

オーチャードグラスをいつも通りの量で与えるだけで、インコの体重が2週間で5g落ちることがあります。
オーチャードグラスとは、イネ科の多年生牧草「カモガヤ(学名:Dactylis glomerata)」の種子のことです。もともとはウサギや牛などの家畜の飼料として使われていた草ですが、その種子が小粒で低脂質なことから、観賞鳥の飼育界でもダイエット食として広く知られるようになりました。
ドイツなどの欧州では古くからインコのダイエット食として流通しており、日本でも黒瀬ペットフードやとりきち横丁などの専門メーカーが無農薬品を販売しています。国内での認知が広まったのはここ10年ほどのことで、比較的新しいシードと言えます。
栄養成分を具体的に見てみましょう。オーチャードグラスの脂質は4.3%です。これは、よく比較されるヒマワリの種の56.4%と比べると約13分の1以下。インコが大好きな麻の実も30%以上の脂質を含むことを考えると、その低さが際立ちます。同時に、たんぱく質は13.8%と比較的高く、食物繊維も12%含まれています。つまり、低脂質・高繊維・適度なたんぱく質という、優れたバランスのシードです。
粒は非常に軽く、同じ5gでもアワやヒエより見た目の量(かさ)がずっと多くなります。これが「かさまし効果」として愛鳥の視覚的な満足感を高めます。ちょうど人間のダイエットで「カロリーは少ないのにボリュームが大きい食材」を活用する感覚と同じです。
栄養の専門情報は以下も参考にしてください。
穀物の成分表(コトリヤ)—オーチャードグラスを含む主要シードの脂質・たんぱく質などの比較数値を一覧で確認できます
オーチャードグラスが「消化が良い」と言われる理由は、その粒の小ささと柔らかさにあります。粒が小さく薄い皮に包まれているため、インコの筋胃(砂嚢)への負担が少なく、比較的スムーズに消化されやすい構造をしています。
ただし、「消化が良い」という評価はあくまでも一般論です。これが重要なポイントです。
鳥専門の獣医師・海老沢和荘先生は「シードの消化に関して一般的な良い・悪いはなく、消化には鳥種や個体差、病態が影響する」と述べています。つまり、消化のしやすさはインコ一羽一羽によって異なります。
特にセキセイインコは注意が必要です。セキセイインコは元々胃腸がデリケートな傾向があり、体調の変化によっては同じエサでも消化の状態が変わることがあります。胃腸が弱い子や高齢のインコでは、オーチャードグラスが消化不良の引き金になるケースも報告されています。
一方、体調が悪いときに自ら進んでオーチャードグラスを食べようとするインコもいます。これは本能的に負担の少ない食べ物を選んでいる行動だと考えられています。「オーチャードグラスしか食べない」という状態は、愛鳥のSOSサインである可能性も念頭に置いておきましょう。
消化の状態を確認する最も簡単な方法は、フンのチェックです。フンの中にオーチャードグラスの粒がそのまま出てきていたら、未消化便のサインです。正常な消化が行われていれば、粒はフンの中に原形をとどめないはずです。個体差を理解した上で観察することが基本です。
おうちで健康管理:フンと尿酸チェックの方法(小鳥のいる暮らし)—正常なフンと異常なフンの見分け方を写真付きで解説しています