
日本の食卓に並ぶかぼちゃといえば、緑色の皮に橙色の果肉を持つ西洋かぼちゃ(特に黒皮栗かぼちゃ)が一般的です。しかし、ひょうたんのような形をした鶴首かぼちゃとバターナッツかぼちゃも、近年注目を集めています。一見すると似ているこの2種類のかぼちゃですが、実は起源や特徴、味わいに違いがあります。
鶴首かぼちゃとバターナッツかぼちゃは、どちらも「日本かぼちゃ」に分類されます。西洋かぼちゃとは異なり、水分が多くねっとりとした食感が特徴です。しかし、同じ分類に属していても、それぞれに独自の魅力があります。
鶴首かぼちゃは日本の伝統野菜として古くから栽培されてきました。一方、バターナッツかぼちゃは南アメリカ原産で、比較的新しく日本に入ってきた品種です。どちらも一般的なスーパーではあまり見かけませんが、道の駅や農産物直売所、通販サイトなどで入手することができます。
これから、両者の外見や味わい、栄養価、調理法などの違いについて詳しく見ていきましょう。
鶴首かぼちゃは、その名前の通り、鶴の首のように細長く伸びた形が特徴的です。色はベージュからクリーム色で、表面はなめらかです。縦に切ると、下半分の丸い部分に種があり、上半分の細い部分には種がありません。この特徴はバターナッツかぼちゃと共通しています。
日本の伝統野菜として、鶴首かぼちゃは長い歴史を持っています。各地で伝統野菜として栽培されてきましたが、現代では流通量が少なくなっています。岩手県では鶴首かぼちゃを元に「南部一郎」という品種が平成22年に登録されており、地域の特産品として育てられています。
鶴首かぼちゃの味わいは、細い部分と太い部分で異なります。上部は水分が多く、下部の丸くなった部分は水分が少なめで濃厚な味わいです。全体的に繊維質が少ないため、滑らかでねっとりとした食感が特徴です。熟した鶴首かぼちゃは糖度が高く、果物のような強い甘みを感じることができます。
鶴首かぼちゃは日本の気候に適応した品種であり、栽培も比較的容易です。家庭菜園でも育てやすく、種から育てることも可能です。
バターナッツかぼちゃは、黄褐色や肌色のツルツルとした皮と、縦長のひょうたん形が特徴です。長さは20~30cm、重さは500g~1kgほどで、半分に切ると下の膨らんだ部分に種が入っています。果肉はオレンジ色で、鮮やかな見た目が特徴的です。
名前の由来通り、バターナッツかぼちゃはナッツのような濃厚な味わいと甘みがあります。食感はなめらかでねっとりとしており、繊維質が少ないのが特徴です。上半分の細い部分は種が入っていないため食べやすいですが、下半分の種がある部分に比べると水分が多く、やや水っぽく感じることもあります。
バターナッツかぼちゃの収穫時期は8月上旬~中旬頃です。水はけのよい土を好み、痩せた土地でもよく育ちます。一般的にかぼちゃは収穫直後よりも、2週間から1ヶ月ほど風通しのよいところで保存してから食べると甘みが増しておいしくなります。
バターナッツかぼちゃは固定種なので、取り出した種を翌年まくと実が成ります。栽培も比較的簡単で、家庭菜園初心者でも挑戦しやすい野菜です。
「ウォルサム・バターナッツ」という品種は、「Gooseneck squash(ガチョウの首南瓜)」との交配によって生まれました。興味深いことに、このガチョウの首南瓜は鶴首かぼちゃによく似ており、国は違っても鳥類の首を想像させる名前がついているところが面白いポイントです。
鶴首かぼちゃとバターナッツかぼちゃは、どちらも栄養価が高い野菜です。両者の栄養成分を比較してみましょう。
まず共通点として、どちらもβ-カロテンが豊富に含まれています。β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、視力の維持や皮膚の健康、免疫機能の向上に役立ちます。オレンジ色の果肉が鮮やかなほど、β-カロテンの含有量が多い傾向があります。
また、両方のかぼちゃには食物繊維も豊富に含まれており、腸内環境を整える効果が期待できます。特に水溶性食物繊維は、血糖値の急上昇を抑える効果もあるため、健康的な食生活に取り入れたい栄養素です。
ビタミンやミネラルについても、ビタミンC、ビタミンE、カリウム、マグネシウムなどが含まれています。これらの栄養素は、抗酸化作用や血圧調整、筋肉の機能維持などに役立ちます。
違いとしては、バターナッツかぼちゃのほうが西洋かぼちゃよりも水分量が多く、その分カロリーは低めです。100gあたりのカロリーは約45kcalで、ダイエット中でも安心して食べられる野菜といえるでしょう。
鶴首かぼちゃも同様に低カロリーですが、熟成が進むと糖度が上がるため、完熟したものはやや甘みとカロリーが増します。ただし、それでも他の主食や菓子類に比べれば低カロリーであることに変わりはありません。
栄養面での選び方としては、より鮮やかなオレンジ色の果肉を持つものを選ぶと、β-カロテンをより多く摂取できるでしょう。また、完熟したものは甘みが強く、生で食べる場合や自然な甘みを活かした料理に向いています。
鶴首かぼちゃとバターナッツかぼちゃは、調理法にも特徴があります。それぞれの特性を活かした料理方法を見ていきましょう。
まず、両者に共通する特徴として、繊維質が少なく、なめらかな食感があるため、ポタージュやスープに向いています。特にミキサーでなめらかにすると、とろりとした舌触りの良いスープになります。
【鶴首かぼちゃのポタージュレシピ】
材料(2人分)。
作り方。
バターナッツかぼちゃの特徴的な調理法としては、生食があります。バターナッツかぼちゃは生でも食べられるため、薄切りや千切りにしてサラダの具材にすると、メロンのような風味とシャキシャキとした食感を楽しめます。
また、バターナッツかぼちゃは「きんぴら」にしても美味しいです。拍子切りにして唐辛子と一緒に炒め、醤油と粗糖で味付けすると、あっさりとした水々しさと食べ飽きない美味しさが楽しめます。
鶴首かぼちゃは、煮物や天ぷらにしても美味しいです。特に煮物は、かぼちゃの甘みが引き立ち、ほっくりとした食感を楽しめます。
両者の違いを活かした調理のポイントとしては、バターナッツかぼちゃは水分が多いため、炒め物や揚げ物の場合は水分を飛ばすように調理すると良いでしょう。一方、鶴首かぼちゃは熟成が進むと糖度が高くなるため、甘みを活かした料理に向いています。
どちらのかぼちゃも、皮を器にして料理を盛り付けると見た目も華やかになります。バターナッツかぼちゃを器にしたグラタンや、鶴首かぼちゃの皮を器にしたプリンなど、アイデア次第で様々な料理を楽しむことができます。
鶴首かぼちゃとバターナッツかぼちゃは、入手できる時期や方法にも違いがあります。それぞれの季節性と入手方法について見ていきましょう。
鶴首かぼちゃは、主に秋に収穫される伝統野菜です。9月から11月頃が旬とされていますが、地域によって収穫時期は異なります。一般的なスーパーマーケットではあまり見かけませんが、道の駅や農産物直売所、伝統野菜を扱う専門店などで入手することができます。
一方、バターナッツかぼちゃの収穫時期は8月上旬~中旬頃です。鶴首かぼちゃよりもやや早い時期に収穫されますが、保存性が高いため、秋から冬にかけて市場に出回ることが多いです。近年は知名度が上がってきており、一部のスーパーやオーガニック食材を扱う店舗でも見かけるようになりました。
両者とも、通販サイトや産直市場を利用すれば、比較的簡単に入手することができます。特に産地直送の通販サイトでは、新鮮なものを取り寄せることが可能です。また、農家から直接購入できる「ファーマーズマーケット」などのイベントでも見つけることができるでしょう。
保存方法については、どちらも基本的には同じです。丸ごとの場合は風通しの良い冷暗所で保存し、カットしたものは種とワタを取り除いてラップで包み、冷蔵庫で保存します。バターナッツかぼちゃは比較的日持ちしますが、鶴首かぼちゃは熟成が進むと甘みが増すものの、長期保存には向きません。
自家栽培を考えている方には、どちらも種から育てることができるという利点があります。特にバターナッツかぼちゃは固定種なので、一度購入したかぼちゃから種を取って翌年まくことができます。家庭菜園初心者でも比較的育てやすい野菜なので、チャレンジしてみるのも良いでしょう。
種苗会社からは、バターナッツかぼちゃの改良品種として「クレマズッカ」(トキタ種苗)や「まろあじ」「食べきりバターナッツ」(サカタのタネ)などが販売されています。これらは一般的なバターナッツかぼちゃよりも小ぶりで、家庭での消費に適したサイズになっています。
鶴首かぼちゃとバターナッツかぼちゃは、一般的な料理以外にも様々な活用法があります。ここでは、あまり知られていない両者の意外な使い方をご紹介します。
まず、両方のかぼちゃに共通する特徴として、皮の部分を器として使うことができます。特にバターナッツかぼちゃの下部の膨らんだ部分は、種を取り除いた後、自然な器として活用できます。例えば、プリンやアイスクリームを入れたり、スープを盛り付けたりすると、見た目も華やかな一品になります。
鶴首かぼちゃの細長い形状を活かした飾り切りも人気です。薄くスライスして花の形に切り抜いたり、輪切りにして模様を付けたりすると、料理の飾りとして活用できます。ハロウィンの季節には、顔を彫り込んだジャック・オ・ランタンの代わりとしても使えますが、西洋かぼちゃ