

クリタケは生のまま食べると下痢・腹痛になり、加熱必須です。
クリタケは秋を代表する天然きのこのひとつで、9月下旬から11月にかけて旬を迎えます。山形県・長野県・岐阜県などの山間部が主な産地で、広葉樹や枯れ木の周辺に株立ちで生えているのが特徴です。歯ごたえがしっかりしており、よいだしが出るので味噌汁・炊き込みご飯・炒め物など幅広い料理に活かせます。
ただし、クリタケには下処理が欠かせない理由があります。実はクリタケはヨーロッパでは「毒キノコ」として扱われており、生のままや加熱不足の状態で食べると下痢・腹痛などの消化器症状を引き起こす可能性があります。加熱によって毒性成分が弱まるため、日本では食用とされていますが、「しっかり茹でこぼすこと」が絶対条件です。
生のまま食べるのはダメです。
また、天然もののクリタケには虫が入り込んでいることが多く、目に見える大きな虫だけでなく、傘の内側や茎の中にも小さな虫が潜んでいます。塩水に漬ける「虫出し」の工程を省くと、知らないうちに虫ごと調理してしまうことになりかねません。下処理にかかる時間は全部で30〜40分程度ですが、このひと手間が食の安全と美味しさを守ってくれます。
| 工程 | 目的 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 石づき・汚れ取り | 土や木くずを除去 | 5〜10分 |
| 塩水に漬ける(虫出し) | 傘の中の虫を追い出す | 10〜20分 |
| 茹でこぼし | 毒性成分の除去・虫の完全除去 | 5分 |
| 水洗い・水切り | アクや汚れの最終除去 | 5〜10分 |
つまり、下処理は健康を守るための必須作業です。
参考:クリタケの食べ方・毒性についての公的情報
厚生労働省|毒キノコによる食中毒に注意しましょう
下処理の最初のステップは、石づきと汚れを丁寧に取り除くことです。天然のクリタケには葉・土・木くずが付着しており、そのまま調理すると料理全体の味や見た目を損なってしまいます。
まず、茎(じく)の根元部分にある黒ずんだ石づきを、はさみや包丁で切り落とします。このとき、切り口の断面が黒く変色していたら虫食いが進んでいるサインです。縦に割って内部も確認し、黒ずみが多い場合は思い切って捨てましょう。汚れている部分が少しであれば、その箇所だけカットすればOKです。
傘の縁が虫に食われて変色していることもあります。そのような部分も大胆にカットしてしまいましょう。惜しみながら使うと食感や味が落ちることがあります。
傘の汚れは乾いたキッチンペーパーや布巾で軽く拭き取るのが基本です。この段階でまだ水を使わないことがポイントで、濡らすと傷みが早まり、風味も落ちてしまいます。水洗いは後の工程で行うため、今は乾いた状態で汚れだけを除去することに集中してください。
これが最初の工程の基本です。
石づきを取ったら、次は塩水を使った虫出しの工程です。天然きのこには必ずといってよいほど小さな虫が潜んでいますが、塩水に漬けることで虫が自ら出てきます。これを知らずに「見た目がきれいだから大丈夫」と省いてしまう方が多いのですが、傘の内側や茎の内部に潜む虫は目では確認できません。
塩水の濃度は水1リットルに対して大さじ1(約15g)が目安です。海水よりやや薄い程度の塩分濃度で、これがちょうど虫が嫌がる濃度になっています。クリタケをボウルに入れ、塩水をひたひたになるくらいまで注いで10〜20分ほど漬けておきます。
漬ける時間が長すぎると旨み成分が溶け出してしまいます。20分を目安にしておけばOKです。
塩水に漬けている間に、虫が浮き上がってくるのが確認できることがあります。漬け終わったらクリタケを塩水から取り出し、別の鍋で湯を沸かす準備をしておきましょう。この塩水は使用済みなので捨てて問題ありません。
参考:きのこの塩水による虫出し方法
天然きのこ山菜.com|きのこの虫出しのやり方
虫出しが終わったら、続いてクリタケを「茹でこぼす」工程に入ります。茹でこぼしとは、沸騰したお湯にクリタケを投入して一煮立ちさせ、そのゆで汁を捨てることです。これがクリタケ特有の大切な工程です。
茹でこぼしには主に2つの役割があります。ひとつは、塩水では取り切れなかった小さな虫を熱で完全に追い出すこと。もうひとつは、クリタケに含まれる毒性成分(加熱で弱まる成分)を除去することです。ヨーロッパでクリタケが「毒キノコ扱い」されている理由のひとつも、この処理が一般的でないためと言われています。
茹でこぼしは重要な工程です。
具体的な手順として、まず大きめの鍋に水を入れて沸騰させます。沸騰したら塩水から取り出したクリタケを投入し、再沸騰したらすぐに火を止めてザルにあけます。長時間茹でる必要はなく、「一煮立ちしたらすぐ止める」が正解です。時間をかけすぎると食感が損なわれ、だしも出てしまいます。
茹でこぼした後は、クリタケを1本ずつ丁寧に水洗いします。茎を縦に割って内側に汚れが残っていないかも確認してください。汚れが残っている場合は指の腹でやさしくこすり落とします。水が濁らなくなるまで最低3回は水を換えながら洗いましょう。これでクリタケの下処理はすべて完了です。
参考:原木くりたけの公式下処理方法
山形産松茸販売きのこや|原木くりたけの下処理方法
クリタケの下処理を語る上で絶対に外せないのが、毒キノコ「ニガクリタケ」との見分け方です。ニガクリタケはクリタケとよく似た見た目をしており、毎年のように誤食による食中毒が報告されている非常に危険な存在です。食後3時間程度で強い腹痛・激しい嘔吐・下痢・悪寒などの症状が現れ、重症の場合は死亡することもあります。
これは意外ですが、両者は並べて見てもベテランでも見分けに迷うことがあります。見た目だけで100%判断するのは危険です。
| 特徴 | クリタケ(食用) | ニガクリタケ(毒) |
|---|---|---|
| 傘の色 | 赤褐色〜栗色 | 硫黄色〜黄色(中央がやや黄褐色) |
| 傘の大きさ | 直径3〜8cm | 直径2〜5cm(やや小ぶり) |
| ひだの色 | 黄白色→胞子が熟すと紫褐色 | オリーブ色→暗紫褐色 |
| 茎の色 | 上部が淡色・下部に向かって褐色 | 傘とほぼ同色(黄色系) |
| 味 | 無味〜ほぼ無味 | 強い苦味がある |
| 毒性 | 加熱で食用可 | 加熱しても毒性は消えない(猛毒) |
見分けのポイントとして、最も信頼性が高いのは「茎の色の違い」と「噛んだ際の苦味」です。クリタケの茎は上部が淡い色で、下部に向かうにつれて褐色になるのが特徴ですが、ニガクリタケは傘と茎がほぼ同じ黄色系の色をしています。また、ニガクリタケはその名のとおり、かじると強烈な苦味があります。これが一番わかりやすい見分け方のひとつです。
ただし、苦味を確認するために生のまま口に含むのはリスクがあります。確実に食べられると判断できないものは、「採らない・食べない」が鉄則です。
参考:ニガクリタケの毒性と食中毒症状について
厚生労働省|ニガクリタケ(毒キノコ)について
下処理を終えたクリタケをすぐに使わない場合、正しく保存することで旨みと食感を長持ちさせることができます。保存方法を間違えると、せっかくの手間が無駄になってしまいます。
冷蔵保存をする場合は、下処理後に水気をしっかり切り、キッチンペーパーで包んでから密閉袋や容器に入れて冷蔵庫へ。保存期間は2〜3日程度が目安です。保存中に濡れた状態が続くと傷みが早まるので、水気の除去は徹底しましょう。
冷凍保存をする場合は、水気を切ったクリタケをザルに広げて軽く乾かしてから、ジッパー付き保存袋にまとめて入れて冷凍庫へ。冷凍保存の場合は約1か月間保存が可能です。解凍は不要で、冷凍のまま直接調理に使えます。解凍してから使うと食感がべちゃっとして風味も落ちるため、凍ったまま鍋や味噌汁に投入するのがポイントです。
冷凍のまま使うが原則です。
クリタケの茎(じく)は硬くて食べにくい部分ですが、だしが非常によく出るため捨てるのはもったいないです。茎だけを別の袋に入れて冷凍しておき、だし取り用として使うと旨みのある汁物が作れます。茎からとっただしは味噌汁・うどん・鍋のベースに使えて、料理の深みが格段にアップします。これは検索上位にはあまり紹介されていない活用術です。
参考:きのこの冷凍保存と旨みを活かす活用法
さざえ|知らないと損!きのこの冷凍保存で栄養キープ&食品ロスも防ぐコツ

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