吸着力が落ち、殻から剥がれやすくなっています。
保存については、生きたアワビは冷蔵庫に入れる前にぬれた新聞紙や布巾に包んで保存するのが基本です。低温に弱いため、冷蔵庫の野菜室(5〜8℃程度)に入れると2〜3日は保存できます。チルド室(0〜2℃)は逆に傷みやすくなるため、避けてください。これだけ覚えておけばOKです。
調理前の下処理では、アワビを塩で表面をこすり洗いし、ぬめりをしっかり落とすことが大切です。クロアワビは身が締まっているので、刺身にする場合は薄切りにするとより食べやすくなります。マダカアワビはやわらかいので、厚切りでも問題ありません。
下処理のポイントを動画で確認したい場合は、NHKの「きょうの料理」公式サイトや、農林水産省の水産物に関するページにも調理参考情報が掲載されていることがあります。信頼できる情報源を活用して、せっかくの高級食材を最大限に活かしてください。
農林水産省 水産物に関する情報ページ(アワビの種類・産地・漁獲情報の参考として)。
農林水産省 水産白書・水産物の種類と産地情報
三重県水産研究所によるアワビの生態・種類の解説(クロアワビ・マダカアワビの生態比較として参考)。
三重県水産研究所 公式ページ