

スタッフ同士が仲良くなるだけでは、チームとしての生産性は上がりません。
歯科医院のチームは、歯科医師・歯科衛生士・歯科助手・受付といった複数の職種が密接に連携して動く組織です。それぞれの専門性があるからこそ、連携のズレが直接的な業務の質に影響します。ところが日本歯科衛生士会の令和2年調査では、歯科衛生士の76.4%が離職を経験しており、うち55%は複数回の転職を繰り返しているというデータがあります。
これは決して他人事ではありません。
離職の背景にある最大の要因は、実は技術的な問題ではなく「職場の人間関係」です。同調査では、人間関係が転職・離職理由の16.5%を占めています。スタッフ1人が退職すれば、採用広告費・面接対応・教育期間のコストが丸ごと発生します。少人数の歯科医院では、その影響は残ったスタッフ全員に波及し、疲弊→さらなる離職という悪循環が始まりやすい構造になっています。
つまり、チームビルディングは「仲良くなる活動」ではなく、離職コストを防ぎスタッフが長く働けるための経営施策として位置づける必要があります。
そのうえで注目したいのが「短時間で行うゲーム形式」のチームビルディングです。歯科医院の現場は診療の合間に使える時間が限られています。1時間の研修を組むことが難しい環境だからこそ、15〜30分という短い時間でも意味のある体験を生み出せるゲームが重宝されます。
ゲーム形式の最大の利点は、「失敗しても安全な場所で試行錯誤できる」点にあります。日常の診療では失敗が許されないからこそ、ゲームという非日常の場でチームの連携のズレや情報伝達の問題を体感することに大きな意味があります。理論で「コミュニケーションが大切」と学ぶより、体験の中で「自分たちはこんなズレがあった」と気づく方が、行動変容に直結しやすいのです。
歯科チームビルディング|心理的安全と承認文化で辞めない職場へ(Bay3株式会社)
歯科医院における承認文化とチームビルディングの実践事例が詳しく解説されており、離職率を15%→5%に改善した事例など具体的なデータも紹介されています。
実際に歯科医院のスタッフミーティングや朝礼後など、短い時間帯で取り入れられるゲームを厳選して紹介します。選定の基準は「準備が少ない」「15〜30分で完結する」「職種に関係なく全員が参加しやすい」の3点です。
🎮 共通点探しゲーム(所要時間:15〜20分)
準備物がゼロで始められる代表的なアイスブレイク型ゲームです。3〜6名のチームに分かれ、制限時間内にチーム全員に共通することをできるだけ多く見つけます。「全員コーヒーが好き」「全員自転車通勤」といったユニークな共通点を探し合うシンプルな内容ですが、普段診療の役割だけで接しているスタッフ同士が「こんな一面があったの?」と自然に打ち解けるきっかけになります。初対面のスタッフが加わった直後や、採用直後の研修初日にも最適です。
🎮 ペーパータワー(所要時間:約30分)
A4用紙だけを使い、制限時間内に最も高く自立するタワーをチームで作るゲームです。テープも接着剤も使用不可というシンプルなルールながら、役割分担・意見の調整・時間管理という要素が一気に試されます。複数ラウンド実施して「どうすればもっと高くなるか」を話し合う時間を設けると、PDCAサイクルの体験にもなります。用意するのはA4用紙20〜30枚だけなので、コスト面での負担はほぼゼロです。
🎮 マシュマロチャレンジ(所要時間:約30分)
乾麺のパスタ・テープ・ひも・マシュマロを使い、18分間で最も高いタワーを作るゲームです。公式ルールでは1チーム4名が基本で、世界記録は99cmとされています。「マシュマロが軽いから頂点に置けば大丈夫」と考えがちですが、実際はマシュマロの重みがタワーを崩す要因になります。この「当たり前の思い込みが通用しない」という体験が、職場での先入観や思い込みによる連携ミスと重なりやすく、振り返りで深い気づきを生みやすいゲームです。チームビルディング専門企業への導入実績が200社を超えるほど定番化しています。
🎮 ヘリウムリング(所要時間:約30分)
フラフープ1本と参加者の人差し指だけで行うゲームです。全員の人差し指だけでフラフープを支え、誰の指からも離れないよう注意しながら床まで下げるのが目標ですが、実際にやると「下げようとするほど上がってしまう」という不思議な現象が起きます。これはタックマンモデルというチーム成長理論を体感できる現象で、自然とリーダーシップの発揮・コミュニケーションの必要性・チームとしての同期が試されます。準備はフラフープ1本のみです。
🎮 部課長ゲーム(所要時間:約60分)
少し時間を確保できる場合に試したいのが部課長ゲームです。1チーム5名に「部長・課長・平社員」という役割が割り振られ、筆談のみというルールでカード交換を行います。最大のポイントは「ゲームの目的を知っているのが部長役だけ」という設計にあります。部長がゴールを共有しなければゲームが進まない構造になっており、リーダーが方向性を伝えることの重要性・メンバーが目的を理解して動くことの大切さを体感できます。150社以上への導入実績がある信頼性の高いゲームです。
短時間でできるチームビルディングゲーム20選(ハートクエイク株式会社)
年間400社以上の研修を実施してきた実績のある企業が、30分〜1時間で完結するゲームを目的・人数別に詳しく解説しています。マシュマロチャレンジや部課長ゲームの具体的なやり方も確認できます。
ゲームを「やって終わり」にすることが、最も多い失敗パターンです。それだけ振り返りが重要です。
歯科医院でゲームを取り入れる際に重要なのは、ゲームを行う前に「今日の目的」を1文で全員に共有することです。「楽しむため」でも「コミュニケーションを深めるため」でも構いません。目的が明確になることで、ゲーム中のスタッフの意識が変わり、振り返りの質が格段に上がります。
振り返りはKPT形式がシンプルで使いやすいです。「Keep(続けたいこと)」「Problem(うまくいかなかったこと)」「Try(次に試したいこと)」の3軸でチームの気づきを整理します。例えばペーパータワーを行った後に「なぜタワーが崩れたのか」を話し合うと、「声をかけるタイミングがズレていた」「一人が考えていたことが伝わっていなかった」という発言が出ます。これはそのまま日常診療での連携ミスの原因と重なる場合が多く、「ゲームでの失敗=職場での課題」という気づきに変換できます。
振り返りの時間は5〜10分で十分です。
一方で、いくつかの落とし穴も知っておく必要があります。まず「盛り上がりだけを優先する」ことは避けてください。その場の笑いが生まれたとしても、翌日の行動が変わらなければ効果は半減します。次に「人数・時間と合っていないゲームを選ぶ」という設計ミスも注意が必要です。10分しかない場面でディスカッション型のゲームを選んでも消化不良で終わります。参加人数と使える時間を先に確定してからゲームを選ぶのが鉄則です。
また、歯科医院でよくあるケースとして「院長主導での実施に偏りすぎる」問題があります。院長が段取りをすべて決め、スタッフが「やらされている」感覚になると、心理的安全性は育ちません。月に1回程度のワークショップでは、チーフや衛生士リーダーにファシリテーターを任せるなど、スタッフ主導の設計に切り替えることで当事者意識が生まれやすくなります。これが結果として「自走する組織」への第一歩になります。
ゲームは起点であり、ゴールではありません。
1回のゲームをきっかけにチームが変わるケースは実際にあります。しかし継続的な変化を生み出すには、ゲームで得た気づきを日常業務の「仕組み」につなげることが必要です。
まず取り入れやすい仕組みが「週1回・5分のありがとう共有ミーティング」です。スタッフ一人ひとりが「今週、感謝したい人と理由」を話すだけの非常にシンプルな取り組みですが、これを続けることで承認の習慣が根づきます。承認文化が育つと心理的安全性が高まり、スタッフが「意見を言っても大丈夫」と感じるようになります。ある歯科医院では、ありがとうカードと称賛ミーティングを導入した結果、離職率が15%から5%に改善したという事例も報告されています。
次に意識したいのが「月1回の1on1面談」です。1on1は15分でも十分です。「最近よかったこと(承認)」「悩みや困りごと(課題共有)」「次にやってみること(アクション設定)」の3ステップを軸に進めます。面談を評価の場ではなく「対話の場」として位置づけることがポイントです。スタッフが「話を聞いてもらえている」という実感を持てると、信頼関係の土台が自然に育ちます。
さらに中長期的な観点では「チームPDCA」を仕組みとして回すことを目指してください。週次ミーティングで目標確認→月次で振り返りワークショップ→四半期で評価・承認というサイクルが回り始めると、ゲームで生まれた「気づき」が行動変容として定着します。歯科医院で起きている指示待ちや連携ミスの多くは、個人の意識の問題ではなく「仕組みの欠如」が原因です。それを埋めるのが継続的なチームビルディングの役割です。
歯科衛生士の離職率は7割超え!?原因・対策と辞めない職場の作り方(デンタルサイヨウブ)
歯科衛生士の離職率76.4%という公的データをもとに、離職の5大原因と実践的な対策を詳しく解説。チームの定着率を上げるための具体的な職場環境づくりのヒントが豊富に掲載されています。
一般的なチームビルディングゲームをそのまま使うより、歯科医院の現場に即したアレンジを加えることで、振り返りの質が格段に上がります。これは検索上位の記事にはほぼ書かれていない、歯科医院ならではの視点です。
例えばペーパータワーであれば、ゲーム後の振り返りに「今日の診療で似たような連携のズレがなかったか」という問いを加えるだけで、ゲームの体験が即座に現場の課題と結びつきます。スタッフが「あのとき自分が声をかけていれば」「情報が伝わっていなかった」という発言をしやすくなります。
部課長ゲームであれば、振り返りの問いを「院長から方針が伝わっているか」「自分はゴールを理解して動けているか」という問いに置き換えると、歯科医院特有の「院長が一人で抱えている問題」や「スタッフの指示待ち問題」に直接触れる気づきが生まれます。これは単なるゲームの感想共有とは異なる、深いレベルの対話です。
また、歯科医院では職種間の壁が生じやすいという特徴があります。歯科医師・歯科衛生士・歯科助手・受付が、日常的にはそれぞれの役割の範囲内で動くため、互いの業務内容や感じている負荷を知らないままになりがちです。ゲームのチーム編成をあえて職種混合にすることで、「受付がどんな気持ちで患者対応をしているか」「歯科助手がどこに困っているか」が見えるきっかけになります。
さらにユニークなアレンジとして「モンスタービルディング」があります。ブロックで作ったモンスターの一部が描かれた情報カードを1人1枚持ち、口頭のみで情報を共有しながらモンスターを完成させるゲームです。「立場によって見えている情報が違う」という体験は、歯科医院の診療現場での情報共有のズレと直結しています。「自分しか知らない情報をきちんと伝えること」の重要性を、理屈ではなく体感で学べます。
このように、ゲームの内容よりも「何の問いで振り返るか」の設計がチームビルディングの効果を左右します。短時間のゲームを何度も積み重ねながら、問いの質を少しずつ深めていくことが、歯科医院のチームを継続的に成長させる道筋になります。
歯科医院の成果は"チーム力"で決まる!スタッフが自走する組織をつくるチームビルディング研修の設計方法(ビジネスゲーム研究所)
年間100登壇以上の実績を持つ研修講師が、歯科医院における「なぜ研修をしてもチーム力が上がらないのか」という根本課題から解説。体験型研修の設計方法や現場へのつなげ方が具体的にまとめられています。

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