セントオーガスチングラスの種と育て方・増やし方の全知識

セントオーガスチングラスの種と育て方・増やし方の全知識

セントオーガスチングラスの種と育て方・品種選びの完全ガイド

セントオーガスチングラスの「種」を買おうとして、検索しても見つからなかった経験はありませんか?じつは、この芝生には「種が市販されていない」という重大な事実があります。


この記事でわかること
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種では育てられない理由

セントオーガスチングラスは栄養繁殖の芝。種子での流通がない理由と、正しい入手方法(ポット苗・ソッド)を解説します。

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3種類の品種と違い

ノーマル種・シェードⅡ・シェードⅢの特性を比較。日陰の多い庭や寒冷地に住む方が選ぶべき品種がわかります。

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失敗しない管理の注意点

除草剤で芝が全滅するリスクや、刈り高を守らないと起こる「軸刈り」など、よくある失敗パターンとその回避策を紹介します。


セントオーガスチングラスの種は市販されていない──正しい入手方法とは

「セントオーガスチングラスの種をホームセンターで探したけれど見つからない」──そんな経験をされた方は少なくありません。じつはこれには明確な理由があります。


セントオーガスチングラスは「栄養繁殖系」の芝草です。簡単に言うと、茎や根を切り取って植え付けることで増える植物であり、種子をつくる仕組みが市販流通に向いていません。雪印種苗のよくある質問ページでも「コウライシバ、セントオーガスチングラスなどの芝草は、種子の流通がありません」と明記されています。


つまり、種をまいて育てるのは不可能です。


では、どうやって入手するのか。主な方法は以下の3つです。


- ポット苗(9cmポット、1個あたり約200円):小さなプラカップに入った苗。50cm間隔で植え付けるのが静岡県芝生研究所のマニュアルでの推奨方法です。


- 切り芝・ソッド:シート状になった芝。ネット通販が主流で、宮崎産のものが多く流通しています。2平米で2,400〜3,000円程度が目安です。


- 挿し芽(株分け):すでに育っているセントオーガスチングラスの匍匐茎(ほふく茎)を切り取り、土に挿して増やす方法。費用ゼロで増やせます。


ホームセンターでは取り扱いが非常に少ないです。探しても見つからない場合は、楽天市場やAmazonなどのネット通販を活用するのが確実な方法といえます。


参考:雪印種苗 芝生用草種の特徴(専門業者による品種解説)
https://www.snowseed.co.jp/use/use-10001986/


セントオーガスチングラスの種類と品種の違い──ノーマル・シェードⅡ・シェードⅢ

通販でセントオーガスチングラスを調べると、「品種指定なし(ノーマル)」「シェードⅡ」「シェードⅢ」という名前が出てきます。それぞれ性質が異なるため、庭の環境に合った品種を選ぶことが大切です。


ノーマル種は、品種を指定せずに注文したときに届く、もっとも一般的なタイプです。自然のまま多様な個体が混在しているため、その土地の環境に適した個体が定着しやすく、悪条件への適応力が高いのが強みです。繁殖力が旺盛で、週1〜2週間に1回の刈り込みを続けると非常に密な芝生になります。ただし繁殖力が強いぶん、境界管理には注意が必要です。


シェードⅡは、耐寒性を重視して選抜されたタイプです。セントオーガスチングラスはマイナス4℃を下回る日が続くと枯れるリスクがありますが、シェードⅡはその中でも特に寒さに強い個体を集めたものです。葉色はノーマルより濃く、葉幅が均質なため仕上がりが美しく、庭のデザインにこだわる方に向いています。春に植えると真夏にはきれいなターフを形成します。


シェードⅢは、葉が小さくて色が濃く、ほとんど伸びないという特性を持つ珍しい品種です。5月のGWに植えて、8月下旬ごろからようやく地表を覆い始めるほどゆっくりした成長が特徴です。刈り込みの手間を極力省きたい方や、コウライシバとの境界部分に色合いを合わせたい場面で活用できます。


品種選びの目安をまとめると、「手間をかけず広く育てたい」ならノーマル種、「見た目の美しさと寒さ対策を両立したい」ならシェードⅡ、「刈り込みをほとんどしたくない」ならシェードⅢが向いています。


セントオーガスチングラスの植え付け時期と方法──失敗しない手順

植え付けに適した時期は6〜7月です。静岡県の芝草研究所が発行する「セントオーガスティングラスによる芝生管理マニュアル」でも、「セントオーガスティングラスが旺盛に生育する6〜7月に行う。梅雨時期なので散水の手間を減らすことができる」と明記されています。


梅雨が基本です。


植え付けの具体的な手順を以下にまとめます。


- 🌿 50cm間隔で植え付ける:ポット苗を使う場合は50cm間隔が推奨。全面が芝生になるまで約2年かかります。


- 💧 植え付け後2〜3週間は散水を続ける:根が定着するまで土が乾かないように管理します。夏場は1㎡あたり1日3Lを目安に水を与えましょう。


- 🌱 2週間おきに施肥する:植え付けの年は窒素量15〜60g/㎡が目安。8-8-8の化成肥料なら62.5g/㎡を散布します。


- ✂️ 草丈が7.5cmになる前に刈り込む:維持する刈り高5cmを基準に、草丈が1.5倍(7.5cm)になる前に刈り込む「3分の1ルール」が原則です。


ポット苗を自分で作る場合は、植え付けの1か月半前から準備を始めます。4月中旬〜下旬がポット苗作成の最適な時期です。これは静岡県の管理マニュアルでも推奨されている手順です。


参考:静岡県芝草研究所 セントオーガスティングラスによる芝生管理マニュアル(行政機関の詳細マニュアル)
https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/016/967/st1.pdf


セントオーガスチングラスが日陰に強い理由と耐陰性の限界

「暖地型の芝は日当たりがよくないと育たない」と思っていませんか?セントオーガスチングラスはその常識の例外です。


一般的な暖地型芝であるコウライシバやバミューダグラス(ティフトン)が健康に育つには、1日6時間以上の日照が必要です。一方でセントオーガスチングラスは、芝丈を適切に管理することで、1日2〜3時間の日照でも育ちます。これは暖地型の芝草の中では突出した耐陰性です。


なぜこれほど日陰に強いのか。セントオーガスチングラスは地上を這う「匍匐茎」と、地下18〜20cmまで垂直に伸びる根を持っています。地中深くから水と栄養を吸収できるため、光量が少ない環境でも生育を維持できると考えられています。


ただし、耐陰性にも限界はあります。1日の日照時間が4時間を下回る「二重の日陰」(建物の陰+木の陰など)では、定着が難しくなります。また白い斑点模様が入った「斑入り(バリエガータム)品種」は観葉植物向けで、日陰には向かないという点も要注意です。


日陰対策として芝を育てる場合、草丈を少し高め(5〜10cm)に維持することで光合成の面積を確保するとよいです。これが条件です。


セントオーガスチングラスの除草剤と薬剤に関する注意点──芝が枯れるリスク

「雑草が出てきたから除草剤をさっとまいてしまおう」──この行動が、せっかく育てたセントオーガスチングラスを全滅させる原因になることがあります。


セントオーガスチングラスは除草剤の成分に対して非常に敏感です。一般的な芝生用除草剤でも薬害を受けることがあり、葉が黄変・枯死するリスクがあります。実際に8年間元気に育ったセントオーガスチングラスに除草剤を使った経験者が「散布後に葉が黄変した」と報告しています。痛いですね。


では雑草が生えてしまったらどう対処すればよいのか。答えは「施肥と刈り込みを正しく続けること」です。


芝生が密になれば雑草が入り込むスペースがなくなります。逆に言うと、雑草が増えている状態は「施肥が足りていない」サインとも言えます。クローバーが生えていれば土壌窒素が少ない証拠で、定期的な施肥と刈り込みを続けると自然にクローバーは減っていきます。


もし手で抜く必要がある場合は、芝が根付いた状態で密度が高くなってから除草剤を試す場合、「クローバーに有効な日産MCPソーダ塩」など芝生に対応したものを選ぶことが条件です。使用する前に必ず製品の適用芝種を確認しましょう。


| 対処方法 | リスク | おすすめ度 |
|---|---|---|
| 手で抜く | 低い | ⭐⭐⭐ |
| 施肥+刈り込みを増やす | ほぼなし | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| 芝生専用の選択性除草剤 | 中程度(確認必須) | ⭐⭐ |
| 一般の除草剤 | 非常に高い(芝が枯れる) | ❌NG |


参考:セントオーガスチングラスへの除草剤使用実体験レポート(実際の庭での詳細経過)
https://iboxnj.com/st-augustin-herbicide/


セントオーガスチングラスの年間管理スケジュール──主婦でもできる省力ケア

セントオーガスチングラスの日々の管理は、ポイントさえ押さえればそれほど難しくありません。以下に年間のスケジュールを整理しました。


🌸 春(3〜5月)
3月下旬〜4月上旬から施肥を開始します。年間施肥量の35%をこの時期に散布します。草が伸び始めたら刈り込みも開始。新芽が出やすい季節なので、補修が必要な場所があればポット苗を準備するのもこの時期です。


☀️ 初夏〜夏(6〜8月)
もっとも生育が旺盛な時期です。これが最重要な季節です。植え付けはこの時期に行います。施肥は年間量の50〜55%を集中投下します。刈り込みは7〜8月に週1回ペースが目安。草丈が7.5cmを超える前に5cmに刈ります。水やりは1㎡あたり1日3Lを目安に。ただし根が深いため、14日程度雨が降らなければ補助散水を行う程度で問題ありません。


🍂 秋(9〜11月)
施肥は年間量の10〜15%に絞ります。10月を過ぎたら施肥を打ち切ります。刈り込み頻度は徐々に落とします。11月ごろから少しずつ葉の色が薄くなり始めます。


❄️ 冬(12〜2月)
施肥はゼロです。1〜2月は休眠して茶色くなります。ただし完全に休眠しないこともあります。休眠期の寒さダメージが積み重なる時期なので、最低気温がマイナス5℃を下回る地域では防寒対策が必要です。


1回の作業時間は30分以内に収める、刈りカスは回収せずそのままにする(グラスサイクリング)、この2つを意識するだけで管理の負担が大幅に減ります。これは使えそうです。


参考:静岡県芝草研究所 年間管理計画書(行政機関発行の詳細マニュアル)
https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/016/967/st2.pdf